英語上達のポイントは「コドモ英語」を活用すること
『英語が上達したければネイティブの子どものように学びなさい』(竹内薫著、PHP研究所)の著者は、バイリンガルのサイエンス作家。これまでに多くの英語の本を翻訳出版し、日本企業の海外向けニュース記事を英語で執筆してきたのだそうです。
そして、そんな経験を経てたどり着いたのが、「大人でもバイリンガルなみに英語がしゃべれるようになる『たった1つの方法』。では、どうすればそれを身につけることができるのでしょうか? 基本的な考え方が説明されている、主章「竹内式英語習得絶対法則 ──英語は二丁拳銃で耳コピせよ」から、いくつかを拾ってみたいと思います。
大人が「耳コピ」するためには
言語習得の近道は「書き言葉より、まずは話し言葉」「文字より、まずは音声」。ただし、自然な耳コピによって母国語を習得できる子どもと違い、英語を聞いてもすぐに口で再現できないのが大人。そこで著者がおすすめしている効果的な耳コピの方法が、「口トレ」です。
お手本を聞いたら、しゃべって録音し、お手本と自分の発音を聞き比べるという方法。発音を微修正し、同じことをくり返していく。こうすれば、お手本と自分の発音との差に集中できるため、徐々に英語の要素を再現できることになるということ。効果は絶大で、「口トレ」こそが、日本人の大人が見逃している英語習得絶対法則なのだと断言しています。(16ページより)
コドモ英語の効用 1
では、どんな英語を口トレすればいいのか。この問いに対する答えは、ずばり「コドモ英語」。
英語圏では、幼稚園の子どもが、先生や年長さんの会話を、オウムのように頻繁に口トレしているそうです。すると、いつの間にか英語がしゃべれるようになる。これがコドモ英語。簡単に真似できる英語であり、生活に必要不可欠な英語であり、そして、英語習得の道筋だといいます。
子どもの世界では、簡単な単語を組み合わせるだけで、ほとんどの意思疎通ができてしまうもの。つまりコドモ英語には、英会話の基本パターンが入っているというわけです。
コドモ英語の効用 2
さらに重要なのは、コドモ英語は簡単でありながら、大人の英語と同じ音素をほとんど含んでいるという点。英語に不安を抱いている人が、英語表現の原点を知り、なおかつ英語の音素をマスターするのに最適な「超入門教材」だということ。コドモ英語には、大人英語の音がすべて含まれているといっても過言ではないそうです。
だからこそ、まずはコドモ英語で徹底的に口トレしてみる。1日1フレーズ、30分でもOK。いつでもテキストを盗み見てもかまわないので、録音して、お手本と比べて、発音を修正してみることが大切。そして忘れるべきでないのは、「発音できることは絶対に聞き取ることができる」ということだとか。(19ページより)
「二丁拳銃方式」のススメ
英語習得絶対法則の原理を理解したうえで重要なのは、「どうやって練習すればいいのか」ということ。具体的に、どのような方法で大人のための耳コピ、すなわちフィードバック訓練をすればいいのかという問題ですが、練習方法はとてもシンプル。準備するものは、
1:録音と再生ができるもの(ICレコーダー、スマホ、パソコンなど)
2:お手本となるキレイな発音
この2つだけだそうです。たとえばiPhoneなら「ボイスメモ」機能や『FANIC』などのアプリがありますし、カメラの動画撮影でも音声を記録可能。またICレコーダーも、安価で入手できます。
お手本にしたい音声(本書には、69種の「コドモ英語」が収録されたCDがついているので、まずはこれを利用するといいと思います)を聞いたあと、自分の発音を録音し、それを再生して発音の違いを確認する。これをくり返すのみ。
1:お手本を聞く
2:お手本の音を真似して録音する
3:再度お手本を聞き、録音した自分の発音と比べて確かめる
口トレが重要なのは、人間の脳がなにかを学ぶときには、フィードバックすることが必要だから。そこで著者が「秘技」として紹介しているのが、「英語の口トレは二丁拳銃でやれ」ということ。
お手本を再生して、自分の声を録音して、2つを聞き比べるという作業は、やってみるとなかなか面倒。そこで、「CDを再生する機器や、スマホ、ICレコーダーなどを2台使いこなして英語をマスターする」ということがポイントだということです。
「主章」「フレーズ集」「副章1〜4」という構成になった本書の魅力は、まず主章を読んで理解したら、すぐに付録のCDで練習できる点。そしてそのあとは、空いた時間を利用して副章を読み進んでいけばいいわけです。抵抗なく進んでいけるので、利用してみれば、英語力を一気に上達させられるかもしれません。
(印南敦史)