サッカーコラム J3 Plus+ 

J1、J2、日本代表を幅広くカバーします。右下の「カテゴリー」の中からご興味のあるものを選んでごゆっくりとお楽しみください。
2014年05月 ≪  123456789101112131415161718192021222324252627282930 ≫ 2014年07月

TOP日本代表 全般 ≫ 日本代表のFIFAランキング(46位)はなぜ低いのか? (前編)

日本代表のFIFAランキング(46位)はなぜ低いのか? (前編) | | このエントリーを含むはてなブックマーク |

■ FIFAランキングは信用できるか?

国際試合で対戦相手の(何となくの)強さを知るときはFIFAランキングを調べるのが手っ取り早い。5月に発表された日本代表のFIFAランキングは47位だったが、同じC組のコロンビアは5位で、ギリシャは10位で、コートジボワールは21位だった。したがって、4チームの中では一番下となる。しかも、大きな差がある。「3チームとも格上ではないか。」と感じる人もいるだろう。

ただ、よく言われるとおりで、「FIFAランキングはあまりあてにならない。」というのが正直なところである。 もちろん、実際のチーム力に見合った順位になるようにポイントの算出方法に関しては見直しもされている。「ドイツW杯以前の算出方式と比べるとマシになった。」という意見は多いが、まだまだ十分とは言えない。 高すぎるチーム、低すぎるチームはいくつかある。

以前のエントリーでギリシャのFIFAランキングがなぜ高いのか?について簡単に触れたが、せっかくなので、もう少し踏み込んでみたいと思う。表1はザックジャパンの最近1年間の戦績である。( FIFAランキングの算出時方法については下のエントリーで詳しく記しているが、対象となるのは過去4年間の成績で、2010年6月から2014年5月を対象期間として話を進めていきたい。)

 → 2013/11/24  【FIFAランキング】 なぜ日本が44位で、ベルギーが5位なのか? (上)
 → 2013/11/25  【FIFAランキング】 なぜ日本が44位で、ベルギーが5位なのか? (下)

■ ここ1年間で日本代表が得たランキングポイントは?

FIFAランキングを算出するとき、直近の1年間のウェイトが100%で、その前の1年間のウエイトが50%で、さらに前の1年間のウエイトが30%で、さらに前の1年間のウエイトが20%となる。よって、特に重要となるのは直近の1年間の成績であるが、日本代表の場合、8勝6敗3分けとなる。親善試合が多いのが特徴の1つで、勝つと高いポイントが得られたコンフェデは3連敗に終わった。

表1. 日本代表のここ1年間の戦績
年度月日対戦相手FIFAランク区分結果スコア
2013年6月4日豪州59W杯予選1-1
2013年6月11日イラク100W杯予選1-0
2013年6月15日ブラジル4コンフェデ×0-3
2013年6月19日イタリア9コンフェデ×3-4
2013年6月22日メキシコ19コンフェデ×1-2
2013年7月21日中国96東アジアC3-3
2013年7月25日豪州59東アジアC3-2
2013年7月28日韓国55東アジアC2-1
2013年8月14日ウルグアイ6親善試合×2-4
2013年9月6日グアテマラ124親善試合3-0
2013年9月10日ガーナ38親善試合3-1
2013年10月11日セルビア30親善試合×0-2
2013年10月15日ベラルーシ83親善試合×0-1
2013年11月16日オランダ15親善試合2-2
2013年11月19日ベルギー12親善試合3-2
2014年3月5日NZ111親善試合4-2
2014年5月27日キプロス130親善試合1-0


表2は各試合で何ポイントを得たかを示している。対戦国間の強さ(C)は相手国のFIFAランキングを元に出てくる数字である。当然、対戦した当時のFIFAランキングをあてはめることになるが、調べるのが大変なので、5月のFIFAランキングで計算している。なので、正確なポイント数ではないが、FIFAランキングの順位が大きく変動することは少ない。誤差の範囲と言えるだろう。

結局、(A)*(B)*(C)*(D)*100から導かれる数字が各試合で得られるポイントとなって、最後に1年間の平均値を出す。勝ち点(A)は勝った時は3.0、引き分けの時は1.0、負けた時は0.0なので、どこが相手でも負けると0ポイントとなる。この17試合で得たポイントを合計すると3511.95ポイントで、試合数の17で割ると206.59ポイントで、これが日本代表の直近の1年間のポイントとなる。

表2. 日本代表がここ1年間(2013年6月 - 2014年5月)で獲得したポイント
対戦相手FIFAランク区分結果ポイント勝ち点重要度対戦国間の強さ連盟間の強さ
(A)(B)(C)(D)
豪州59W杯予選303.151.02.51.410.86
イラク100W杯予選645.003.02.51.000.86
ブラジル4CC×0.000.03.01.960.93
イタリア9CC×0.000.03.01.910.93
メキシコ19CC×0.000.03.01.810.87
中国96東アC89.441.01.01.040.86
豪州59東アC363.783.01.01.410.86
韓国55東アC374.103.01.01.450.86
ウルグ6親善試合×0.000.01.01.940.93
グアテ124親善試合198.363.01.00.760.87
ガーナ38親善試合417.963.01.01.620.86
セルビア30親善試合×0.000.01.01.700.93
ベラル83親善試合×0.000.01.01.170.93
オランダ15親善試合172.051.01.01.850.93
ベルギー12親善試合524.523.01.01.880.93
NZ111親善試合228.293.01.00.890.86
キプロス130親善試合195.303.01.00.700.93


■ ギリシャ代表と比較すると・・・・

比較のためにギリシャ代表がここ1年間で獲得したポイントを示すと表3のようになる。10試合で5607.5ポイントを獲得しており、1年間の平均値は560.75ポイントとなる。これはかなりの高ポイントである。勝利という結果を出しているのはもちろんのこと、ルーマニアとのPOを含めたW杯予選で荒稼ぎしており、(B)=1.0となるのでポイントを稼ぎにくい親善試合が3試合と少ない。

表2と表3を見ると、なぜ日本のFIFAランキングは低いのか?そして、なぜギリシャのFIFAランキングが高いのかが見えてくる。親善試合では、FIFAランキングが上位のベルギーにアウェーで勝利したとしても524.52ポイントで、オランダに引き分けたとしても172.05ポイントである。(B)=1.0となる親善試合が占める割合が高くなると、年間の平均値を上げるのは難しくなる。

FIFAランキングを取り上げるニュースの中で「日本代表はアジアの中では○位だった。」と書かれる。この点をなぜ?と思う人は多いと思うが、W杯の最終予選などはアジアの中の上位数チームがシードされるので、アジアの中で何番目かというのは非常に大事であるという理由に加えて、「他大陸のチームとFIFAランキングを比較してもあまり意味がない。」という理由もある。

■ 親善試合が多くなると不利になる。

日本は2011年のアジアカップで優勝したため、次回大会の予選は免除されているが、大陸選手権の予選は(B)=2.5でW杯予選と同じである。例えば、ユーロ予選はどのチームも8試合or10試合をこなすのでポイントの稼ぎどころとなるが、日本は0試合である。日韓豪よりもイランの順位が上になっているのは、前者の3チームがアジアカップ予選を免除されているからに他ならない。

強化という意味ではアジアカップ予選が免除されている方がありがたいが、ボーナスステージになり得る試合が全くないというのはFIFAランキング的には痛手である。W杯予選や大陸選手権の予選で稼いだポイント数を親善試合で上回るのはかなり難しい。日本の場合、FIFAランキングが1位のスペインに勝利したとしても558.00ポイントで、これが親善試合におけるMax値となる。

一方、W杯予選でFIFAランキングが113位のチームに勝利すると561.15ポイントを獲得できるので、親善試合でスペインに勝利したときに得られるポイント数と同程度である。なので、親善試合の割合が高くなると年間の平均値は下がってきて、順位も下がってくる。これがFIFAランキングの問題点の1つで、異なる大陸のチームで順位を比較するとおかしなことになる原因である。

表3. ギリシャ代表がここ1年間(2013年6月 - 2014年5月)で獲得したポイント
相手FIFAランク区分結果ポイント勝ち点重要度対戦国間の強さ連盟間の強さ
(A)(B)(C)(D)
リトア104W杯予選720.003.02.50.961.00
オース59親善試合423.003.01.01.411.00
リヒテ150W杯予選375.003.02.50.501.00
ラトビ109W杯予選682.503.02.50.911.00
スロバ46W杯予選1155.003.02.51.541.00
リヒテ150W杯予選375.003.02.50.501.00
ルーマ32PO1260.003.02.51.681.00
ルーマ32PO420.001.02.51.681.00
韓国55親善試合×0.000.01.01.450.93
ポルト3親善試合197.001.01.01.971.00


 → 日本代表のFIFAランキング(46位)はなぜ低いのか? (後編)に続く。


 拍手の多かったエントリー (ベスト15)

 第01位 2009/02/19  サッカーを観る上で気をつけたい8箇条 → 427拍手
 第02位 2007/12/16  オシムジャパンを殺したのはセルジオ越後か? → 354拍手
 第03位 2008/06/01  松本育夫(サガン鳥栖GM)のサッカー人生 → 261拍手
 第04位 2008/05/02  みんなKAZUが好きだった。 → 251拍手
 第05位 2008/08/14  凹んだときにはオシム語録 → 244拍手
 第06位 2010/06/30  日本代表のスタッフと27人の選手をたたえよう。 → 243拍手
 第07位 2010/06/03  日本サッカーの偏差値を下げてしまっている人  → 216拍手
 第08位 2013/01/31  鳥栖サポーターにとっての豊田陽平とは? → 204拍手
 第09位 2011/03/10  【シャルケ×フランク】 内田篤人のメッセージ → 198拍手
 第10位 2010/02/12  杉山サンが酷過ぎる → 196拍手
 第11位 2008/05/04  カリスマ:山本浩アナの名フレーズを堪能する。 → 191拍手
 第12位 2013/01/04  サンフレッチェ広島 J1リーグ優勝について想う → 189拍手
 第13位 2008/01/14  金子達仁さんのレッズサポ批判 → 173拍手
 第14位 2010/05/16  【C大阪×神戸】 シンジ 旅立ちの日 (生観戦記 #4) → 171拍手
 第15位 2008/10/30  もし、小倉隆史の大怪我がなかったならば・・・。 → 170拍手


日本代表 全般 | Comments(-) | Trackbacks(-)






| トップページ | 人気ブログランキング | Jリーグブログ村 | 全記事一覧 (2005-2014) | お気に入りに追加 |