日本を悪魔化する朝日新聞
WiLL 6月6日(金)16時14分配信 (有料記事)
日本はそれほど危険な国なのか。日本人はとにかく外国を侵略したがる民族なのか。日本国には民主主義も法の支配も自己規律もないのか──。
日本の集団的自衛権の行使をめぐる日本側の議論を見て、そう訝った。反対派の主張は、日本が自国を守る権利を他国並みに持とうという試みを、まるで諸外国に攻撃をかけるための準備のように描くのだ。日本人が、日本人や日本国自身を自制のない暴走集団と断じているのである。
これでは、人間の症状に譬えるならば自傷癖ではないか。日本の自傷癖症候群だといえよう。
「国家権力の暴走」
「歯止め、きかぬ恐れ」
「戦争加担の恐れ」
「際限のない軍拡競争につながる」
「思うがままに武力を使いたい」
「憲法は葬られ、『ナチスの手口』」
以上は、安倍政権の集団的自衛権の行使容認についての朝日新聞の見出しや記述である。安倍総理が記者会見して、政府の有識者会議の報告書についての見解を述べた五月十五日前後の数日間の紙面からだ。
こうしたおどろおどろしい表現から明白なのは、日本の防衛についての考察のなかで、最大の危険性や敵性、脅威というのは日本の外部の勢力ではなく、日本自身だとする基本である。日本を危険な存在とする前提からの、これでもか、これでもか、なのだ。いかにも奇妙で倒錯した自国不信である。この倒錯は、日本への敵対の姿勢にさえ見えてくる。
「暴走」も、「歯止め」「戦争」「軍拡競争」そして「ナチスの手口」も、みな危険を作り出すとされる当事者はわが日本国なのだ。このスタンスは、日本を日頃から敵視する中国や韓国の主張とピタリと一致している。朝日新聞は日本国内にあって、その中韓両国と同じ批判を日本側に浴びせているのだ。
しかし実際には、日本にとっての集団的自衛権というのは本来、日本に迫る危機や脅威や軍事攻撃に対して自国をどう守るかという思考が出発点であり、目的地でもある。 だが、この朝日新聞流の認識は黒と白を完全に逆転させている。外部の要因はすべて無視、脅威や危険はみな自分たち日本側にあるとするのだ。よくもここまで自国を悪魔化し、敵視、危険視できるものである。
日本の集団的自衛権の行使を「戦争ができる国にする」と断じる日本共産党のプロパガンダも同様だといえる。防衛を考える場合の潜在敵は外部や外国の勢力ではなく、わが日本だとしているからだ。そこには自国の防衛という概念はなく、集団自衛のための行動はすべて「戦争をする」という表現で、侵略戦争であるかのように描かれるのである。
本文:9,581文字
この記事の続きをお読みいただくには、WiLLプレミアム on Yahoo!ニュースの購入が必要です。
- 通常価格:
- 308円/月(初月無料)
- 会員価格会員価格:
- 206円/月(初月無料)
サービスの概要を必ずお読みいただき、同意の上、ご購入ください。
古森義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
最終更新:6月6日(金)16時14分
読み込み中…