全能性を持ったラットiPS細胞の作製

研究課題番号:23658227

代表者

  • 2011年度

    • 柳内 和幸
    • 研究者番号:30360704
    • 東邦大学・理学部・准教授


この研究課題のドキュメント

研究課題基本情報(最新年度)

  • 研究期間

    2011年4月28日~2013年3月31日(予定)

  • 研究分野

    応用動物科学

  • 審査区分

  • 研究種目

    挑戦的萌芽研究

  • 研究機関

    東邦大学

  • 配分額

    • 2011年度:1820千円 (直接経費:1400千円, 間接経費:420千円)
  • 計画額

    • 2012年度:2080千円 (直接経費:1600千円, 間接経費:480千円)

研究概要(最新報告)

 マウスおいて、全能性を示すiPS細胞の樹立が報告された。その後、様々な種においてiPS細胞の誘導が試みられているものの、これまでに全能性を持ったラットのiPS細胞は樹立されていない。多能性幹細胞は疾病の治療などの再生医療に有用なだけでなく、遺伝子欠損動物の作製に欠かせないもので、モデル動物の作製を介して基礎医学の発展にも非常に有用な試料となる。現在までに安定した遺伝子欠損動物の作製が可能なのはマウスのみであり、マウスより一回り大きいためにモデル動物としての有用性が高いラットでは遺伝子欠損動物の作製が非常に困難な状況にある。その原因は、始原生殖細胞を含むすべての細胞に分化可能な多能性幹細胞が、ラットでは樹立されていないためである。 これまでに我々は、iPSの誘導に重要な5つの遺伝子がテトラサイクリンによって誘導できる世界で唯一の遺伝子導入ラットの作製に成功している。このラットから調整した繊維芽細胞は、iPS誘導実験においてウィルスベクターなどを必要とせず、培養液にテトラサイクリンを添加するだけでiPSを誘導でき、その質を上げるための薬剤スクリーニング系として非常に有用である。よって、本申請では、遺伝子欠損ラット作製のため、誘導型再生医療ラットを利用して全能性をもったiPS細胞を樹立することを目指した。本年は、その第一歩としてiPS細胞樹立のための、遺伝子導入ラットのホモ化作業をすすめ、次の世代でホモ化が可能となると期待できるところまで交配を進めた。

現在までの達成度(最新報告)

  • 区分

    (3) やや遅れている

  • 理由

    遺伝子導入ラットのホモ化作業をする過程で、遺伝子導入ラットの交配効率が非常にわるく、食殺などもあったために交配に時間を要したため。

今後の研究の推進方策等(最新報告)

今後の推進方策

ラットiPS細胞の樹立(1) 誘導型再生医療ラットから調整した胎児繊維芽細胞を用いてiPS誘導に関与する新たな化合物を探査する。当大学の薬学科や化学科から様々な候補物質を提供してもらう予定である。(2) 東邦再生ベクターを用いて、ラットiPS細胞の誘導効率や全能性に関与する遺伝子をスクリーニングする。(3)上記の2つの結果を踏まえて、可能な限りベストの条件でiPS細胞を誘導する。誘導したiPS細胞の全能性の評価(1)in vitroでの分化誘導や、ヌードマウスを使ったテラトカルシノーマ実験によって、様々な細胞に分化できる能力があるかを形態学的・免疫学的・遺伝子発現レベルで検証する。(2)キメララットを作製し、iPS細胞が生殖細胞系列に分化して全能性があるかを検証する。

次年度の研究費の使用計画

iPS細胞の培養に使用するプラスチック類や、培養試薬などの消耗品でほとんどすべてを使用する予定である。

このページのURI

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