Mukke

怒られそうなことを敢えて言う

読書好きとして恥ずかしい告白をさせていただくと,実は,夏目漱石の『こころ』と,ダニエル・キイスの『アルジャーノンに花束を』,概要と評判を門前の小僧状態で聞き知ってはいてもちゃんと通して読んだことはない。明治文学とSF。共通点は言語と文庫版であること以外にないように見えるが,ひとつだけある。高校の頃に書かされた読書感想文の課題図書として学校で配られたことだ。

中学校の頃の課題図書は素直に読んだ。だが高校に入って,小さな反抗心のようなものが芽生えた。僕は読まずに感想文をでっち上げることに決めた。いまから思えば,教師は確かに重要な本をチョイスしていたのだが,僕にはそれよりも,おしつけられた本を読まないことの方が大切だった。そういうものなのだろう。強制が教師の職分なら反抗は生徒の権利だ。行使するか否かは別として。そして,「講師」や「語り部」として学校に協力する人びともまた,押しつける側の人びとだ。

もちろん,かれらの人間としての尊厳をおとしめるような形での反抗は,してはいけない。たとえば,「先生を流産させる会」とか「死に損ない。早くくたばれ」とか。相手もまた人間なのだから。だが,おしつけられた情操教育への反抗そのものは,否定できない大切なものだと思う。

わたしは,読書感想文をコピペですませる生徒や,原爆資料館でふざけあう生徒や,語り部の話を聞いて眠りこける生徒の側に立つ。

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A Liberal Nationalist.

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