民間の労働時間規制が話題になっている。今月4日の衆院厚労委員会でも面白い議論があった。民主党の柚木道義議員の質問だ(→動画はこちら)。
このやり取りに関し、同僚の山井和則議員が自らのツイッター(@yamanoikazunori)で、
〈生産性が上がる素晴らしい制度と言うなら企業だけでなく公務員にも残業代ゼロ制度を導入すべき」と柚木議員が追及すると田村大臣や答弁席の10人の厚労省官僚が一斉に「とんでもない」と手を振って拒否。ひどい制度だと官僚もわかってます〉
とつぶやくと、1万回以上もリツイートされた。
筆者もかねてより、この問題を考えるにあたり、民間だけではなく公務員にも当てはめて考えればいい、「官より始めよ」と主張している。それが問題をよりよく理解するために必要だからだ。実際に国会で質問があったので見逃すわけにいかない。
4日の厚労委員会のやりとりをまとめれば、
柚木議員「生産性が上がる素晴らしい制度と言うなら企業だけでなく公務員にも残業代ゼロ制度を導入すべき」
赤石・日本経済再生総合事務局次長「国家公務員は労働基準法の適用除外。産業競争力会議で議論するつもりはない」
これだけ聞くと、山井議員に限らず多くの人は勘違いしてしまうだろう。山井議員は、国家公務員に「残業代ゼロ」を適用しないのは、それが酷い制度だから、と解釈している。ツイッターをリツイートした1万人以上も、せき髄反射的に同じ勘違いをしたのだろう。
実際、このものすごい誤解・勘違いをビデオでみて、筆者は思わず吹き出してしまった。もっとも、筆者にとって誤解・勘違いが起こるのは、「官より始めよ」と言った時から想定内であって、これに懲りずに国会でさらに議論を進めてもらいたい。
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