発生・分化・癌化に関わるゲノムネットワークの解析

研究課題番号:19681021

2009年度 研究実績報告書


代表者

    • 柳内 和幸
    • 研究者番号:30360704
    • 東邦大学・理学部・准教授

研究課題基本情報

  • 研究期間

    2007年度~2009年度

  • 研究分野

    応用ゲノム科学

  • 審査区分

  • 研究種目

    若手研究(A)

  • 研究機関

    東邦大学

研究概要

これまでのyeast one-hybrid法は、酵母内在性の転写因子に依存したバックグラウンドとなるコロニーが多量に発生するため、ゲノムスケールでの転写因子結合部位の同定はほとんど不可能であった。申請者は、URA3をレポーターとするポジティブとネガティブの2段階セレクションを経ることで、バックグラウンドの99.9%を排除できる改良型yeast one-hybrid法を開発した。そこで、この改良型yeast one-hybrid法を用いて、ヒトゲノム内に存在するレチノイン酸受容体結合部位を系統的に同定し、発生・分化・癌化に関わる多彩な生理作用を担うレチノイン酸受容体ネットワークの解明を本研究の目的とした。

本年度は、レチノイン酸受容体結合配列の細胞レベルでの検証とデータベースの公開を目指して研究を進めた。細胞レベルでの検証は、様々な細胞を用いて条件設定を行ったにもかかわらず、RXRとヘテロダイマーを形成する様々な因子が細胞内に存在するため、期待した結果は得られなかった。分子レベルと細胞レベルから得られた全データをデータベース上に統合し、TOHOrSNPdbとしてWeb上に公開した。

TOHOrSNPdbでは、(1)クローニングされたゲノム断片の断片の染色体上での位置、(2)その配列内に存在するRXR結合配列とその結合スコア、(3)クローニングされたゲノム断片近傍に存在する遺伝子、(4)RXR結合配列近傍に存在する遺伝子の機能、(5)RXR結合配列近傍に存在する遺伝子と疾患との関連情報、(6)RXR結合配列上に存在するregulatory SNP、などの情報がまとめられている。TOHOrSNPdbは、RXRネットワークの解明につながる有用なデータベースになると期待している。

発表文献

雑誌論文

  • Tsuchihashi-Makaya M, Serizawa M, Yanai K, Katsuya T, Takeuchi T, Fujioka A, Yamori Y, Ogihara T, Kato N: "Gene-environmental interaction regarding alcohol-metabolizing enzymes in the Japanese general population." Hypertens Res. 32. 209-217 (2009), 査読有

  • Taniguchi-Yanai K, Koike Y, Hasegawa T, Furuta Y, Serizawa M, Ohshima N, Kato K, Yanai K.: "Identification and characterization of glucocorticoid receptor-binding sites in the human genome." J Recept Signal Transduct Res. 30. 88-105 (2010), 査読有

学会発表

  • 柳内圭子、高橋磨理子、古田裕一、長谷川貴士、大島範子、柳内和幸: "エストロゲン応答性の違いを生むヒトゲノム上のSNPの同定" 第32回日本分子生物学会年会. (20091212). 神奈川

  • 古田裕一、柳内圭子、池嶋真奈、渡邊未知也、今井友理香、中山美佳、伊藤真弓、高橋磨理子、大島範子、柳内和幸: "ヒトゲノムからのレチノイドX受容体結合配列の系統的な同定とその解析" 第32回日本分子生物学会年会. (20091212). 神奈川

  • 長谷川貴士、柳内圭子、渡邉未知也、今井友理香、中山美佳、伊藤真弓、大島範子、柳内和幸: "ヒトゲノムからのHepatocyte Nuclear Factor 4結合配列の系統的な同定" 第32回日本分子生物学会年会. (20091212). 神奈川

その他・備考

このページのURI

http://kaken.nii.ac.jp/d/p/19681021/2009/3/ja.ja.html