ライオンは、筑波大学の裏出良博教授らと共同で、清酒づくりで使う酵母が作る物質に、深い眠りを誘う効果があると突き止めた。この物質は「アデノシンA2A受容体」と呼ぶたんぱく質を活性化する作用があった。人での実験で、睡眠の質の改善に役立つことが確認できたという。
脳内にあるこの受容体の働きが高まると眠りが深くなる。研究チームは約80種類の食品を詳しく調べ、清酒用の酵母に受容体を活性化する働きがあるのをみつけた。脳波から眠りの深さを調べる実験では、就寝前に酵母を含む錠剤を飲むと、質の高い眠りを示す「デルタ波」の強さも高まった。
酵母が作る「S―アデノシルメチオニン」という物質が関係しているとみている。ただ酵母はこの物質を細胞内にため込むため、清酒にはほとんど含まれない。同社の開発担当者は「飲酒時に眠くなるのはアルコールの影響が大きい」と説明している。
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