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      医龍1,2,3

      野口教授を日本の総理に!

        ブレイク屋西兵衛

      わたしも、そろそろ、エントラッセンかな?(エントラッセン=医療用語で「退院」の意。
      野口先生は「左遷」「追放」の意味でよく使う)
       
       
       
      シリーズを通じて、どうしても気になってしまうのが、天才心臓外科医の朝田(世界の荒鷲・坂口征二の息子さんだ!)をはじめ、チーム・バチスタのメンバーがどの程度の待遇を受けているのかということだ。

      浅田は単なる平の医局員だし、筆者の推定では、オペ手当て等全部ひっくるめても、月収手取りで40万円 弱ではないか。週に1,2回、私立の病院やクリニックでアルバイトすれば、月収は倍増するが、たとえ天才でもアルバイトしなければ満足いく収入が得られな いのが日本医療の現状だ。

      世界最高レベルの実力を持つこのチームが使用する控え室も、薄暗い地下倉庫のような部屋なのだが、メン バーの一人である伊集院(小池徹平)は、「ここ僕らで使っていいそうです」とむしろ喜んでいる節があるのが情けない。シリーズ3で登場する世界1のカテー テル医・黒木(遠藤憲一)もボイラー室でイメージトレーニングをやっていた。いったい、日本の医療現場は、どうなっているのか。

      難易度の高い手術では、チーム全員がそれこそ数週間、検査、ミーティング、リハーサルと、たった一人の 患者のために付きっきりになって準備している様子がドラマでも描かれているが、とてもお金持ちには見えない患者たちが、いったい、いくら治療代を払ってい るのかは、一切描かれていない。

      もし、アメリカの病院に彼らがスカウトされれば待遇はこうなるだろう。朝田の契約金10億以上、基本年棒は1億以上、手術ごとに特別手当てあり。荒瀬(安部サダヲ)8千万以上、加藤(稲森いずみ)5千万以上、伊集院3千万、ME(臨床工学技士)やオペ看も1千万はもらえるはずだ。

      金が集まるところに人が集まり、人が集まるところに、さらに大きな金が集まるという現実は、経済界、スポーツ界を見るまでもなく、普遍の真理だが、これからは優秀な人材の海外流出がありとあらゆる分野で広がっていくのではないか。

      世界的大発見でノーベル賞をとった人に、「はい、これ社長賞100万円。よかったね」なんて言ってるよ うでは、日本に明日はない。優秀じゃないのに、海外に来ているのはプーケットの在留邦人だけになるかもしれない。医学の世界だけでなく、日本という国が抱 える根本的な問題点(とにかく、みみっちい)をドラマを通して、じんわりと感じてしまうのは私だけだろうか。

      それに反して、朝田と敵対する野口先生(岸部一徳)は素晴らしい。彼の発想力、行動力は凄い。明確な目標を定め、それに向かって真っ直ぐに突き進んでいく姿は明治維新の志士にも共通するものがある。

      「私は明真を変えるために、ここに戻ってきたんだ。サイトヴィジットを成功させなければ死んだも同然なんだ」狭心症が悪化し、心筋梗塞の危険があるにもかかわらず、ライバルの善田(志賀太郎)に土下座してまで朝田の手術を受け、術後なんと2日で仕事復帰。まさに命がけだ。

      母校愛も立派なもので、彼ほどの交渉力があれば、どこに行ってもやっていけるのに、彼のプランの中心には常に母校である明真大学があるのだ。

      「3年で世界有数の病院にしてみせる」

      「忘れ物があってねえ。まだ明真は世界1の病院になっていない」

      やり残した仕事が山ほどあるのに、すぐにアメリカや紛争地域に飛んでいってしまう主人公の朝田とは、えらい違いである。

      日本に残してきた相棒のアロワナが心配で遥かロシアの地からわざわざ餌を送ってくる優しさも魅力だし、 「朝田ちゃん」「加藤ちゃん」と部下を「ちゃん付け」で呼ぶところは、いかがわしい芸能プロダクションの社長みたいで素敵だが、伊集院や外山(高橋一生) は呼び捨てだから、実力を認めた相手にだけ使っているのかもしれない。

      「誰もが平等に受けられる医療、地域に根ざした医療が必要なんです」と学生時代の同期・善田の話は確かに理想としては立派だが、結局、それでは病院(北洋。善田が院長)は潰れてしまうのである。

      「医療に絶対はない。失敗することも、予期せぬ事態もある。それらリスクを含めて責任を負うのが医者じゃなきゃいけない」という藤吉(佐々木蔵之介)の言葉も実に美しいが、もし本当にそうなら、訴訟の山となり、医師のなり手がいなくなってしまうだろう。

      「悪いのは、日本の医療制度だ」と現状を憂いつつも、その中で、どうやったら病院が生き残れるか、常にそれを考えているのが野口先生だ。

      「だったら奴ら(内情を知らず、我がまま言い放題の患者たち)の思うような病院を造ってやろうじゃないか。最高の医療、最高のスタッフ、最高のサービス。そのかわり、それに見合う報酬はいただく」とメディカルシティー構想の理念を包み隠さず真正面からぶち上げ、

      「外国の富裕層がカテーテル治療を受け3日で退院し、残り4日は日本観光」メディカルツーリズム構想 (日本はこの分野で50年は立ち遅れている)では、世界の病院ミシュランとも言うべきIMA(インターナショナル・メディカル・ケアー・アセスメント。世 界の病院審査機構)の取得を目指している。

      この構想は、バンコク左遷時代、当地の病院経営を見て参考にしたものと思われるが、アメリカに渡った際 も、瀕死の重傷を負いながらも、いつの間にやら、バラク(オバマ大統領)の医療顧問に納まり、左遷先の中国やロシアでも、しっかり復権のための布石を打っ ているところなどは、まさに処世術の天才、サラリーマンの鏡といえるだろう。

      シリーズの度に失脚し、飛ばされてしまうのに、不死鳥のように舞い戻ってくるだけでなく、さらにパワー アップして、教授→リスクマネジメント統括部長→学長とどんどん登りつめ、最後は医療評論家としてテレビに引っ張りだこになってしまうその渋とさは、バイ キンマンやデスラー総統を彷彿させるものがある。なんという生命力だ。

      こんな野口先生がいるのがわかっているのに、どうして朝田はいつも、わざわざ明真に戻ってきて対立の火 種を作ってしまうのか。遥々金星から地球侵略に来ておきながら、どういうわけか、毎回ゴジラのいる日本にしか現れず、怪獣連合軍に袋叩きの目に合わされて しまうキングギドラの行動パターンと非常によく似ているようにも思う。

      野口先生には、次期シリーズで厚生大臣、いや、管さんと交代して総理になってもらい、その豊かな発想を ぜひ東北地方の復興に役立ててもらいたいものである。ただ「シリーズ1」だけ見ると、ただの「世渡り上手な小心者」といった人物に描かれているので、ぜひ 「2」と「3」も一緒に見てほしい。

      がんばれ、東北!がんばれ、野口先生!

      日本の未来は、あなたの肩にかかっているぞ!

       

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