歴史上最も社会的意義を生み出したエンジェル投資とは(East Ventures 松山太河氏)

Posted on June 8th, 2014


 


2014年530日、早稲田大学起業家養成講座にて第二回目の早稲田OB起業家をゲストスピーカーに招いた授業が行われた。今回の講演のテーマは、「資金調達 ケース掲示」。アエリア取締役CFOの須田仁之さん、East Ventures/クロノスファンドパートナーの松山太河さん、メルカリ代表取締役の山田進太郎の3名が登壇した。
本記事ではメルカリやツイキャス、コイニー、BASEなど話題のスタートアップへ投資するEast Ventures 松山太河氏の講演パートを紹介する。
歴史上最も社会的意義を生み出したエンジェル投資とは
ベンチャー投資(エンジェル投資)は、アメリカで30~40年前くらいから始まった。世界で最も社会的意義を生み出したと言えるのは、マイク・マークラによるアップルへの投資ではないだろうか。
当時スティーブ・ジョブズは、21歳。スティーブ・ウォズニアックと共に2人でアップルコンピュータを創業したが、自分たちのバイト代、さまざまなものを売っても200万くらいにしかならなかった。
その時に現れたのが、マイク・マークラだ。
創業段階で話を聞き、25万ドル(およそ2000万円)の小切手を渡した。マークラはインテルの普通のサラリーマンであったが、ストックオプションを得ており数億円規模の資産を保有していた。そのうちの2000万円ほどをアップルに投資した。アップルの上場時には、1000倍くらいの200億円の価値になったと言われている。ちなみに今のアップルの時価総額は30兆円くらいになっている。歴史上、一番社会的にも意義を生み出したエンジェル投資はこれではないのか。

ベンチャー資本の役割は収益化ギャップとプロダクトギャップを埋めること

ベンチャー投資の役割の中で大きいと考えているのは、収益化ギャップとプロダクトギャップを埋めることだ。
サービスが拡大しても、売上が実際に立つまで、最低限の人件費、ハードルのある原材料費、ここを埋める役割が必要だ。プロダクトの始まる前でも投資をすることがあって、その際はプロダクトリスクもとる。
例えば、ツイキャスに投資したときは、既に数百万ユーザーくらいいたが、収益化のギャップはあった。メルカリは、サービスローンチ直前に投資していて、プロダクトギャップがあった。

投資の現場、ランチをしている間に決まることもあるが大事なことは信頼関係
ツイキャスへの投資を行ったときには、8年ほどの付き合いの中でランチをしている中で増資の意思決定をした。メルカリは六本木交差点を渡りきる間に条件を確定した。
メルカリ山田進太郎氏とは10年来の付き合いだが彼の「結構いける」はメガベンチャーになると信じていた。もちろんそれまでの実績も買っていた。
これらの例は、
・長年の信頼関係
・実績
などによりスピード決定したが、大学生など若手起業家の場合はなかなかそうもいかない。
そこでおすすめしたいのが、
・サービスの実績をアピールすること:例えばシリコンバレーだと、トラクションというが、ローンチして1か月、2か月のダウンロード数、ユニークユーザー数などをみせると良い。
・投資家が信頼している起業家に推薦してもらうこと:例えばあるスタートアップで何年かインターンをしているなどの後ろ盾があるといい。アップルのケースでもドン・バレンタインというアメリカを代表するようなベンチャーキャピタルの紹介でジョブズとマイク・マークラは会っている。だからこその話であっただろう。
このように信用のバトンが見えないところでわたっておりアップルと言う会社は生まれ、また私自身ベンチャー投資をしている。
松山太河氏の経歴はこちら
1997年早稲田大学商学部を卒業、ネットエイジの取締役などサービスを創る側と投資側の経験を合わせ持つ。アーリーステージ中心のエンジェルファンドのクロノスファンド、日本・インドネシアの成長企業に投資するEast Venturesのパートナーで、創業から1年以内くらいにシードのスタートアップへ数百万から数千万円規模の投資をしている。ここ最近創業に関与したベンチャー企業の時価総額の総計でいくと600億円ほどになる。