西山貴章 井上恵一朗
2014年6月10日09時36分
DNA型鑑定をしたところ、父と子に血縁関係がなかった。その父子関係は取り消されるのか。最高裁第一小法廷が9日、そんな争点の2件の訴訟で当事者から意見を聞く弁論を開いた。妻側は父子関係の取り消しを求め、夫側は「子に対しては父親としての愛情がある」として関係を維持するように訴えた。
最高裁が結論を変える際に必要な弁論を開いたことで、父子関係を取り消した一、二審の判断が見直される公算が大きい。
争っているのは、北海道の元夫婦と近畿地方の夫婦。ともに妻が夫とは別の男性と交際。出産した子と交際男性との間でDNA型鑑定をしたところ、生物学上の父子関係が「99・99%」との結果が出た。これを受けて妻が子を原告として、夫とは親子ではないことの確認を求めて訴えた。
一、二審はいずれも「鑑定は親子関係を覆す究極の事実」などと、父子関係を取り消す判決を出した。ともに夫側が上告した。
「1歳2カ月の可愛い盛りのわが子を手放さなければならなかった私の胸中など、元妻には理解できないはずです」
北海道の元夫婦は子の誕生から1年3カ月後に離婚。元夫はその直前まで子と暮らした。弁論があったこの日、思いをつづった文書をマスコミに公開した。
「DNA型鑑定が事実であれば、私の主張が理解されにくいことも十分に分かっています。しかし、子への愛情をなかったことになどできません」。わが子として命名したこと、風呂に入れたときのこと、「パパ」と呼んでもらったこと。「楽しくて仕方ありませんでした」と振り返った。別れる朝、子にバイバイをすると、子はそれまで見たこともない、笑ったような、泣きそうな顔で手をクルクルと振ったという。
弁論では「血縁がないことを理由に親子関係を否定すれば、養子縁組制度なども否定することになる」とも主張した。
一方、元妻の代理人は弁論で「元夫と子との関係が認められれば、終生、真実に反する親子関係が強制される」と主張した。
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朝日新聞社会部
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