25歳ニートが35万円で上京を企むブログ

広島出身のニートが上京をしてプログラマーを目指します。

【失恋】25歳上京君、アタックされて振られた

恋をした。

きっかけは向こうからの「アタック」だった。

職場の飲み会。

多くのコミュ障と同じように、俺は居心地の悪さを感じていた。

飲み会が始まり、周囲にグループができ始める。

グループから炙れそうになった人もうまいこと自分の居心地のいいグループを見つけて、そこに吸収される。

そんな中俺は、どこにも吸収されることなく、掃除機で吸い込みそこねた菓子くずのように床にへばりついていた。

そんな俺の向かい側の席に女の子が二人座っていた。なかなかかわいく、気立てのいい二人で、ああいう子と付き合えたら世界は変わるし、世界を変えるだけの力だって得られると思ったが、当然俺には縁のない話だと思っていた。

しかし、俺が見ていると片方の女の子が「私、あの人に今日アタックしちゃうから」と隣の女の子に言って、俺を見た。そう、俺を見たんだ。

「アタックされちゃう~~~~~~」

って思った。俺にアタックする満々だと思った。

その時点でもう俺はその娘に惚れていた。

俺にアタックを仕掛けようとする女の子なんて今までいなかった。

勘違いだなんて思わなかった。

いや、勘違いの可能性があることはわかっていた。でも、その可能性を無理やり頭からはじいた。

これが素人童貞の悲しいところである。

アタックされちゃうどうしよう、と思っていたが全然アタックの気配なく飲み会は進行した。

俺もうまいことグループに吸収され、居場所を見つけた。ただ周りの話はまったく脳に響かず、頭の中には「アタック」の事しかなかった。

いつアタックが来るのかと俺は心に槍を構えて待った。

1時間半ほどしたとき、ふと気づくと、アタック娘が俺の隣に座っていた。

アタック娘「ねえ、盆次郎さんって何歳なんだったけ?」

 

俺(俺今、アタックされてる~~~~~~~)

 

大気の精霊4体にアタックされたときばりに、俺の心はズタボロになり、既に、そう、女の子に完全に惚れていたし、この娘のためなら死んでいいと思った。

これ、完全に脈ありだぜと思いながら女の子と言葉を交わした。

飲み会はその後、何事もなく終わった。

そして、少し冷静になった。

アタックしてきた割には電話番号も何も聞いてなかったじゃねえか。

本当のアタックなら連絡先交換くらいするやろうが、と。

その飲み会が終わってから俺は、ふわふわしてた。

なんだったんだろう、あれは。アタックじゃなかったのか? 俺は付き合えないのか? と。

しかし、そのふわふわも数日で消え、俺は現実に引き戻されかけていた。

ちょっと話しかけられたくらいで興奮するなと自分に言い聞かせた。

だがちょうど自分自身に言い聞かせたその日、アタック娘が大きい猫の顔がプリントされた服を着て来たのだ。

飲み会の時、俺が猫好きだという話をその娘にしていた事を思い出した。

「時間差で再アタックきた~~~~~~~。誘われてる~~!」

と興奮がよみがえった。その一日は仕事が手につかなかった。

俺はうきうきした。

「次はどんなアタックがくるんだろうか? いや、相手にばかりやらさせてもだめだ、こちらからアタックするか?」と。

人生でこんなことで悩んだのは初めてだったと思う。恋の駆け引きの奥深さを知り、世の男と女がなぜこれほどまでに恋愛ゲームにのめりこむのかを理解した。

俺は「ハグ 勃起してしまったら」とか「お泊り旅行 彼女 生理」などで検索してシミュレーションをした。

しかし、破滅の日は突然訪れた。

先週の金曜、そのアタック娘は定時後、いつもより早くタイムカードを切った。

その娘が出た後、周りの女性社員がこそこそ話していた。

「今日彼氏に会うんだって」

どういうこと~~~~~~。

アタックしてきてたやん!

胴タックルでマウントを狙いにきてたやん!

ぱと師匠ーーーーーー!

このせいで睡眠薬をいつもより多く飲んで寝坊してしまうし、心療内科にいったら精神安定剤増やされるしで、いろいろと悪い方向に行ってもうたわ。

もう恋愛ゲームなんてやりとうないわ。

この話をしたらある人に

「相手が自分に気があるからってすぐ好きになるってことは、要するに誰でもいいんでしょ?」

的なことを言われたけど、どうしたよそれが。

ああ、そうだよ。誰でもいいよ。

ってか、誰でもよくないなんて言えるのは選べる選択肢のある奴の台詞でしょ。

腹が減ってたらよほどまずくない限り食うでしょ。

餓え死にしそうな時に「へい、お待ちっ!」って食べ物出されたら食うでしょ。

俺の彼女候補メニュー表には何も書かれてない。そんななかで、メニュー表に一人でも書いてあったらもう惚れるって! 

もういい、猫寝る。

 

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