2014年06月08日

憲剛と寿人のために

 ザンビア戦、3対3になる同点弾を食らった直後、何とも言えない「ああ、またか」的な重苦しい雰囲気が漂った。
 そこからのキックオフ。遠藤爺と交代した青山の「一発やってやろう」と言う表情は、中々のものだった。そして、キックオフ直後の、青山得意の鋭く深い縦パス、大久保の完璧なトラップからの一撃。凄い得点だった。もうあれを見てしまうと「守備がどうのこうの」と言った議論は飛び去ってしまったのは、1つ前のエントリで講釈を垂れた通り(まあ、ひどい守備だったけれどもねえ)。

 ともあれ。

 あの青山の高精度縦パスにせよ、大久保の超弩級弾にせよ、それぞれJで見慣れた光景ではあった。青山の速射砲の受け手は佐藤寿人、大久保へのセンチメータパスの出し手は中村憲剛と言う違いはあるものの。そして、(前回も述べたが)あのような攻撃を防ぐ手段はカンナヴァーロしかないのだ。
 青山、大久保が共にプレイするのは、今回の代表チームが初めてのはず。この短い準備期間で、2人がこれだけ鮮やかな連係を作りこむ事ができた事は素晴らしい事だ。そして、青山は寿人、大久保は憲剛と言う、それぞれブラジルに行く23人と遜色ない(いや実績や個人能力からすれば勝っている)最高のチームメートを所有している事が、この短期の連係構築成功につながった事は間違いない。
 憲剛と寿人はブラジルには行かない。しかし、憲剛と寿人がいなければ、この得点はなかった。憲剛と寿人がいなければ、ここまで強力なチームを作る事はできなかった。

 これが日本代表チームだ。

 代表チームと言うものは、「最高最強の23人」が選考されるものではない。
 強化の総責任者(今回は原博実氏)が選考した、現場の総責任者である監督(今回はザッケローニ氏)が、「目標に実現に最適なチームを構成できると判断した23人」が選考されるものなのだ。そして、ザッケローニ氏は、この日の4点目でその眼力の鋭さを改めて証明してくれた事になる。
 その格段の眼力を誇るザッケローニ氏が、「この組み合わせが最もよい結果を生む確率が高い」と熟慮した決定したのが、ブラジルに到着した23人だ。だからこそ、すべての選手が、それを誇りに戦ってくれれば。

 例えば、ワントップの位置を大久保と争う柿谷曜一郎と大迫勇也。柿谷と大迫のの個人能力の高さは言うまでもない。それぞれの特長を最大限に発揮すれば、世界中どんなセンタバックをも破り得点できる能力を所有している。しかし、ここ一連の準備試合のこの2人のプレイを見る限り、決して悪いプレイとは言わないが、周囲の本田や香川に妙な遠慮が見受けられる。
 改めて、この2人に期待したいのだ。ザッケローニ氏に選考されたと言う誇りと自信を胸に、己の能力を最大限に発揮して欲しい。もちろん、それは単に得点を狙うと言う事にとどまらず、味方への献身だったり、敵を惑わす空動きだったり、様々な切り口がある。ただ、柿谷にしても大迫にしても、単に本田と香川と大久保に合わせるのではなく、彼らに己のプレイに合させるようなアプローチをもっとしてくれれば。
 香川と大久保が精妙なパス回しで柿谷を抜け出させてもよい。柿谷と香川があり得ないような技巧で敵を打ち破り本田に強烈な一撃を打たせてもよい。大迫と本田が2人で敵DF4人を引き連れてつぶれ岡崎をフリーにしてもよい。岡崎と大久保の瞬発力で敵DFを振り切り最後に大迫が強烈な一撃をネットに突き刺してもよい。
 柿谷と大迫が、もっともっとザッケローニ氏が期待するようなよい意味での自己主張をすれば、ただでさえ強力な攻撃を、もっともっと豪華絢爛なものにする事ができるはずだ。

 中村憲剛も佐藤寿人もそれを願っている。
posted by 武藤文雄 at 21:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 日本代表 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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