プロ野球:16球団構想の現実味 賛否両論 うまくいく?

毎日新聞 2014年06月09日 12時04分(最終更新 06月09日 12時40分)

12球団の所在地と新球団の候補地
12球団の所在地と新球団の候補地

 プロ野球の球団数を今の12から16に増やして経済の活性化を図ろう−−。自民党が先月発表したアベノミクス第三の矢・成長戦略への提言に、ファンも驚く構想が盛り込まれた。我が町にやってくると思えば確かにわくわくする話。安倍晋三首相も乗り気のようだが、本当に実現できるの?

 ◇地域活性化+経済効果 乗り気の安倍首相

 「ここ数年、政・官・民を問わず働きかけてきた。夢が現実になるかも、と興奮しています」。自民党の提言を受け、静岡市のある職員は喜びに浸っている。市は活性化の目玉として市民球団の設立とプロ野球入りを掲げ、2012〜14年度予算に計約1800万円を計上。合同トライアウト(入団テスト)を誘致したり、野球教室を開いたりしてきた。静岡県も昨年、約34億円をかけて市内の草薙球場をリニューアル。両翼外野ファウルゾーンにまでせり出した「ウイングシート」を設けるなど最新のプロ野球仕様にして後方支援する。

 そうした努力も「2リーグ制12球団が“岩盤”のように固定化」(同職員)した球界の実情を前にして、なかなか実らなかった。そんな中で浮上した16球団構想だけに、地元で「大きな前進」と受けとめられたのは当然だろう。

 構想は、自民党の日本経済再生本部(本部長、高市早苗政調会長)が5月23日に発表した「日本再生ビジョン」の地域活性化策の一つ。米大リーグが30チームあることなどを根拠に、既存の球団の本拠地がない静岡県、北信越、四国、沖縄県の4地域に新球団を創設し、2リーグ4地区制に再編するよう提言。政府に支援策の検討も求めている。

 とりまとめをした若林健太参院議員は「野球の競技人口は、各地にJリーグのチームがあるサッカーに匹敵し基本的な土壌はある。米大リーグもうまくいっていると聞く。プロ球団が来れば郷土愛が醸成され、観客動員などに伴う経済効果も期待できる」と皮算用するのだ。安倍首相は「地域活性化に役立つのではないか。私は賛成だ」と構想に乗り気。政府は今月中にも改定する成長戦略に盛り込むかを検討している。

 とはいえ、プロ野球もビジネスである。これから新球団をつくったとして、うまくいくのか。

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