栃木小1女児殺害事件で、殺人容疑で逮捕された無職、勝又拓哉容疑者(32)は、殺害や遺体遺棄を認めているものの、具体的な方法や場所については供述を二転三転させているという。凶器や女児の所持品も未発見だ。10日で逮捕から1週間。捜査幹部は立証に自信を見せるが全容解明には至っていない。
2月18日。取調室で向き合った検察官を前に、勝又容疑者は体を震わせて泣き崩れた。
偽ブランド品をめぐる商標法違反事件で1月29日に逮捕され、起訴直前、今市市(現日光市)の小学1年の女児(当時7)殺害への関与を自ら認めた。それから栃木、茨城両県警の合同捜査本部は3カ月半かけて慎重に捜査を進め、6月3日、逮捕に踏み切った。
捜査関係者によると、「ごめんなさいという気持ちです」「わいせつ目的で、一人でいる子どもを狙った」と当初供述していた勝又容疑者。その後「誘って車に乗せた」「声は掛けずに無理やり車に押し込んだ」と矛盾する説明をしているほか、殺害場所の供述も変遷しているという。
押収した勝又容疑者のパソコンからは女児とみられる画像を発見。連れ去られた今市市と遺棄された茨城県常陸大宮市を結ぶルートを、勝又容疑者の車が走行していたことも防犯カメラの解析で特定できた。
今回、捜査本部は取り調べの過程すべてを録音・録画(可視化)した。そこには、事前の捜査で得ていた状況と一致する内容を供述する勝又容疑者の姿が記録されているという。ある警察幹部は「犯人しか知り得ない事情を自発的にカメラの前で説明していることが大きな意味を持つ」と打ち明けた。
ただ、勝又容疑者が「捨てた」と供述する凶器の刃物、女児のランドセルや衣類はこれまでの捜索で発見できず、事件で使ったとされる車も廃棄され、残っていない。
勝又容疑者については「人とあまり話をせず、おとなしい」というのが周囲の声だ。一方、同居していた男性が、働かずに昼夜逆転した生活を送っていることを注意すると態度が一変。怒鳴り散らし、男性は恐怖を感じたという。〔共同〕