非伝統的金融政策の効果、解明されてない点ある=黒田日銀総裁
[東京 8日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁はヨルダンのアンマンで7日開かれた国際経済学会で講演し、現在の量的・質的緩和(QQE)政策が所期の効果を挙げているとしつつ、QQEのような非伝統的金融政策の効果や波及メカニズムは解明されていない点があると指摘した。
黒田総裁は、「日銀は非伝統的金融政策を最も早く採用した中央銀行」で、「フォワードガイダンス(時間軸)を初めて導入したのも日銀」と指摘。「量的緩和」による流動性供給は「グローバル金融危機時の各国中央銀行の対応にも影響を与えた」と評価した。
一方で、過去の日銀の政策は、1)物価安定への強いコミットメント(必達目標)、2)イールドカーブ(利回り曲線)全体への押し下げ圧力─―の点で不十分だったと批判した。
現在のQQEについて、「金融市場、実体経済および物価、期待のいずれもが好転しており、所期の効果を発揮している」とした。特に消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)の前年比は「昨年3月はマイナス0.5%だったが、今年の4月には消費税率引き上げの直接的な影響を除くベースでプラス1.5%に達している」と述べた。
もっとも黒田総裁は、非伝統的金融政策は、そこから「脱し、全体を評価しうる段階に達した中央銀行が未だない」うえ、「効果や波及メカニズムは解明されていない点がある」と指摘。特に「インフレ予想が低下した場合どのように目標へ修正させるのかという理論は、これまでのところ確立されていない」とし、「QQEの経験は、重要な材料を提供している」と述べた。
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