「キャバ嬢の乱その1」の続きです。
居酒屋で飲んだ後に、彼女とカラオケに行った。
カラオケに入る前に、彼女は「あたし今お金ないんだけど、出してくれる?」と聞いてきた。申し訳なさそうな様子もなく、当たり前だと言わんばかりの顔で、彼女は言った。
僕はイライラしたが、キャバ嬢とセックスしたかったので、「少し多めなら出すよ」と言った。彼女は「なら行こう」と言った。何が「なら…」なのか。
カラオケに入る。一時間カラオケに入った。僕は、歌う気はなかった。そもそも、僕はカラオケが苦手である。いやだなと思いつつも入った。
彼女と密着して座る。それは嫌がらなかった。しかし、僕の方を決して見ない。ずっと、カラオケの画面ばかりを見ている。
彼女は、何も言わずに、V系バンドの曲を入れ始めた。そして、僕を完全に無視して歌い始める。僕は彼女の歌を聞いていた。
歌いながら、彼女は「見て!あのベースの人!あの人かっこいい!あの人に抱かれたい!」などと言っていた。明らかなネグをかましてきた。だから、僕は「そうなんだ」と聞き流した。
彼女は歌い終わると、僕にマイクを渡してきた。「一曲ぐらい歌ってよ」と言った。僕は「いや、今日はのどが痛いからいいよ」と言った。すると彼女は、「あっそ」と言って、「なら、あたしの好きなバンドの曲ずっと流しとくね」と言い、携帯をまたやり出した。
それから、彼女は、携帯をやりながら、時おりカラオケの画面を見ていた。その画面を見る彼女の表情は、口をぼけっと開けて、目は虚ろであった。その時の彼女の様は、30代の成熟した女性のそれではなかった。まるで好きなアニメをずっと見続ける子どものようであった。
しかし、子どもが好きなものに夢中になるように、そこに可愛らしいものは何もない。ただただ、社会の中で成熟できなかった人間の、悲惨さがあるだけである。彼女は社会に適応しているようで、実は社会から取り残されているのだ。そして、彼女が自分の悲惨さに気づくことは、おそらく永久にないという確信に僕は至った。それならば、僕は彼女に何をしても許される。こいつは人間ではない。豚だ。
僕は彼女から離れた。部屋の端っこまで離れた。僕が離れると、彼女は驚いた顔をして僕を見た。「どうしたの?」と彼女が不安げな声で聞いた。僕は怒ったふりをした。「せっかく会いに来たのに、全然話せないからさ。もういいよ」と言った。
すると、彼女は今度は自分から僕のほうに寄ってきた。僕は彼女の肩に触れた。すると、彼女はまたすぐに貪欲な目をして、「あそこのオムライス気になる」と言った。僕にオムライスを奢れということなのだろうか。お前のような豚は、その辺の草でも食えばいい。そう思った。僕は「食べたいなら、自分で頼めば」と言った。彼女は残念そうな顏をして、しぶしぶ頼んだ。
彼女はオムライスにがっついた。お腹が減っていたらしい。「あたし、昨日から何も食べてないの」と言った。しかし、タバコを3箱も買ってくるほどのお金はあるようだ。彼女は、嘘すらまともにつけないほどバカなのだ。それにも自分では気づいていない。
そこから、恋愛の話をした。僕が「どんな男が好き?」と聞くと、「あたしのために尽くしてくれる人。あたしのためにどれだけできるかで付き合うか決めている」と言った。お前のような豚にまともな男が尽くしたいと思うはすがない。どうやら、長年の水商売生活のせいで、気が狂ってしまったらしい。僕は「こいつはキチガイだ」と思って接することを覚悟した。
彼女はまた、親の介護が大変だと言う話をして来た。そして、「今月携帯代がピンチなんだよね」と言ってきた。もう僕はめんどくさかった。一回セックスできさえすればよかった。だから、「俺が携帯代、半分だしてやるよ」と言った。
その瞬間、彼女の目が変わった。「本当?」と聞いてきた。口元が緩んでいた。「うん、給料出たから。昼の仕事の給料もあるから、それでお前のことを支えるよ」と言った。すると、彼女は突然抱き着いてきた。だから、僕は「ホテル行こう」と言った。彼女は「お金出すと言っといて、一回やったら切ったりしない?」と聞くと、「そんなこと絶対しないよ」と言った。
ホテルへ行った。
入ってすぐにセックスした。彼女は、演技がうまかった。まったく心の通わないセックス。おおげさに声を出す。彼女は自分は客と枕はしないと言っていたが、絶対にこいつは客と枕していると思った。
とりあえず、フェラを三回させた。頭わざと強くを押さえてやった。ちんこをのどに詰まらせて、おえとさせるためである。スパンキングもさせた。その他いろいろさせた。
挿入は少しだけした。僕は彼女を否定したかったので、「ごめん、萎えたから抜くね」と言って、すぐに挿入をやめた。彼女は呆然としていた。
終わってから、一緒に風呂に入って、寝た。起きて別れる前に、彼女からLINEを聞かれたが、教えなかった。彼女は、また不安げな顏をして、僕にキスをしてきた。無理やり舌を入れてくる下手なキスを。僕は彼女をすぐに引きはがした。彼女は寂しげな目で僕を見て、「あたしにもう飽きた?」と聞いてきた。僕は「別に」とそっけなく答えた。顔も見たくなかった。
彼女は、今度は申し訳なさそうに、「お母さんの食費に2000円だけちょうだい。栄養あるものを食べさせないといけないから」と言ってきた。僕は「今金ない。500円ならあげる」と言って。500円玉を一枚渡した。本当は、500円も渡したくなかったが、勉強代だと思って渡した。彼女は残念そうに、「500円で何が食べられるかな。コンビニの弁当を買ってお母さんに食べさせよう」と言った。本当にお母さんを大切にしているならば、お金に困っているならば、なぜ彼女はお母さんに自分で弁当を作ってあげないのだろう。
彼女は先にホテルを出て行った。
僕は、彼女の電話番号を、すぐに着信拒否にした。
男の金に頼って、身の丈以上の生活をしようとする豚に、僕は勝った。
それだけが嬉しかった。