本名を明かさなければ、ネットに何を書いても大丈夫――。そう考えるのは大きな間違いだ。「炎上事件」を起こしたユーザーのアカウントは、ネット上の「特定班」によって、1日もかからずに白日の下にさらされる。ソーシャルメディアを使えば使うほど、隠したはずの個人情報の発掘は容易になる。今や「不夜城」と化したソーシャルメディアから、子どもたちを守るにはどうしたらいいのか。その処方箋を、元小学校教員でIT(情報通信)ジャーナリストの高橋暁子氏が解説する。今回は、匿名のはずの個人情報が暴かれる仕組みについて見ていく。
ネットの世界に匿名は存在しない。しかし、匿名で使えると過信している人が多く、それ故にトラブルが後を絶たない。
本連載では、ネットでは気が大きくなって大胆な発言に走りやすいという「発言の過激化」や、とにかく見てもらいたい、注目されたいという「承認欲求」、それに「炎上させることが正義」と考える第三者のユーザーが加わることで、炎上が本格化すると述べてきた。今回は、炎上のもう一つの火種となる「匿名性の過信」について考える。
■匿名なら違法行為も投稿できる?
大学1年生のA太は、Twitter(ツイッター)のヘビーユーザーだ。ただし友達同志でフォローし合っているくらいで、フォロワーの数はあまり多くない。チャットやメッセージの機能を利用することが多く、友達以外は好きなタレントやミュージシャンをフォローしているくらいだ。
A太はある飲食店でアルバイトをしていた。この店では余った食材は廃棄する決まりだったが、実際はバイトたちがこっそり家に持ち帰って食べることが少なくなかった。ある日A太は余った食材だけでなく、冷凍庫から新しい食材も抜き取り、「◎◎チェーンで今晩の食事パチってきました!まいど!」というツイートをして、写真も投稿した。フォロワーから「うらやましい」「今度俺にもお土産頼む」といった反応を受け、その場は盛り上がった。
それから2週間くらいたったある日、突然Twitter上で「A太は泥棒」「◎◎チェーンに通報しました」というツイートが、自分のアカウントに届くようになった。先ほどのツイートが知らぬうちに匿名掲示板に転載されて、騒ぎになっていたのだ。
その後、アルバイト先から真偽を確かめる電話がかかってきた。やり取りの結果、過去に遡って食材代を請求された上、アルバイトは解雇された。さらに大学にまで通報され、停学処分を受けてしまった。
Twitter、Facebook、Exif、炎上事件、アルバイト、mixi、2ちゃんねる
本名を明かさなければ、ネットに何を書いても大丈夫――。そう考えるのは大きな間違いだ。「炎上事件」を起こしたユーザーのアカウントは、ネット上の「特定班」によって、1日もかからずに白日の下にさらされる。…続き (6/10)
ソーシャルメディアを就活に活用する、通称「ソー活」。情報収集や就活仲間とのコミュニケーションツールとして役立てている学生は多い。一方で、人事部もネットを検索し、採用候補の学生の発言をチェックしている…続き (6/3)
「IDは○○○。後ろに8が4つ♪」「連絡ください。詳しくはLINEで!IDのxxは消してね」――。学校や塾では気の合う友達が見つからず、ネットの中に出会いを求める子どもたちが増えている。だが、素性を…続き (5/27)
各種サービスの説明をご覧ください。
・次は「R」INE リクルート第3の創業、ネットフル活用
・オリジン電気、太陽光向けパワコンに参入
・シナジーマーケ、ECサイトの販促自動で
・東プレ、軽自動車向け部品事業に本格参入
・小松精練 合繊、天然色素で染めやすく…続き