筆者作成
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5月9日にスターバックス コーヒー ジャパンの2014年3月期の決算が発表され、昨今のコーヒーブームを受けて増収増益となり、過去最高を記録する好決算となりました。
注目すべきは利益面で“外食産業の巨人”日本マクドナルドホールディングスを抜き去ったことでしょう。最終利益を比較すると、マクドナルドの51億円に対してスターバックスは60億円と、好調のスターバックスが不振に喘ぐマクドナルドを逆転したのです(マクドナルドの決算は13年12月期)。
今期に入ってもなかなか浮上のきっかけをつかめないマクドナルドに対して、スターバックスは好調を維持していますので、今のままではますますその差が開くことも予想されます。「デフレ時代の勝ち組」と称され、外食他社を寄せ付けなかったマクドナルドですが、今やスターバックスをはじめ、コンビニエンスストアなど異業種からの全方位的な攻勢に遭い、青息吐息の状況です。
なぜ、デフレ時代に破竹の勢いで快進撃を続けてきたマクドナルドは、景気が回復してきた今、苦戦しているのか? そして、どうすればかつての輝きを取り戻すことができるのか?
その不振の原因と復活のヒントは、コンビニ各社が最近力を入れている安くておいしい本格コーヒーに負けることなく、快進撃を続けるスターバックスの戦略にありそうです。今回は、マクドナルドとスターバックスのビジネスを比較し、そこで浮き彫りにされた違いから、マクドナルド復活の鍵を探っていくことにしましょう。
●「価格を売る」マクドナルド
マクドナルドのビジネスの一つの特徴として、「週替わりのクーポンを発行して集客を図る」ということが挙げられます。スマートフォン(スマホ)や携帯電話を利用するクーポン会員は13年までに3500万人を超え、実に日本人の4人に1人はマクドナルドのクーポン会員という驚異的な統計もあります。それゆえ、マクドナルドの店頭で顧客の注文を眺めていると、実に多くの顧客がスマホや携帯電話の画面に映し出されたクーポンを提示して購入しているシーンに出くわします。この意味では、マクドナルドのクーポンを活用した集客は成功を収めているともいえるでしょう。
ただ、これは裏を返せば、顧客はクーポンがなければマクドナルドには行かないということの表れでもあります。クーポンには期間限定の割引価格を提供することで来店を促すというメリットもありますが、クーポンによる集客は、頻繁に変わる価格に「割引がなければ来店を控えよう」という気を顧客に起こさせるデメリットもあるのです。つまり、クーポンを頻繁に利用する顧客にとっては、割引価格が定価であり、通常の価格で購入する際には、「通常よりも多く支払わなければいけない」と、ある意味「損をする」気分になるのです。
2014/6/9 08:45 更新
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