痛風予備群:高尿酸血症 肥満や飲酒より遺伝子変異の影響
毎日新聞 2014年06月09日 20時03分
足の親指の付け根などが激しく痛む痛風の予備群とされる「高尿酸血症」の発症には、肥満や飲酒よりも、体外に尿酸を排出するのにかかわる遺伝子の変異が強く影響しているとの研究結果を、中山昌喜・防衛医科大医官らの研究チームが9日付の英科学誌電子版に発表した。研究チームの松尾洋孝・同大講師は「事前に自分の遺伝子について知っておけば、肥満予防など健康管理に生かせるのではないか」と話す。
高尿酸血症の人は国内に約1000万人いると推計され、原因の一つに「ABCG2」と呼ばれる遺伝子の変異があることは分かっていた。今回、健康な人を含む35〜69歳の約5000人の男女を対象に、高尿酸血症の要因を調べた結果、肥満(19%)や多量飲酒(15%)、加齢(6%)より、遺伝子変異(29%)の方が高かった。
高尿酸血症への遺伝子変異の寄与度は、喫煙が発がんに与える影響と同程度と考えられるという。
日本人の約半数が、この遺伝子変異を持つとされ、日本人に最も多いのは尿酸の排出機能が4分の3に下がるタイプ。このタイプの場合、身長170センチの男性に与える影響は、5.7キロの体重増、毎週ウイスキー1.7リットル分のアルコール摂取に相当した。機能が半分まで下がるタイプではその倍の影響があるとみられる。【清水健二】