中韓経済はやっぱりダメなのか。中国の不動産市場は「タイタニック号の衝突寸前の状態」で、世界第2位の経済も「歴史的破綻の崖っぷち」と米メディアは相次いで報じている。そんな中国に政治的にも経済的にも依存する韓国も巻き添えとなり、経済混迷に拍車がかかっている。最新の製造業の指標もそろって低調で、中韓共倒れの懸念が一段と高まっている。

 「中国の不動産業界は氷山に衝突直前のタイタニック号だ」

 米ウォールストリート・ジャーナル紙は、中国の不動産王と呼ばれる大手デベロッパー「ソーホーチャイナ」の潘石屹(パン・シーイー)会長が、5月下旬に開かれたセミナーでこう発言したと報じた。潘氏は第1四半期(1〜4月)の時点で新規の建築着工は約25%落ち込んでいると指摘、「住宅価格が20〜30%下落すれば、不動産業界より大きな危機が金融セクターで表面化するだろう」と予測した。

 香港メディアでは、別の不動産開発大手トップが「中国不動産の黄金時代は終わった」と発言したことも報じられた。

 不動産や金融の危険な兆候は製造業にも影を落とす。英金融大手HSBCは、中国の製造業の景況感を示す5月の製造業購買担当者指数(PMI)の確定値を49・4と発表、速報値の49・7から下方修正した。景況判断の節目となる50を5カ月連続で下回っている。HSBCの中国担当チーフエコノミストは「特に不動産部門が弱く、底打ちしたというには時期尚早だ」と指摘する。

 土地の使用権売却による収入に頼ってきた地方政府の財政は、不動産バブル崩壊で一段と悪化する。中国政府は、一部の地方政府による債券の直接発行を認めるなど手は打っているものの、その効果のほどは不透明だ。

 習近平体制の政治リスクも見逃せない。米経済誌フォーブスは「“21世紀は中国の世紀”という声は聞かれなくなった。いまや歴史的破綻の淵に立っている」と評するジャーナリストのゴードン・チャン氏の寄稿を掲載した。習政権の多国籍企業への差別的な対応について「長期的にみて経済に非常に悪い。●(=登におおざと)小平氏の改革開放路線から学んでいない」として、投資家の資金はインドに流れると分析している。

 そんな斜陽の中国に頼っているのが韓国だ。昨年の輸出のうち、中国向けの比率が26・1%と過去最高水準に達しているが、ここに異変が生じている。

 朝鮮日報によると、2000年代に入って毎年20%超の伸び率を記録してきた韓国の対中輸出が急速に伸び悩み、今年1〜5月の伸び率はわずか1・3%にとどまったという。衣料品など中国からの加工品輸出が低迷したことに伴い、韓国から中国への原材料や半製品の輸出も急速に伸び悩んだという。

 一方で内需も低迷しているが、旅客船「セウォル号」事故の影響だけでなく、構造的な問題を抱える。家計債務の増大だ。家計の債務は1000兆ウォン(約100兆円)を突破、なお急速に増加している。英エコノミスト誌は「家計債務が経済成長を妨げる恐れがある」と論評した。

 経済の内憂外患は指標にも表れている。HSBCが発表した5月の製造業PMIは49・5と50を下回り、「中国と国内経済の需要低迷を反映している」とコメントされている。シンクタンクの韓国経済研究院も今年の成長率見通しを下方修正した。

 中国依存経済の行き詰まりがはっきりしてきたが、朴槿恵(パク・クネ)政権は「従中路線」に突き進んでいる。5月には中国当局者が韓国政府の関係者に「朝貢外交に戻ったらどうか」と発言したことも話題になった。半ば冗談とはいえ、皇帝に貢ぎ物を贈る代わりに属国として正当性を認めてもらうという前近代的な提案をされたことで、韓国の弱い立場が浮き彫りとなった。

 中韓経済に詳しい東洋経済新報社元編集局長の勝又壽良氏はこう指摘する。

 「中国経済が今後、塗炭の苦しみを味わうことは避けられないが、そんな相手と『反日同盟』を組む韓国は、過去の恨みで未来への希望をつぶしている。アジア外交で孤立状態にある中国は、韓国をつなぎ止めようと気を持たせているが、朴政権はいつまでこの手に乗せられるのだろうか」