(2014年6月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
5月20日、中国・上海で開かれた中ロの合意文書署名式典に出席したロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席〔AFPBB News〕
中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は先日、北京でガス供給契約に調印した。商談がまとまり、両者が落ち着いて近隣諸国や西側との様々な論争について意見を交わしたことは想像に難くない。2人のやり取りは上機嫌なものだっただろう。
会話がどのように進んだかを想像するのに、米国家安全保障局(NSA)の伝説的な盗聴者の1人である必要はない。2人の指導者は、確立された世界秩序と争っている。米国と欧州は、時に大騒ぎするが、反撃することは避けてきた。
中ロ関係では、中国政府が圧倒的な格上パートナーだ。習氏がロシア産ガスを買う必要性よりも、プーチン氏がロシア産ガスを売る必要性の方が大きかったため、ロシア政府は値下げせざるを得なかった。より一般的には、中国は近代化できないロシアの状況に何ら感心していない。
だが、習氏はプーチン氏の「面子」へのこだわりを理解している。そのため習氏は、先に話すよう勧めることでロシアの客人を喜ばせたはずだ。
「軟弱」な欧米
ロシアによるクリミア併合とウクライナの不安定化は、自分がかねて知っていたことを裏付けた、とプーチン氏は豪語した。米国と欧州は「軟弱」だということだ。米国政府は、紛争回避を目標にしていた。バラク・オバマ大統領は自身を、2つの戦争を終わらせ、3つ目の戦争を回避した米国大統領として歴史に記憶してもらいたいと思っている。
欧州に関しては、大陸の心理を理解するには、軍事支出の急減を見るだけで十分だった。ロシアのウクライナ侵攻は、欧州連合(EU)諸国の政府に、短期的な実業界の利益と冷戦後の秩序の維持の二者択一を迫った。シーメンスのジョー・ケーザー氏やBPのボブ・ダドリー氏のような実業界の著名人がロシアに忠誠を誓った時点で、勝負はついていた。クリミアの併合は、ほとんど既成事実として受け入れられた。
ロシアの諜報機関、ロシア連邦保安庁(FSB)のプーチン氏の旧友たちは、今重要なのは西側の2人の指導者だけだと同氏に話していた。オバマ大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相である。用心深い指導者が極端に用心深い指導者を先導しているわけだ。
残りの国に関しては、フランスのフランソワ・オランド大統領は、ロシアに2隻の強襲揚陸艦を売却しようとしている。偶然にも、1隻は既にセヴァストポリと命名されている。英国のデビッド・キャメロン首相は、時に大騒ぎするが、ロンドンのシティ(金融街)はロシアマネーで生計を立てている。