シンガポールのカジノ併設リゾートホテルを視察する安倍首相。「成長戦略」にはあまり幻想を抱かないほうがよい(ロイター/アフロ)

5月26日のコラムで、「日経平均株価が1万4000円台で停滞しているが、投資対象として魅力的」という筆者の相場観を再度強調してお伝えした。当時は、なお日本株市場で悲観論が蔓延していたためか、懐疑的なご意見も随分頂戴した。だが、幸い6月に入って日経平均株価は1万5000円台まで上昇している。1万4000円台で買えた投資家は、相応の含み益を得ていることになる。

なぜ1万5000円台を回復できたのか

幸い予想通り、株価は上昇したが、むしろ難しいのはここからだ。1万5000円台の日経平均株価をどう考えるべきか。

まずは、しっかりした分析が必要だ。つまり、日本株の停滞が続いた後の、5月末から6月に上昇した要因をどう把握するかが重要になる。筆者は、日本株が停滞している間、以下のような流れで、次の展開を予測した。すなわち、海外市場で新興国を含めて株高が続き、日本株がそれにまったく追随しないと言っても限度があり、海外株高が日本株上昇要因になるとシンプルに考えた。また、重石の一つである消費増税への懸念も、導入から時間が経てば経つほど、和らぐだろうと予測した。さらに、5月まで日本株の上値を抑えていた、円高と米国の長期金利低下(安全資産の逃避)は長期化しないので、いずれ構図が崩れ、日本株の出遅れが解消する過程で株高が起きる、と考えたのだ。

実際、6月に入ってから、米国の長期金利は上昇に転じた可能性がある。前回のコラムでも紹介したが、注目されたECB理事会での政策変更をはさみ、グローバルな金利低下をもたらしていた思惑が薄れ、経済状況(ファンダメンタルズ)と比べて低すぎる長期金利が正常な水準に戻る過程が始まったとみている。このコラムが公開される9日は、すでに5月分の米雇用統計が発表され、市場の雰囲気が少し変わる可能性はある。ただ、米国経済は春先から回復が続き、それが株高、金利上昇要因になる状況になりつつあると考える。

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