このページは「旧原子力安全委員会」より提供された情報です。







第10回


         
原子力安全委員会速記録


















            
原子力安全委員会


(注:この速記録の発言内容については、発言者のチェックを受けたものではありません)

第10回 原子力安全委員会定例会議

平成15年2月17日(月)
午後2時〜
内閣府742会議室

議  題
(1)株式会社日立製作所による日立エンジニアリング株式会社の原子 炉の譲受けについて(諮問)
(2)東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(諮問)
(3)東京電力株式会社福島第二原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
(4)九州電力(株)玄海原子力発電所 原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)ついて(諮問)
(5)北陸電力株式会社志賀原子力発電所2号機増設に伴う志賀原子力発電所1号機管理区域境界壁貫通工事にて発生するコンクリート切断片の取扱について
(6)原子力安全委員会専門委員の任命及び原子力事故・故障調査専門部会の構成員の変更について
(7)その他

配付資料
(1−1)株式会社日立製作所による日立エンジニアリング株式会社の原子炉の譲受けについて(諮問)
(1−2)原子炉譲受許可申請書
(1−3)日立教育訓練用原子炉(HTR)の概要
(2−1)東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(諮問)
(2−2)東京電力株式会社 福島第一原子力発電所 原子炉設置変更許可申請書(2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)
(2−3)東京電力株式会社福島第一原子力発電所原子炉設置変更許可申請(2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)の概要について
(3−1)東京電力株式会社福島第二原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)
(3−2)東京電力株式会社 福島第二原子力発電所 原子炉設置変更許可申請書(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)(3−3)東京電力株式会社福島第二原子力発電所原子炉設置変更許可申請(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)の概要について
(4−1)九州電力株式会社玄海原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)ついて(諮問)
(4−2)九州電力株式会社 玄海原子力発電所 原子炉設置変更許可申請書(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)
(4−3)九州電力株式会社玄海原子力発電所原子炉設置変更許可申請(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)の概要について
(5)北陸電力株式会社志賀原子力発電所2号機増設に伴う志賀原子力発電所1号機管理区域境界壁貫通工事において発生するコンクリート切断片の取扱いについて
(6)原子力安全委員会専門委員の任命及び原子力事故・故障調査専門部会の構成員の変更について

午後 2時00分開会


○松浦委員長 ただいまから第10回原子力安全委員会定例会議を開催いたします。
 本日、鈴木委員は他の公務のご都合で少しおくれて参会されますので、その旨お伝えしておきます。
 最初の議題は、「株式会社日立製作所による日立エンジニアリング株式会社の原子炉の譲受けについて(諮問)」であります。
 本件に関しまして、文部科学省原子力規制室倉田安全審査企画官からご説明お願いいたします。
○説明者(倉田安全審査企画官) よろしくお願いします。
 株式会社日立製作所から、炉規法の規定に基づきまして、その系列会社でございます日立エンジニアリング株式会社が所有いたします原子炉を譲り受けたいとの申請が当省に対してなされましたので、炉規法の規定に基づきまして、原子力安全委員会に諮問させていただきます。
 日立エンジニアリング株式会社が所有する原子炉、HTR(日立トレーニングリアクター)は、お手元の資料1−3号の3ページにございますように、昭和35年に設置の許可を得まして、昭和37年から運転を開始いたしました。同じ資料の2ページでございますが、許可を得まして、研究用あるいは教育訓練用等に利用されてきたわけでございます。
 HTRは、その後の昭和50年に運転を停止いたしまして、解体作業が開始され、現在は、原子炉本体初めほとんどの部分は解体撤去されておりまして、使用済燃料とドラム缶に封入された廃棄物を保管、管理している状況となってございます。
 本件申請は、今般日立エンジニアリング株式会社の内部組織が変更されたことに伴いまして、株式会社日立製作所から、原子炉の譲り受け申請がなされたものでございまして、そのポイントを申し上げますと、日立エンジニアリング株式会社のHTRの保安要員と資金につきましては、そのまま株式会社日立製作所に移動いたします。また、引き続き使用済燃料等ドラム缶に封入された廃棄物を保管、管理しているということでございます。
 私どもの審査の結果を、お手元の資料の1−1の2ページ目に記載してございます。朗読いたします。
 1.技術的能力に係る部分でございますが、「本件申請に係る原子炉の譲受に伴い、譲渡者である日立エンジニアリング株式会社の当該原子炉に係る人材は、譲受者である株式会社日立製作所に転属し、継続して当該原子炉の管理を担当するとしている。また、株式会社日立製作所の譲受後の当該原子炉施設を管理する組織は、譲渡者の管理していた組織を承継するとしている」。したがいまして、技術的能力があるものと認められるということでございます。
 続きまして、2.災害防止でございますが、本件申請によりまして、日立製作所が日立エンジニアリングから譲り受ける原子炉施設は、主要設備は解体され、使用済燃料及び固体廃棄物が保管、管理されているものでございます。また、本件申請に伴う施設の変更はなく、日立製作所により使用済燃料及び固体廃棄物は適切に管理されることとなってございます。したがいまして、災害の防止上支障がないものと認められる。
 以上のとおり判断いたしました。
 以上でございます。
○松浦委員長 ただいまのご説明に関しまして、何かご質問なり、あるいはご意見ございましたらどうぞ。
○須田委員 細かいことですが、ちょっと確認をしておきたいと思いますが、資料1−3の4ページ、燃料に関しての表がございますね。ここで、燃焼度というのは、恐らく燃料棒ごとに異なるのじゃないかと思うので、この数字は最大燃焼度だろうかと思いますし、冷却期間も、場合によっては燃料によって違うので、35年以上は冷却しているという意味なのかと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○説明者(倉田安全審査企画官) 燃焼度は最大でございます。それから、最長35年。
○須田委員 つまり長いものなんですか。短いものは30年かもしれないし、20年かもしれないということになるんですか。
 それともう1点、放射能強度というのは、1本当たりのベクレル数でしょうか、それとも総計なんでしょうか。いずれも細かい話ですけれども、表のことですから、明確にしておいていただいた方がいいかと思います。
○説明者(倉田安全審査企画官) 後ほどお答えさせていただいてもよろしゅうございますでしょうか。恐らく1本だと思います。
○松浦委員長 それでは、今のこの表に関しては、先ほどもお答えがありましたが、確実に押さえた上で、例えば燃焼度が/Tとなっておりますので、最高ともいえるし、炉心燃料全部の平均ともいえる。そういう点も確認していただいて、それから冷却期間も、確かに50年にとまっているわけですから、一番短くてもそれよりも短いということはあり得ないんですが、これは最長であるか最短であるか。放射能強度に関しましても、合計なのか最高なのか、そのあたり確実な数字にしてお答えいただきたいと思います。よろしくお願いします。
 ほかには何かご質問ございませんか。
 それでは、本件に関しましては、当委員会において調査審議を行うことにいたしたいと思います。なお、本件のご担当としては、須田委員と飛岡委員にお願いいたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。よろしくお願いします。
 どうもご説明ありがとうございました。
 次の議題に移ります。
 次の議題は、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)について(諮問)」であります。
 本件に関しまして、原子力安全・保安院原子力発電安全審査課山本統括安全審査官からご説明お願いいたします。
○説明者(山本統括安全審査官) 山本でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、東京電力株式会社福島第一原子力発電所に係ります設置変更の諮問についてご説明させていただきたいと思います。
 資料は、2−1と2−3号、もう1件2−2号といたしまして、縮小版ということでございます。
 それでは、2−3号に基づきまして、申請の概要につきましてご説明させていただきます。
 申請者は東京電力株式会社でございます。対象となるプラントにつきましては、福島第一原子力発電所でございます。原子炉の型式、熱出力につきましては、型式につきましては、3号がウラン・プルトニウム混合酸化物燃料、MOX燃料を使えるということで設置許可を受けてございまして、これ以外の2から6号については同じでございます。熱出力につきましては、2から5号につきまして、2380MW、6号については3300MWでございます。
 申請年月日につきましては、昨年の7月5日に申請があったわけでございます。それから、変更項目につきましては2点ございます。2号につきまして、冷却材再循環ポンプの電源装置を、従来機械式でございましたMGセットから、電子装置を用いました静止形に変更するというものが第1点でございまして、もう1点は、2から6号共通でございますが、残留熱除去系の蒸気凝縮系の機能を削除するものでございます。この工事につきましては、一昨年、中部電力の浜岡1号で余熱除去系の蒸気凝縮系配管が破断するというトラブルがございまして、この対策工事でございます。既に浜岡1号、東海第二、女川発電所で、それぞれ許可を受けまして、工事を行っております。
 2ページに参りまして、工期につきましては、4ページに一覧で載せてございますが、各プラントの定期検査等に合わせまして工事を行うということでございまして、最も完成がおくれるものとしては4号、5号が平成17年工事を終わるという予定でございます。
 変更の工事に要します資金につきましては、2号の電源装置の取替えに2つセットがございまして、両方合わせまして約15億円ということでございます。それから、蒸気凝縮機能の削除につきましては、5プラント分合わせまして、約10億円ということを考えてございます。資金は自己資金等で調達する予定でございます。
 3ページに参りまして、「2.変更の概要」につきましてご説明させていただきますと、冷却材再循環ポンプというものがございますが、これの速度を制御するのは、供給します電気の電源周波数を変えることによってポンプの速度を変化させてございます。従来は機械式のMGセットを用いておりましたが、昨今、電力用の電子装置が非常に耐圧もよくなってきておりまして、大容量のサイリスタが開発されたということもございまして、今回取替えに当たりましては、電子装置を用いました静止形の電源装置を使いたいという申請でございます。これにつきましては、東京電力管内で実績がございまして、柏崎3号、4号、6号、7号の方で既に採用されてございます。他社で申しますと、浜岡4号、女川2号、3号、志賀1号などでも採用されている技術でございます。
 それから、b.に参りまして、2号から6号の残留熱除去系の蒸気凝縮機能の削除。これにつきましては、先ほど申しましたが、浜岡1号でトラブルがありました配管を撤去するということでございます。この機能は、機能的には安全上必須の設備ではないということで、例えばこれがなくなった後でも、主蒸気逃し安全弁を使うことによりまして、原子炉の崩壊熱等を問題なく除去することができるということで、今回削除するということでございます。「機能の削除」と書いてございますが、これは実際配管を取る話ではございませんで、機能を削除するということで、閉止栓をするという工事でございます。
 以上が今回の申請の概要でございまして、今回の申請に合わせまして、記載の適正化ということで、従来2号、3号の原子炉隔離時冷却系の水源は明確に書いてございませんでしたが、今回明確に記載するということ。それから、2号から6号につきまして、原子炉停止時冷却設備を残留熱除去系の機能として記載するということで、この2点、最新のプラントに合わせた記載とするということで考えてございます。
 4ページは先ほど説明しましたので、5ページに参りまして、ここで印をつけたところが変更のところでございまして、印をつけてないところで1点若干変わってますのが、タービン調速機構というのが一番上の行に書いてございまして、ここから左側に負荷/速度偏差信号が出てまいりますが、こちらにつきましては、負荷追従運転を行うときの信号をタービンから取っているという回路でございまして、ここは従来から設備があったにもかかわらず、記載がされていなかったということで、今回適正化するということでございます。必ずしも負荷追従運転を行いたいということで書き込んだものではございませんで、実設備に合わせるということで、今回書き込んだものでございます。
 第3図に参りますと、左側の変更前の図面の太線のところが、今回対象の機器でございます。変更後のところに残留熱除去系の熱交換器が記載されていませんが、実設備を取り払うわけではございません。機能としてなくなるわけで、そこを外したわけでございます。
 以上が概要でございます。
 資料2−1が諮問文でございます。
 内容につきましては、従来諮問に際しまして書いております内容と同じでございますので、別紙の方の基準の適合についてご説明いたしますと、まず、1.技術的能力に係る部分に限る。ここにつきましては、本件申請に係る変更を実施するために必要な、かつその変更に係る原子炉施設の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があるものと判断いたしてございます。
 2.といたしまして、災害防止に関しましては、本件申請に係る変更は、添付資料のとおり、災害の防止上支障がないものと判断いたしたわけでございます。 添付資料につきましてご説明いたしますと、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の原子炉の設置変更(2号、3号、4号、5号及び6号原子炉施設の変更)に係る安全性について」という資料でご説明させていただきます。
 「I.審査結果」、「II.変更申請内容」につきましては省略させていただきまして、「III.審査方針」につきましては、申請者から出されました申請書に基づきまして審査をいたしてございます。そのとき用いました指針等につきましては、3ページの中ほどに書いてあるような指針を用いまして、それから、先行の炉の審査経験等を参考といたしまして審査をいたしてございます。
 「IV.審査内容」につきましては、4ページ以降に書いてございますが、原子炉施設の安全設計、安全評価について検討をいたしてございます。安全設計につきましては、原子炉施設の設計が、安全を確保する上で支障がないこと。そういう設計になっているかということで確認をいたしております。
 下から4行目、プラント安全性の解析につきましては、電源装置を変えることによりまして応答性が若干変わりますので、解析をやり直しております。その結果、いずれも問題がないという結果でございます。
 残留熱除去系につきましては、5ページ中ほどに書いてございますが、先ほど申しましたが、安全上必須のものではありません。ただ、本変更によります原子炉隔離時の冷却器への影響、それから残留熱除去系の安全機能への影響、この2点につきまして確認いたしました。
 蒸気凝縮系を撤去いたしましても、これにかわる機能といたしましては、逃がし安全弁が働くことによりまして、原子炉の崩壊熱を除去することは可能でございます。また、原子炉の水位の確保につきましては、原子炉隔離時冷却系を起動させることによりまして確保することが可能でございます。
 以上から、原子炉隔離時の冷却機能への影響はないというふうに判断してございます。
 残留熱除去系の安全機能への影響につきましては、もともと取り外します蒸気凝縮機能だけに使われる部分を削除するということですので、その他の機能に対しては、安全上問題がないと判断してございます。
 以上が原子炉施設の安全設計でございます。
 次に、安全評価につきましては、6ページ以降まとめてまいりました。
 安全評価につきましては、運転時の異常な過渡変化の解析及び事故の解析の2点を評価してございまして、過渡変化の解析につきましては、6ページ中ほどに書いてある7つの事象につきまして、解析条件が変わります。したがいまして、7つの事象につきまして解析をやり直してございます。その評価につきましては、安全評価指針に基づいて評価をいたしてございます。その結果は、いずれも問題がないという結論に達しております。
 7ページ、上の方に書いてありますが、7つの事象以外の3つの事象につきましては、いずれも電源の変更が解析条件として入っておりませんので、こちらについては変更がございません。
 事故の解析につきましては、冷却材喪失につきまして、解析条件として入ってございますので、それにつきましては評価をし直してございます。こちらにつきましても、10秒以内の数秒の値ですが、短期間につきましては、評価結果が若干変わりますが、長期期間、数十秒でございますが、長期間の変化を見ますと、ほとんど変わらないという評価になってございます。
 以上、変更後においても、本原子炉の工学的安全施設に関する設計は妥当なものと判断をいたしました。残留熱除去系の蒸気凝縮系削除に関しましては、解析に本件の条件を使ってございませんので、従来の解析結果が変わるというものではございません。
 以上、本件の諮問についてご説明いたしました。
○松浦委員長 ただいまのご説明に対しまして、ご質問なり、あるいはご意見、ご指摘ございましたらどうぞ。
○須田委員 2−3の資料の最後、第3図というところに、注が2つついておりまして、注1はもちろんよくわかるんですが、注2が何を意味しているのかちょっとわかりにくいんですけれども。左側の変更前の図で、太い線で書いてある部分がありますね。
○説明者(山本統括安全審査官) A.O弁は取り外さないということでございます。A.O弁の下の方の黒い線のところで切り離す。
○須田委員 そうしますと、下の方の黒い線というのは、ポンプの上の縦の線のところで1つ切り離されるんですか。
○説明者(山本統括安全審査官) A.O弁の下で切り離して、ポンプの逆L字型に曲がったRCICのポンプの配管のところでまた切り離す。
○須田委員 つまり、この逆L字型の部分が、それだけで単に切り離す。
○説明者(山本統括安全審査官) はい、そういうことでございます。
○須田委員 熱交換器の入口側も、同じように高圧注水系タービンの配管のところから、逆L字型の部分が外される。
○説明者(山本統括安全審査官) タービンの太い配管のところから切り離しまして……。
○須田委員 熱交換器とA.O弁とが切り離されて残っている。3分割されるという意味ですか。
○説明者(山本統括安全審査官) この絵からいきますと3分割という形になりますが、実際はもっと。
○須田委員 もっと細かいでしょうけれども、機能的には3分割される。
○説明者(山本統括安全審査官) この絵からいきますと、そういうことになります。
○須田委員 わかりました。
○飛岡委員 同じ2−3の資料で、気になりますのは、5ページの負荷/速度偏差信号に対しての取り扱いなんですが、これはなぜ今まで申請されてなくて、なぜ今申請するんですか。ほかとの関連がちょっと面倒くさいなという感じがするんですが。
○説明者(嶋崎安全審査官) 基本的にはこの図面上の問題だけで、さっきも1つ審査書の中で触れましたが、応答性などでは、タービン調速機構の自動モードを使ったオート解析を行っているところでございまして、従来設置許可は、この自動モードが前提としてなされているところでございます。
 ただ、この書かれている設置許可申請書の図面上から、従来使わないということで落ちておったわけでございますが、設置許可の性格の整合性もありまして、今回記載をするという形をとらせていただいたものでございます。
○飛岡委員 確認したいんですが、これは添8では審査しているんでしたっけ。この負荷/速度偏差信号でロードフォローをやりますという格好の申請は出てないと思うんですが。
○説明者(嶋崎安全審査官) 添10解析とかでも、事象によっては、当然今の自動モードを解析条件としているものもございますので、そういうものについてはやっている形になっていると思います。
○飛岡委員 わかりました。ちょっと確認させてください。
○松浦委員長 ほかの点は。
○須田委員 ちょっと今のに関連しまして。従来記載がなかったから、今回きちんと記載するという話でしたけれども、ほかのプラントではどうなっているんでしょうか。ほかのは従来からきちんと記載されているのか、それとも、同じような機能があっても記載されていなくて、今後順次記載をしていくということなのか。
○説明者(山本統括安全審査官) ほかのプラントについてわかりませんので、これはちょっと調べさせていただきます。
○松浦委員長 それでは、先ほどの飛岡委員のご質問に対する点も、それから今の須田委員からのご指摘につきましても、調べてまたお伝えいただければありがたいと思います。
 それでは、本件に関しましても、当委員会で調査審議を行いたいと思いまして、また、本件の担当委員としては、須田委員と飛岡委員にお願いいたしたいと思いますが、よろしくお願いします。どうもご説明ありがとうございました。
 次の議題は、「東京電力株式会社福島第二原子力発電所の原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)」であります。 本件に関しまして、原子力安全・保安院原子力発電安全審査課小原統括安全審査官からご説明お願いいたします。
○説明者(小原統括安全審査官) 福島第二原子力発電所の設置変更についてご説明させていただきます。関係します資料は、第3−1号、3−2号、3−3号でございます。
 最初に、3−3号が変更の概要についてということですので、こちらからご説明させていただきたいと思います。
 1枚おめくりいただきまして、申請者は東京電力株式会社、対象が福島第二原子力発電所ということでございまして、対象原子炉は、1号、2号、3号、4号全てでございます。申請年月日は、平成14年7月5日付でございまして、平成15年1月30日付をもちまして、一部補正がなされてございます。
 変更の項目といたしましては、1点目が、残留熱除去系の蒸気凝縮モードの機能を削除するというものでございます。これは、ただいまございました福島第一原子力発電所と同様の機能削除の変更でございます。2点目といたしまして、1号、2号、3号、4号共有施設ということになってございますが、低伝導度廃液系におきまして、クラッド除去装置を撤去するということ、同じくろ過装置を変更するというものでございます。
 工期につきましては、4ページ目に工事計画をお示ししてございまして、蒸気凝縮モードの削除につきましては、今の見込まれる定期検査期間の中でこのように実施をしていく。それから、低伝導度廃液系に関します工事につきましては、定期検査と直接関連いたしませんけれども、平成15年度から16年度にかけまして、このような形で工事をするという計画になってございます。
 2ページ目に戻っていただきまして、変更の工事に要する資金の額につきましては、蒸気凝縮モードの機能削除に関しましては、1号、2号、3号、4号合わせまして約8億円。また、低伝導度廃液系関係の工事としましては、約5千万円という予定になってございます。
 変更の概要につきまして、もうちょっと補足的にお示ししてございますのが3ページでございます。
 まず1点目の残留熱除去系の蒸気凝縮モードの機能削除でございますが、関係の図面といたしまして、5ページ目にお示しをしてございます。左側が変更前、右側が変更後ということで、変更前をごらんいただきますと、太線でお示ししております部分が機能削除の範囲ということでございまして、熱交換器周りは別なモードでも使うということで、残されるということでございます。
 それから、もう1点の変更でございます低伝導度廃液系の関係につきましては、6ページ目に、変更前後の系統概要図ということでお示しをしてございます。
 上側が変更前、下側が変更後ということで、大きく分けまして、主に1号及び2号炉関係を対象としますライン、1号、2号炉廃棄物処理建屋。それから同様に、下側が3号、4号の廃棄物建屋という、主な系統としては2系統が設置されております。
 上側の1号、2号関係をごらんいただきますと、こちらはろ過処理の前のところで、「クラッド除去装置」という、いわゆる前処理的な装置が設置されてございました。これにつきましては、機能的に、なくても必要な除染性能が確保されるということで、今回の変更によりまして、撤去をするということでございます。ちなみに3号、4号炉廃棄物処理建屋関係につきましては、従来から設置をされておらないというものでございます。
 また、ろ過装置につきましては、この図面ではろ過装置という名称だけで、見えてきてございませんが、実際には、設置されておりますろ過装置が別なろ過装置に変更されるということでございます。処理系統としては、従来と同様な処理系統になります。
 それから、「分離水タンク」というのが真ん中あたりにあります。これが、変更後に行きますと、「ろ過器供給タンク」という形になってございますが、これにつきましては、クラッド除去後の廃液が空気分を含んでいるということで、分離水タンクにおきまして、空気分と水分とを分離するという役割を持たせておりました関係上、こういう名称になってございました。これにつきましては、役割としては、空気、水の分離は要らなくなるわけでございますが、ろ過装置に供給する中継タンクという形で残すということになってございます。したがいまして、名称を変更するという形でございます。
 以上が変更の内容でございまして、これらを踏まえまして審査した結果ということで、3−1号でございますが、このような形で諮問をさせていただいてございます。
 3−1号、1ページ目は定型的な諮問文でございまして、許可の基準に適合していると認められるので、委員会の意見を求めるということでございます。
 具体的には、2ページ目に(別紙)ということで掲げてございまして、1点目の技術的能力につきましては、ここにございますように、「本件申請に係る変更を実施するために必要な、かつ、その変更に係る原子炉施設の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があるものと認められる」、このような判断をいたしてございます。
 また、2点目の災害防止につきましては、添付ということで、安全審査書を添付させていただいてございまして、「災害の防止上支障がないものと認められる」、このような判断をいたしてございます。
 添付の安全性についての資料でございますが、「I審査結果」ということで、基準に適合しているものと認められる。続きまして、2ページ目、「II変更申請内容」、これは先ほど概要でご説明させていただいた項目でございます。また、3ページ目が「III審査方針」ということで、ここで挙げてございますような指針類を踏まえて審査をした。また、先行炉の審査経験等を参考としたということで書かれてございます。
 続きまして、4ページ目、ここからが「IV審査内容」ということでございます。安全設計関係につきまして、まず1点目、1.1残留熱除去系の蒸気凝縮モードの機能削除でございますが、1つは(1)原子炉隔離時の冷却機能への影響ということで確認をしてございまして、この機能削除をしましても、炉心崩壊熱等により発生します蒸気をサプレッションプールへ放出できるということ。それから、炉水の維持という観点では、復水貯蔵タンク及びサプレッションプールの水を水源とする隔離時冷却系により維持することが可能だということで、隔離時の冷却機能への影響はないというふうに判断をいたしてございます。
 また、2点目の(2)残留熱除去系の安全機能への影響でございますが、残留熱除去系、ここに掲げてございますように複数のモードを有してございます。今回機能削除をされますのは、蒸気凝縮モードのみに使用される部分ということで確認をいたしてございまして、残ります各モードの機能としては維持されるという判断をいたしてございます。
 それから、1.2低伝導度廃液系の変更でございます。
これにつきましては、先ほどご紹介いたしましたように、1つはクラッド除去装置を撤去する。もう1つは、ろ過装置を変更するということでございますが、既設の補助ろ過装置、これは100%容量を持ってございます。これを本設という形で使用するという内容でございます。これらを踏まえて、審査結果を取りまとめてございます。
 1点目、(1)低伝導度廃液系の処理能力でございますが、これにつきましては、クラッド除去装置の撤去及びろ過装置の変更を踏まえましても、変更前と同等の処理能力を有しているということ。また、変更前と同等の除染性能を有しているということを確認をいたしました。したがいまして、変更後においても必要な処理能力を有しているというふうに判断をしたものでございます。
 また、次の6ページ目に参りまして、(2)液体状の放射性物質の漏えいの防止及び敷地外への管理されない放出の防止ということでございますが、この設置されますろ過装置につきましては、既設の廃棄物処理建屋の区画の中に設置をされているということで、この区画については、漏えいしがたい対策、せきの設置、漏えい拡大防止の対策等々が講じられてございます。また、既に低伝導廃液が管理されない状態で敷地外へ放出されることのない設計ということになってございますので、適切というふうに判断をしてございます。
 また、3点目の(3)放射線業務従事者の放射線防護等につきましてでございますが、廃液の処理、それから関係する装置の保守、具体的にはろ過装置の逆洗等々の操作が必要になってまいりますが、こういった操作につきましては、廃棄物処理建屋に制御室がございまして、そちらで集中監視あるいは集中操作ができるということで、遠隔操作ができますので、適切という判断をしたところでございます。
 また、安全評価につきましては、今回のこのような変更を踏まえましても、解析に用いた条件に変更を与えるということがございませんので、特に従来の解析結果が変更されるものではないということでございます。あと、審査経過について最後取りまとめてございます。
 ご説明、以上でございます。
○松浦委員長 それでは、本件に関しまして、ご質問あるいはご意見ございましたらどうぞお願いします。
○須田委員 誤植じゃないかと思うところがあるんですが、添付の審査書の5ページ、1.2というところの2つ目のパラグラフ、「このため」というところがありますが、そこで「……及び敷地外への管理されない放出の防止」というのが2回繰り返されているようなんですが。
○説明者(小原統括安全審査官) 「及び」が2回続いてございますので、最初の方の及びが「・」が適切かと思います。失礼いたしました。同じ言葉を2つ繰り返しておりますので、「及び敷地外への管理されない放出の防止」、1つ削除させてください。失礼いたしました。
○飛岡委員 1つ気になっているのは、福一の場合には、残留熱除去系の蒸気凝縮系「機能」の削除である。福二の場合には、たしか蒸気凝縮「モード」の削除である。これは要するに申請が違っているという格好ですか。
○説明者(小原統括安全審査官) 第二の場合には、この審査書に書いてございますように、「モード」という言い方をしてございます。
○飛岡委員 実質的には同じであるけれども、申請の内容が違っていて、しかも福二の場合は、ほかにも幾つかモードを持っております、そういうふうに解釈してよろしいわけですね。
○説明者(小原統括安全審査官) そのとおりでございまして、申請書の中では、それぞれの機能について「モード」という言い方をして区分けしてございます。これ以外につきましては、審査書の4ページの最後の方にございますように、蒸気凝縮モードに並ぶ各機能としまして、原子炉停止時冷却モード等々がございます。
○松浦委員長 ほかには特にございませんか。
 本件も、これまで出ておりますのとかなり類似のものでございますので、また当委員会において調査審議を行うことにいたしたいと思います。そしてまた、ご担当委員としては、須田委員と飛岡委員にお願いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。ご説明どうもありがとうございました。
 次の議題は、「九州電力株式会社玄海原子力発電所 原子炉の設置変更(1号、2号、3号及び4号原子炉施設の変更)について(諮問)」であります。
 本件に関しまして、原子力安全・保安院原子力発電安全審査課佐藤総括安全審査官からご説明お願いいたします。
○説明者(佐藤総括安全審査官) それでは、玄海原子力発電所の1号、2号、3号、4号の変更の概要について説明いたします。資料4−3でございます。
 まず、1ページをお開きいただきたいと思いますが、申請者でございます。九州電力株式会社でございまして、発電所が玄海原子力発電所。変更に係る原子炉につきましては、1号、2号、3号及び4号原子炉でございます。申請の年月日が昨年の10月30日ということでございまして、本年2月6日に一部補正を行ってございます。
 変更項目でございますが、4項目ございまして、いずれも廃棄物系の変更でございます。
 まず最初に、気体廃棄物処理設備の共用化及び一部撤去並びに液体廃棄物処理設備の一部共用化でございます。2番目が、雑固体溶融処理設備の設置、3番目が使用済樹脂貯蔵タンクの共用化及び増設、4番目が固体廃棄物貯蔵庫の増設でございます。
 以下、それぞれの項目について、簡単に概略を説明させていただきます。
 3ページをお開きいただきたいと思います。
 まず、2.変更の概要の気体廃棄物の共用化及び一部撤去でございます。
 この気体廃棄物の共用化につきましては、ページの6をお開きいただきたいと思います。
 第1図ということで、気体廃棄物処理設備の共用化概要図と書いてございます。本変更につきましては、体積制御タンクから分岐いたしまして、水素廃ガス圧縮機2台、それから水素分離装置1基、水素廃ガス減衰タンク4基、このものを撤去するということでございまして、水素廃ガス減衰タンク4基につきましては、ガス減衰タンクとして再利用するというものでございます。
 この撤去の理由でございますが、水素廃ガス圧縮機の用途を説明させていただきますと、例えば燃料リークなどがありますと、1次冷却材中の放射性物質の濃度が上がるということで、その際にこの設備を運転して、体積制御タンクから脱ガス操作を行って、そのガスを水素廃ガス減衰タンクに貯留するというものでございまして、一部水素が含まれておりますけれども、その水素については、分離装置で回収して再利用するという考え方でございます。
 ただ、最近の運転の実態等を考えると、そもそも燃料リーク自体がないということもございますが、この設備がついているプラントが、我が国におきましては、玄海1、2号、それから川内1、2号等限られたプラントでございまして、最近のプラントはこういったものもついてないということでございます。実態的にこういうものがついていることによるメンテナンスの問題、被ばくの問題、こういったことがあるということで、水素圧縮機、それから分離装置の撤去を行いたいという申請でございます。
 2番目の液体廃棄物処理設備の変更でございますが、これは7ページをお開きいただきたいと思います。
 これは、各タンクから廃液を処理するわけでございますが、この廃液を蒸発濃縮して、蒸留水についてはタンクにためる。また、濃縮廃液についてはタンクにためる、もしくは固化処理する。こういった流れになるわけでございますが、ここで廃液を蒸発する装置でございます。ここにそれぞれ号炉ごとに、A、B、A、Bと書いてございますが、これが蒸発する装置でございますが、この蒸発装置の蒸発させるやり方が若干違っておりまして、蒸留水の方にできるだけ不純物が行かないようなやり方で対応したいということでございまして、容量的にも十分余裕があるということで、1号炉についてはB廃液蒸発装置、2号炉についてはA廃液蒸発装置を撤去するというものでございます。また、その1号、2号のところに対ラインを設けることによりまして、それぞれの蒸発装置を共用しようというものでございます。
 そういうことによりまして、蒸留水のモニタ脱塩塔が要らなくなるわけでございますが、廃液蒸留水モニタタンクにつきましては、これはタンクとしてございますので、廃液蒸留水タンクとして再利用するという変更でございます。
 7ページの右上のところに、再生廃液中和タンクを撤去するとございますが、これは文章の方に返りますけれども、3ページをお開きいただきたいと思います。下から6行目に「また、ほう素除去脱塩塔及びほう酸蒸留水脱塩塔は、当初の想定と異なり樹脂再生の必要がなく、今後もこの状況が変わることは想定されないことから、同脱塩塔の樹脂再生廃液を受入れる専用のタンクである2号炉の再生廃液中和タンクを撤去する」という記述がございます。
 この概略を簡単に説明いたしますと、そもそもほう素除去脱塩塔の役割でございますが、1次冷却材のほう素濃度を調整するために置かれているものでございまして、この1次冷却材のほう素濃度を調整するやり方というのは、1次冷却材中に純水を供給するというやり方、それから、この脱塩塔を使ってほう素を除去するというやり方が考えられるわけでございます。この希釈のやり方については、これまで純水を供給することで希釈をするというのが一般的なやり方でありまして、ほう素除去脱塩塔を使用しているというケースがほとんどございません。このようなことでございます。
 もう1つは、ほう酸蒸留水脱塩塔の役割でございますが、ほう酸回収装置のキャリーオーバーのほう素除去をする目的でつくられている脱塩塔でございますが、ほう酸回収装置自体が非常に実績がよくて、キャリーオーバーするものもほとんどない。こういったことで、いずれも両脱塩塔については、当初の想定と異なって、使うことも少ないし、使ったとしても非常に頻度が低いということで、再生することはやめようということで、そういった廃液を受け入れる専用タンクも撤去しようというものでございます。
 以上が、気体廃棄物及び液体廃棄物の共用化並びに撤去についてのご説明でございます。
 2番目が、(2)雑固体溶融処理設備の設置ということでございまして、4ページに文章が書いてございますが、原子力発電所において発生する雑固体廃棄物について、日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センターで埋設処分が実施されているということでございまして、このため玄海発電所の固体廃棄物貯蔵庫に貯蔵保管している雑固体廃棄物を減容し搬出するため、新たに雑固体溶融処理設備を、1号、2号、3号及び4号を共用として設置するというものでございます。 簡単なポンチ絵を8ページの方にかいてございますが、出てきた廃ガスはセラミックフィルタ、微粒子フィルタで除去した後に、大気へ放出するという設計でございます。
 戻っていただいて恐縮でございますが、4ページ、(3)使用済樹脂貯蔵タンクの共用化及び増設でございますが、これは1、2号及び3、4号炉で使用済樹脂を貯蔵しているところでございまして、これについては9ページに概略がかいてございます。
 これは使用済樹脂貯蔵タンクの容量がかなり足りなくなってきているといったことで、将来を見越して、1、2号と3、4号の使用済タンクの共用化を行うことと、一部使用済樹脂タンクを増設するという変更でございます。なお、1号、2号及び3号、4号の使用済樹脂の移送につきましては、使用済樹脂移送容器を使って移送をするという考え方でございます。
 4ページ目の(4)固体廃棄物貯蔵庫の増設でございまして、これは2万本相当の固体廃棄物貯蔵庫を1号、2号、3号及び4号共用として設置するという変更でございます。
 これが変更の概要でございまして、これにつきます当方の安全審査の結果でございますが、資料4−1号でございます。
 諮問文につきましては、定型でございますので説明を省略させていただきまして、2枚目をお開きいただきたいと思います。
 別紙でございますが、まず1番目、技術的能力に係る部分でございますが、「申請者には、技術者の現状等から見て、本件申請に係る変更を実施するために必要な、かつ、その変更に係る原子炉施設の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力あるものと認められる」ということでございます。
 それから、2番目の災害の防止でございますが、これにつきましては、添付の安全審査書をお開きいただきたいと思います。
 「I審査結果」について説明いたしますと、4ページ以降でございます。
 まず、(1)気体廃棄物の廃棄設備の共用化及び一部撤去でございますが、この審査に当たりましては、設備の共用に伴う影響、それから廃棄物の処理能力について検討を行ってございます。
 まず、共用化することによって、原子炉の安全性が損なわれることはないと判断いたしてございます。また、処理能力でございますが、ガス圧縮装置及びガス減衰タンクを1号及び2号炉で共用いたしますが、両炉におきます最大のガス発生量は、1時間当たり54立米でございますが、それに対して、処理できる能力は、1基当たり68立米、1時間当たり68立米のものを2基設置するということで、処理できる能力が確保されると判断いたしてございます。
 また、水素廃ガス処理系統が撤去されますが、撤去した場合においても、水素廃ガスは、他の気体廃棄物と同様減衰タンクにおいて貯留し、減衰した後、放射性物質の濃度を監視しながら放出できるということでございます。こういったことから、気体廃棄物廃棄設備の共用化及び撤去に係る設計は妥当なものと判断してございます。
 また、液体廃棄物の一部の共用化につきましても、同様に、共用による影響、放射性廃棄物の処理の能力について審査いたしてございます。
 共用につきましては、原子炉の安全性を損なうことはないと判断いたしてございます。また、処理能力でございますが、一番下に書いてございます1号及び2号炉における最大の廃液等の発生量を処理できる能力が確保されるということでございまして、年間当たり約4400立米発生するという廃液に対して、1基当たり7440立米の処理できる能力を2基有するという設計でございまして、処理能力は問題ないと判断いたしてございます。
 5ページでございますが、以上のことから、液体廃棄物の廃棄設備の共用化に係る設計は妥当なものと判断いたしてございます。
 3番目が(3)雑固体溶融処理設備の設置でございますが、この審査につきましては、自然現象に対する考慮、火災に対する考慮、放射性物質の散逸等の防止、放射線業務従事者の放射線防護、これらについて検討を行ってございます。
 自然現象につきましては、耐震Bクラスとして設計されるということでございます。また、火災につきましては、必要な箇所に、自動火災検出装置及び消火装置を設置するということでございます。また、廃ガスにつきましては、セラミックフィルタ、微粒子フィルタを通して、放射性物質の濃度及び量を合理的に達成可能な限り低減できるよう設計されるといたしてございます。
 また、放射線業務従事者の受ける線量でございますが、これにつきましても、機器の配置、遮へい、換気等放射線防護上の措置を講じた設計とされるということでございます。また、処理建屋からの直接線量、スカイシャイン線量につきましては、発電所全体の合計として、空気カーマで年間50μGy以下となるよう遮へい設計を行うことといたしてございます。
 これらのことから、当該設備に関する設計は妥当なものと判断いたしてございます。
 6ページでございますが、(4)使用済樹脂貯蔵タンクの共用化及び増設でございまして、これにつきましては、設備の共用による影響、貯蔵能力、放射性物質の散逸等の防止、放射線業務従事者の放射線防護について検討いたしてございます。
 まず、共用については、安全性を損なうことはないといたしてございます。
 それから、貯蔵能力でございますが、これまで約107立米のものが設置されてございまして、貯蔵できる容量でございますが、272立米のものが設置されるということで、年間約9立米ぐらい発生するといったことから、十分な貯蔵能力を有すると判断いたしてございます。
 それから、移送につきましては、ここにありますように、放射性物質の散逸を考慮した設計とされるということでございます。
 本変更に係る設備につきましては、堰、漏えい検出器の設置等により、漏えいの拡大を防止する対策を適切に講じた設計となってございます。また、放射線防護上の措置も講じた設計とされるということで、使用済樹脂貯蔵タンクの共用及び増設に係る設計は妥当なものと判断いたしてございます。
 最後でございますが、(5)固体廃棄物貯蔵庫の増設につきましては、これにつきましても、自然に対する考慮、火災に対する考慮、放射性廃棄物の貯蔵能力、放射線業務従事者の放射線防護等について検討を行ってございます。
 固体廃棄物貯蔵庫は耐震Cクラスでございまして、また、火災につきましては、自動火災検出装置及び消火装置を設置するという設計でございます。また、固体廃棄物貯蔵庫の面積が約5900立米でございまして、200リットルドラム缶で約2万本の貯蔵能力を持つということでございます。現在同発電所におきましては、2万9000本の貯蔵能力を持つ貯蔵庫がございますが、それにさらに2万本を追加するということで、十分な貯蔵能力を有するものと判断いたしてございます。
 また、放射線業務従事者の影響、固体廃棄物貯蔵庫からの線量の影響等についても検討してございまして、いずれも問題ないということで、固体廃棄物貯蔵庫に係る設計は妥当なものと判断いたしました。
 これが設備に関する当方の審査結果でございます。
 2番目の「2.平常運転時における原子炉施設周辺の一般公衆の線量評価」でございますが、放射性物質の放出の算出に当たりましては、液体廃棄物中の放射性物質の放出量は増加いたしますけれども、線量評価に用いる年間放出が変わらないということで、従来と変わらない結果が得られてございます。合計といたしまして、年間約7.7μSvということでございまして、線量目標値を下回っていることを確認いたしてございます。
 「3.事故解析」でございますが、放射性液体廃棄物処理設備の破損が評価事象としてあるわけでございますが、従来水素廃ガス減衰タンクを破損するタンクとして評価してございますが、それが撤去されるということでございまして、解析対象設備を水素廃ガス減衰タンクからガス減衰タンクに変更されるということで、中に貯留されるガスの量が少なくなります。3分の1程度でございまして、放出される希ガスの量は、従来に比べて約3分の1程度でございます。また、最大の実効線量につきましても、約0.043mSvということで、周辺の公衆に対し、著しい放射線被ばくのリスクを与えることはないということでございます。また、他の事象についても解析条件の変更はないということで、従来の解析結果が変更されるものではございません。
 以上が、本変更に係ります安全性に係る説明でございまして、以上のことから、本変更に係る安全性は確保され、災害の防止に支障がないと判断いたしたところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。
○松浦委員長 ただいまのご説明に関しまして、ご質問なり、あるいはご意見ございましたらどうぞお願いいたします。
○飛岡委員 意地悪じいさんで恐縮です。4−3の1ページの3号炉の電気出力には「約」をおつけにならないとまずいんじゃないですか。僕は「約」がない方が好きなんですけれども。
 4−3の1ページでございますが、ここで(3)変更申請に係る原子炉の型式及び熱出力のところの3号炉の電気出力には「約」がついておりませんので。
○説明者(佐藤総括安全審査官) ここの項目については、飛岡委員からいつも指摘されるところでございますが、これは過去の経緯がいろいろございまして、基本的には、我々の考え方としては、制限となるものは「約」をつけない。制限とならないもので、ある程度幅を持つものについては「約」をつけようという考え方で、最近のプラントはそういう運用をしてございます。
 ただ、過去のプラントは、そういった考え方、必ずしも統一されていないということもございまして、こういったある意味で記載の不統一な部分が残っていることも事実でございます。これについては、我々もできるだけ統一したいと考えておるところでございますが、何分過去の経緯もございまして、直ちにこれをすぐ変えるということが、実務的に可能なのかどうかといったこともございます。 こういったことから、我々としては、少なくとも現時点において、この数字というのは後段規制において担保されているということで、今回変更を求めているものではないということでご理解いただきたいと思います。
○松浦委員長 ほかには何か。よろしゅうございますか。
 それでは、本件に関しましても、当委員会で調査審議をすることにいたしたいと思います。また、本件の担当委員として、須田委員、飛岡委員にお願いいたしますので、よろしくお願いいたします。
○飛岡委員 少し気になっておりますのは、幾つかかなり難しい液体廃棄物処理施設の共用化概念、この辺の審査も含めまして、鈴木安全委員にも加わっていただくことはできませんでしょうか。少しコンセプトが難しいなという気がしないでもございませんので。
○松浦委員長 ご担当委員として、須田、飛岡委員ということにお願いしておりますが、内容的にそういうことでお加わりいただくことは一向差し支えないと思いますので、実務的にそのように図っていただけば結構かと思います。
○飛岡委員 わかりました。
○松浦委員長 そのようにお願いいたします。
 次に移ります。
 次は、「北陸電力株式会社志賀原子力発電所2号機増設に伴う志賀原子力発電所1号機管理区域境界壁貫通工事にて発生するコンクリート切断片の取扱について」であります。
 本件に関しまして、原子力安全・保安院原子力発電検査課高取総括電気工作物検査官からご説明をお願いいたします。
○説明者(高取総括電気工作物検査官) 北陸電力志賀原子力発電所2号機増設に伴う廃棄物処理建屋、サービス建屋、固体廃棄物貯蔵庫、1、2号機共用とするため、1号機管理区域境界壁貫通工事において発生するコンクリート切断片の取り扱いについて、資料第5号によりご説明いたします。
 1ページの「1.はじめに」に記載していますが、原子力発電所の管理区域から発生する固体状の廃棄物については、平成4年6月に原子力安全委員会が了承した放射性廃棄物安全基準専門部会「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基準値について(第2次中間報告)」において、原子炉施設の解体等に伴って発生する固体状の廃棄物について、「放射性廃棄物でない廃棄物」の範囲に関する考え方を示しております。
 保安院はこれまで、第2次中間報告の考えに基づき、個別に加圧水型原子炉の蒸気発生器取替及び上蓋取替工事に伴い発生する外部遮へい壁等切断部コンクリート廃棄物10件について、「放射性廃棄物でない廃棄物」として判断してきております。
 北陸電力は、平成15年から、1号機の建屋壁13カ所を貫通する工事を計画しており、昨年12月25日をもって、この工事により発生するコンクリート切断片は二次的な汚染はなく、放射化による汚染もないことから、第2次中間報告において示された「放射性廃棄物でない廃棄物」に該当しないものであると見なしてよいかについて、当院に対して照会がありました。
 当院は、本件について、これまでの蒸気発生器取替え等に伴い発生するコンクリート廃棄物と同様に、第2次中間報告で示された区分の該当状況につき提出された過去の測定記録の確認や、現地でのサーベイメーターによる測定等の調査を行い、また、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会運転管理・防災小委員会放射線管理ワーキンググループ(主査:石榑顕吉 埼玉工業大学教授)の専門家の意見を聞き、検討を行った結果、当該切断片を「放射性廃棄物でない廃棄物」として取扱って差し支えないとの結論に至っております。
 「2.検討方針」としましては、第2次中間報告において示された「放射性廃棄物」と「放射性廃棄物でない廃棄物」に区分するに当たっての基本的考え方は、(1)二次的な汚染を考慮した場合として、1)、2)のいずれかに該当するもの。及び(2)放射化の汚染を考慮したコンクリート廃棄物の場合として、1)、2)、3)のいずれかに該当するものを「放射性廃棄物でない廃棄物」とすることができるとなっております。
 北陸電力は、当該コンクリート切断片は、(1)二次的な汚染を考慮した場合の1)使用履歴、設置状況等から放射性物質の付着、浸透等により二次的な汚染がないことが明らかであるもの。(2)放射化の汚染を考慮したコンクリート廃棄物の1)十分な遮へい体により遮へいされていた等、施設の構造上、中性子線による放射化の影響を考慮する必要がないことが明らかであるものの区分に合致するとしております。このため当院は、北陸電力から提出された記録の確認や現地調査等により、同社の判断が妥当なものかについて検討を行うこととしました。
 「3.検討対象とするコンクリートの種類」としましては、1号機管理区域境界壁の13箇所の貫通工事から発生するコンクリート切断片は約140トン、約60m3 で、詳細は表に示しております。
 廃棄物処理建屋8箇所は、通路、制御室、電気品室、送風室、空調機室、トラックエリア等、サービス建屋4箇所は、管理区域内配管トレンチ、廃水トレンチ、管理区域内通路、固体廃棄物貯蔵庫1箇所は荷捌エリアであります。
 放射線管理区域区分は、固体廃棄物貯蔵庫1箇所がAの汚染のおそれのない区域、それ以外がBの法令の表面汚染に係る管理区域の値を超えるおそれのない区域であります。各開口寸法の大きさは、最大のもので幅が5メートル、高さが約4.5メートル、厚さが1.2メートルであります。
 「4.検討結果」としては、「4.1二次的な汚染(放射性物質の付着、浸透等による汚染)の可能性に関する検討」のうち、(1)構造面からの検討でありますが、対象壁13箇所は、1号機管理区域境界の区画物となっており、外側は一般の区域となっております。このうち12箇所の対象壁の管理区域側は、制御室、電気室、送風室及び通路や配管トレンチであり、汚染を内包する機器・配管からは隔離された構造となっております。残り1箇所の対象壁の管理区域側は、固体廃棄物貯蔵庫1階荷捌エリアであり、密封され、汚染検査により表面汚染のないことを確認したドラム缶を貯蔵庫内に保管する際、運搬トラックからの荷卸しに供されるエリアであります。したがって、対象壁13箇所には、構造上汚染の生じる可能性はありません。
 (2)運用管理面からの検討としましては、対象壁13箇所のうち、固体廃棄物貯蔵庫1階荷捌エリアは、汚染のおそれのない管理区域に区分し、運用管理しており、残り12箇所は、表面汚染に関して法令に定める管理区域に係る値を超えない区域として区分し、検出限界を超えないように運用管理し、定期的に汚染がないことを測定により確認しております。また、対象壁の存在するエリアは、放射性物質の漏えいの履歴がありません。
 なお、対象壁13箇所のうち1箇所、廃棄物処理建屋3階トラックエリアにおいては、過去にセラミックフィルタの収納容器の上蓋取替えに際して、旧上蓋をドラム缶に封入するための切断作業を実施しております。この作業に伴い、区域区分Cと区画された履歴があるものの、トラックエリアの一部を作業区画としたため、当該壁自体は汚染作業の区画に入っておらず、かつ汚染が作業区域内に飛散しないようクリーンハウスを設置する等の汚染拡大防止措置を行い、作業期間中及び作業終了後も作業区画外に汚染はありませんでした。したがって、対象壁13箇所には、運用上汚染の生じる可能性はありません。
 (3)二次的な汚染(放射性物質の付着、浸透等による汚染)に関する確認として、構造面及び運用管理面の検討から、13箇所の対象壁については、放射性物質の付着、浸透等による二次的な汚染がないことが明らかであると判断されるが、念のため管理区域側の対象壁表面汚染密度を測定した結果、検出限界未満でありました。
 次に、「4.2放射化による汚染の可能性に関する検討」として、(1)構造面からの検討した結果は、1号機の遮へい設備は、原子炉遮へい壁、一次遮へい壁、二次遮へい壁、補助遮へい壁等があります。このうち、原子炉内で核分裂により発生する中性子は、原子炉遮へい壁、一次遮へい壁、二次遮へい壁にて十分減衰される構造となっています。遮へい壁は二次遮へい壁の外側に位置し、原子炉格納容器から遠く離れる補助遮へい壁等であり、十分な遮へい体により遮へいされております。したがって、対象壁13箇所の壁については、施設の構造上放射化による影響を考慮する必要はありません。
 (2)放射化の影響に関する確認としましては、施設の構造面からの検討から、13箇所の対象壁については、施設の構造上放射化による汚染を考慮する必要がないことが明らかであると判断されますが、念のため放射壁における中性子線量当量率を測定した結果、測定下限未満でありました。
 「5.まとめ」といたしましては、今回発生するコンクリート切断片は、使用履歴、設置状況等から、放射性物質の付着、浸透等により二次的な汚染はなく、また、十分な遮へい体により遮へいされていた等、施設の構造上、中性子線による放射化の影響を考慮する必要がないことが確認されたため、保安院としては、これを「放射性廃棄物でない廃棄物」として取り扱って差し支えないと判断しております。
 以上でご説明を終わります。
○松浦委員長 ただいまのご説明に、何かご質問あるいはご指摘等ございましたらどうぞお願いします。──特にございませんか。どうもご説明ありがとうございました。
 次の議題は、「原子力安全委員会専門委員の任命及び原子力事故・故障調査専門部会の構成員の変更について」であります。
 本件に関しましては、事務局からご説明お願いします。
○説明者(重政管理環境課長) それでは、資料第6号に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
 ことしの2月14日付をもちまして、下記1のとおり、学習院大学の高木教授、それから、日本分析センターの立川理事、このお2方に対しまして、専門委員の発令がございました。
 また、立川委員につきましては、原子力事故・故障調査専門部会にご所属いただくということで、その構成員の変更でございます。なお、高木先生につきましては、先月原子力安全委員会決定いたしました技術基準タスクフォースの方に既に委嘱手続中ということで、ご参加いただくことになってございます。
 以上でございます。
○松浦委員長 ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。よろしゅうございますか。どうもご説明ありがとうございました。
 本日、ほかに審議すべき事項ございますか。
 では、以上で本日の会議を終わります。どうもありがとうございました。
                         

午後 3時11分閉会