コンビニ:異業種とコラボ 「一体型」出店が加速
毎日新聞 2014年06月08日 20時06分(最終更新 06月08日 20時27分)
大手コンビニエンスストアが、カフェや定食屋、カラオケボックスなど異業種との一体型店舗の出店を加速している。全国のコンビニは5万店を超え、高収益を上げられる「一等地」は少なくなっている。特徴ある店づくりで関心を引き、利用者増加につなげたい考えだ。
サークルKサンクスは25日、カフェ「K’s CAFE」を併設した首都圏1号店を東京都中央区晴海に開店。現在、四国に4店舗あるが、今後は人口が多い首都圏・中京圏のビジネス街を中心に、3年間で100店舗に拡大する。同社は、手軽に素早く利用する「時間節約型」のコンビニに、ゆっくりくつろいで過ごす「時間消費型」のカフェを併設することで、利用者層が広がると予測。カフェではコーヒーなどのドリンクを250〜460円で提供し、オムライス、パスタなどの軽食も用意する。「ついで買い」を促すため、コンビニとカフェの入り口は原則一つにした。
ファミリーマートは4月、カラオケ店を運営する第一興商との一体店舗を東京都大田区に開店。コンビニで買った商品をカラオケ店に持ち込めるサービスが特徴で「売り上げは想定以上」(ファミマ)と手応えをつかむ。同社は全国農業協同組合連合会(JA全農)と提携し、5月31日にJAグループの食品スーパー「Aコープ」との一体店舗を愛媛県伊予市に開店。地元野菜が並ぶ「直売コーナー」を設け、肉や魚などの生鮮食品も豊富に扱う。7月には定食屋との一体店舗を東京都内に開店する予定で、こうした店舗を今後5年で約3000店に増やす計画だ。
一体店舗を出店するのは「単独で出店が難しい立地でも、一体型なら他社と差別化できる」(ファミマ)ためだ。コンビニは全国で5万店を超え、都市部のビジネス街や郊外の幹線道路沿いなど高収益が見込める「一等地」は少なくなった。それでも出店の手を緩めると、他社との競争に負けてしまう懸念がある。
ローソンは調剤薬局との一体型を約40店舗展開。セブン−イレブンはJR西日本と提携し、駅の「キヨスク」など約500店を提携店舗に切り替える。【神崎修一】