クナイ・タクティカルペン TP-09についての
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この記事はストライク&タクティカルマガジンに掲載された記事です。
出版社了承の元、イチローさんのご厚意により、弊社WEBサイトに
原文のまま引用させていただきました。

                       山下刃物店/担当:山下善啓

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クナイ・タクティカルペン

★クナイはボロ屋から★
 “おい、トモ、今からボールペンを作ろうや。そのペンの名前はクナイだ。
それを使ってドアを破り、必要なら壁の向こうに出られるような穴をも掘れる
くらいに頑丈な忍者の道具を作るのだ・・・”
 と、日本に着いたばかりのワシは言った。
 “あ、はい、ではこちらへ・・・”
 と、トモはプロスペック ディザイン社の試作棟に案内してくれた。PDの工場と
いえばナカナカ洗練された三角形の白いビルディングを想像して、などはして
いなかったが、そこはブリキ屋根でハッキシいってアバラ家だった。
 早朝の冷たい風がスキマから吹き込んで寒々しかった。暖房もなくストーヴも
なく暗がりに寂しく光る裸電球が工作機械を照らし、それがいっそう寒さをつのら
せていた。もとは資材置き場だったので水道もない。電気があるのが奇跡だった。
 “うむうむ、これでよか、優れた物はゼイタクな工場からではなく、熱い意志から
生まれるものだ、このボロさはワシの理想とする環境だわい・・・”
 そんなことを考えながらワシは粗末きわまりない工場を見回していた。
 太めのプラスティック棒をトモが旋盤にかけてスイッチを入れる。その機械を旋盤
などと呼んではアカイケ工作名人から「ふとどきセンバン」と言われてしまうような
中古の安物で、もちろんコンピュータにつなぐなどのシカケなどには縁遠い前世紀
初頭のシロモノだ。それでも電気が流れると力強く動いた。
 トモは、ワシのつたない手書きのスケッチを横に見やりながら削り始めた。丸棒に
刃が当たると、みるみるうちに有機的な形状へとその姿を変えてゆく。
 無から有への変化の始まりだった。それは魅力的で感動を誘う光景だ。
 モノ作りに魅せられて模型作りに熱中した少年時代があり、それが写真と拳銃に
凝るというふうに発展した流れはワシもトモも同じだった。そして今、このみすぼらしい
作業場で二人してタクティカル ペンのプロトタイプを製作しようとしている。
 工場は寒かったが、ワシは心を熱くしていたので気にならず、たっぷりと豊かな
ゼイ肉に身体を覆われたトモは、ことさらに熱くなっていた。

★タクティカル ペン★
 ここ数年、ワシはタクティカル ペンに興味を感じてコレクションをしていた。しかし、
すごく気に入るというモノはなく、自分なりに構想を練っていた。そういうところに
シュアファイヤ社からも発売され、これはさすがにスティーヴ ライアンのディザイン
だと納得できた。
 そんなとき、ふとしたことからワシにタクティカル ペンのディザイン&製作の依頼が
きたのだ。これは楽しい挑戦なので気を入れようと決めた。
 で、いろいろと考えたよ。
 こういったモノは、中国で作るに限る。それがダメなら台湾か韓国だ。なぜか?
製造原価が安いからだ。そのうえ日本製と同等な質が期待できる。とくに台湾には
素晴らしい工場があって魅力的だ。
 だが、ワシは日本で作りたかった。中国の三倍以上という金額になることは解って
いても、日本製にこだわりたかった。ギョーザやウナギとは違うんだから中国製で
よいことも解っていた。が、我がヤマトの国で作って誇らしげに販売したいという
小さなロマンを実現したかった。そして外国の依頼主は、それがよいと言ってくれた。
 また、安い包丁のように大量に売り出して狂気な犯罪予備軍に買われて悪用
されることを考えるとチープ(安っちい)なものは作れないと考えた。もともと、ワシは
職人の念を感じられるような高級感のあるナイフや銃が好みだし、それらは高価で
あるがゆえに犯罪に使われる可能性が少ないという傾向はアメリカも日本も同じだ。
  “さすがイチロー、なっとくなり!” と、高級志向なファンが満足してくれ、彼らが
堂々とポケットに差して歩いてくれるような品格の高いペンを作りたいと想った。
 トモが削り出したプロトにはペンの芯も差し込み、かなり長いモノだったが一見
すると普通のペンに見えた。それを胸ポケットに差してワシは歩いた。
 最初にそれを見せた相手は岩国のマリーンだった。そこで、ちょっとばかりデモを
見てもらったら反応があった。
 “いつ買えるんだ? どこで買えるんだ?” と質問された。
 100ダラ以上はするが、それでも買う気があるのかと聞くと、もちろんだと言って
くれた。
どうやら、ここが最初のお客さんらしい。

★ロマンで作る★
 その手作りプロトを仲良しの工業ディザイナーに渡して設計を頼み、それを製作
できるファクトリーをトモが探し当てた。実はここから様々な「産みの苦しみ」に悩ま
されることになる。血圧が上がったりタメ息を毎日20回はつくような日々に直面する
ことになった。
ほぼ完成した今でさえもモンダイを抱えてパーツの作り直しを待っているという状態
なのだ。設計変更も幾度もあった。正直に言うと、日本人はモノ作りに関してもっと
鋭敏な感性をもっているという先入観がブチ壊される気持ちだった。
 ディザイナーいわく、
 “たかがペンだと思ってナメてました、申し訳ありませんでした・・・”
 彼は誰でもが認める腕利きの設計師だ。忙しいのに時間を割いて図面を描いて
くれた。それもイチローGUN団仲良しグループの一員なのでギャラはなくてもいいし、
ペンが売れてからでもイイということでやってくれた。たしかにペンの設計など楽チン
な仕事だと想ってしまっただろう。しかしワシの目標は「羊の皮をかぶったオオカミ」を
作ることなので理想は高かった。
 悩みは摺動パーツだった。頭を回すとペン軸が上下するという部分だ。そのメカニ
ズムそのものは新機構ではないのだが、軸を百回も出し入れすると動きがシブく
なるという現象があり、そこで足止めを食った。形状の改良、そして材質と表面処理
などの再考に迫られた。
 文字を書くときに筆圧の高い人がいるものだが、そんなことで動きがシブくなるのも
困る。ワシが想定するのは弾丸ほどもある「超筆圧」なのだ。
 “ペン軸の上下動は、ロールスロイスのように重厚で滑らかであるべし”
 そのムカシ、レクサスの開発に関する記述を読んだワシは、トヨタティームの姿勢
から影響を受けていた。レクサスとペンでは格が違う、が、あの精神だけはイタダキ
たかった。
世の中、こんなバーカがいたっていいだろ? なっ?
 しかし、製作する側に理想を押しつけるのもムリはあった。
 ワシもトモも工場とのやりとりに関してはシロートで、互いの体温差に悩まされた。
なにしろ我々は「小さな仕事を持ち込んだくせに理想だけが高くヤタラとうるさい
面倒でシツコイ奴らで招かれざる客」なのだ。工場側の気持ちはよく解るので申し訳
ない気持ちだ。
 しかしながら、たかがボールペンでこれほどモメたのは明治維新のあと初めての
ことだろう。ということは、徳川時代や室町時代にもなかったろうから、リロン的に
言えば、まさに日の本
開びゃく以来初めてのことだ。くだらんことだが、これだけは自慢してしまうことに
するよ、ウン。
 なにしろ、自分が納得できないモノを販売するなんてことはワシには出来ない。
それでなくても写真を撮影してクライアントに渡すときは毎回のようにヒヤ汗をかい
ているというのに・・・。
 100%完全なものなんて作り得ない。が、45点では困る。せめて75点をとれた
ところで量産に踏み切りたい。それでも恥ずかしい。なにしろ、クナイが完成した
暁にはウィルコックスやシュアファイヤやナイツやSIGの社長たちにプレゼントしな
ければならない。こういった世界的に超一流
のエンジニアたちにどのツラさげて渡せよう。そしてアメリカ中のSWATや警察官に
買ってもらうことになるのだ。日本でも、その道のプロたちが使ってくれるだろう。
護身という意味を真剣に考える若者たちも注目してくれるだろう。そういった可能性
を想像すると身が縮むのだ。
ワシがユーザーに提供するのは自分の作品ではなく「日本の製品」なのだ。
日の丸をバックにトヨタやソニーやヤマザキなどの機械に恥じない製品でないと
国家的モンダイとして・・・などとまでは想わんけど、ようするに立派な日本のモノを
作りたいのだよ。
 たぶんにロマンな心で作る。だからシロートなのだ。モーケは犠牲にしてでも良い
モノを作りたい。だからアマチャンなのだ。でも、クナイの開発は趣味でありたい。
趣味となれば、人はカッと熱くなって時間と資金を惜しんではいられなくなるものだ。
シロートのアマチャンが趣味として没頭する時、たまにスゴイ物が生まれる。その
「ホビーパワー」をワシは発揮してクナイを作りたいのだった。たかがボールペンを
作るのに鼻息を荒くするのも恥ずかしいが、実は自分が理想のペンを持ちたいと
いうのが大きな動機でもあった。
 さてさて、そこで、
 タクティカル ペンとはそもそもナニであるか? 文房具屋で売ってるペンとどこが
ちゃうねん?
 うーむ、いよいよ難しく解きがたい難問に対する答えを返答し、解明するとともに
回答をしめさなければならないところにきてしまったよーだ。
 タクティカル ペンを訳すと「戦術的ペン」ということになる。だから、ある部分を押す
と先端が弾丸となって最低2kmは飛ぶという能力があり、ダットサイトを搭載すれば
100mをピンポイントで撃てるのでゼームスボンドも愛用しているとか、あるいは
毒ガスが噴き出して相手を窒息死させることができるのでアルのかというと、
そんなこたゼンゼンまったくジェッタイないのよ。実のところ、普通のボールペン
なのだナ。まったく普通のペンなのに手作りなのでそのように呼んで売ってる
ところもあるくらいだ。
 ただ、ボールペンを書くためだけの用具としか認識していない人と、それを武器
として使うという技術と心構えとをもった人があれば、そのペンの存在意義には
大きな隔たりができるだろう。つまりは、そういうことなのだよ。

★武器か凶器か?★
 拳銃は武器であるか?
 あ、はい・・・。
 ではナイフは武器であるか?
 えーと、そういった使い方もあります。
 包丁は?
 本来は料理用ですが、日本で使われる一番の武器です。
 ならば、武器とは何であるか?
 はい、戦う相手を殺せる能力をもった道具です。
 で、凶器とは?
 武器と凶器とは同義ですが、殺された人に罪のない場合はなぜか凶器と呼ばれ
 ます。正義に使えば武器、悪用すれば凶器なのかもしれません。
 石はどうじゃ?
 はい、立派な武器であり凶器となります。
 カナヅチやドライバーは?
 はい、同様に・・・
 食事用のハシで人を殺せるか?
 はい、その使い方を知り、訓練をした者でしたら・・・
 では、人の手や足は?
 鍛錬を積んだ者でしたら五体を武器、あるいは凶器として使用し人を殺せます。
 では、我々の世界から武器や凶器となるモノを除き去ることは可能ではない
 のか?

 それはできません。とくに包丁で殺される被害者は、今後増えることはあっても
 減りはしないかと・・・
 それを止める方法はないのか?
 あります、それは「教育」です。親が子にほどこす人間としての教育を第一とし、
 学校の先生は生徒を大学に押し上げて点数を稼ごうというのを止め、教養と知性の
 時代を目指す必要があります。
 テレビや映画の制作者は暴力描写、エログロの氾濫といったものが子供達の精神
 を蝕んできたということを認識し、自分の家族にも観せたいような映像の製作を考
 えるべきです。
 なるほど、してそういう時代は来るのか?
 大戦争があって、人口が半分以下にならないかぎりはムリなことかと・・・
 ところで、力のある者が弱い者から奪い、キレた者が通行人を刺し殺すといっ
 たことへの対処方法はないのか?

 はい、それは護身の精神を養うことが先決かと・・・
 うむ、その精神とはどのようなものか?
 はい、まず平和は空気のようにタダではなく、戦ったり大金を投じたりして得られて
 いるのだという事実を認識し、それは個人の生活においても変わりはないのだと
 考えることです。密林を歩くと猛獣や毒蛇に遭遇するように、都会というジャングル
 にも獰猛な殺戮者が存在しており、運が悪ければ彼らに狙われることがありうると
 いう世の現実を把握することです。
 それは、各個人に戦闘力を備えよということか?
 はい、人はハンターとなるかエジキとなるかという問題ですので、どちらを選ぶか
 は個人の自由です。ただ、闘いへのマインドセットのある者は、危機にあって生き
 残る率がはるかに高くなるのです。
 ところでお主、その胸に差しているのはペンだな?
 はい、ボールペンです。
 それは闘いの道具となりうるな?
 はい、必要とあれば・・・
 そんな危険なモノを持ち歩いていたら意地の悪い警察官が没収しようとする
 だろうに。

 それは難しいでしょう。罪を犯してもいない国民からペンまで取り上げるような悪どい
 警察官がいたらさすがに新聞も書き立てるでしょう。
 警察は善良な若者からペンまで取り上げて国民の無力化をはかりながら陰
 では汚職にまみれている、などという記事が載っては警察も困るわけじゃな?

 はい、これこそ「ペンは剣よりも強し」です。
 
 ふぁっはっはっは、それは古いコトワザじゃが良いオチじゃったわい。


★身近なる凶器★
     
 生活用品でありながら武器として使えるモノは多い。
 その代表格は包丁だ。誰でも買うことができ、どの家庭にもある手軽で強烈な
殺人道具。とくにデバや柳刃などがどれだけの犯罪に使われてきたかを考えると
想像を絶するものがある。
 母親が愛情こめて魚を料理する、その道具そのものが使う者によっては強力無比
なる凶器となる。
 ナイフよりも殺傷力のある包丁については皆が認識しているのに警察や政治家が
包丁の所持を禁止するという動きはありそうにもない。大騒ぎをして両刃のナイフを
禁止し、大したことのないテポドンに狂乱する日本人は、本当にサムライの子孫なの
だろうかと想ってしまう。
 それはともかく、
 カナヅチ、ドライヴァー、アイスピック、斧、シャベル、金属バット、ヒモ、フライパン
などなど、身近なモノを武器として使用した殺人者の数は多いなんてもんじゃない。
風呂にはった水、階段、テラス、固い床、クルマなども殺人に使える有効な大道具
だろう。

★人間の殺意が人を殺す★
 「包丁が人を刺すのではない、人が人を刺すのだ」
 「銃が殺すのではない、人間が人を殺すのだ」
 「ガンではなく癌が人を殺すのだ」
 癌とは癌細胞のように狂った細胞、そういった種類の人間のこと。
 狂った細胞が増殖しながら正常な細胞を蝕んでゆく。問題なのは、このような
「癌的人間」だ。ここを取り違えて銃やナイフを取り締まるのは核心にフォーカスが
合っているとはいえない。だいたい、両刃を禁止したら犯罪が減ると考える人間
そのものも愚かしい癌細胞のひとつだろう、とワシは考えている。
 両刃のナイフを禁止したのは警察ではある。が、実をいえば警察は両刃を禁止
してもまったく無意味だと知っていた。ただ秋葉原事件でバカな記者たちと無知な
国民がキリキリ舞いをしているので、両刃に終身刑という刑罰を与えることによって
バカどもの気持ちを静めてやった、というのが真実のところだとワシは想う。
 “両刃ナイフは殺人が目的だ、危険だ危険だ” と知能の低い記者が連呼する。
それに対して “いえいえ、両刃が問題なのではありませんよ、両刃がなければ
犯人は包丁を使いましたよ。皆さん、犯罪を押さえ込もうというのでしたら教育の
見直しを考えていただけませんかね・・・”と、警察のオエライは言いたいところだが、
日本では真実など言ったら職を追われるという風潮があるので黙って従うしかない
のだろう。
 刺殺用としてディザインされた両刃ナイフは禁止された。あんなモノを持って喜ぶ
ような人間は悪人に決まっている。だいたいそんな危険なナイフを持ちたがるなんて
気がしれない。ナイフコレクターなんて社会の敵だ!と、考える人は多いだろう。
 それは、浅ハカというものだ。思考力と判断力に欠けた無知人間だ。
 では、短刀はどうだ? 日本刀はどうだ?
槍はどうだ? 弓はどうだ?
 これらには、殺人以外に何の目的もないのだぞ。それも破壊力はナイフの比では
ないのだぞ。
 これらは、インターネットのオークションでバンバン買えるのだぞ。
 なにっ? 日本刀は美術品だって?
 ほほーう・・・そうかい?・・・
後は言うまい。これで解らなければ真性の能なしだ。
 ともあれ、そのうちにインターネットで買った安い脇差しで大暴れする男が現れる
だろう。これに日本がどう対処するのか興味がある。
 理想を言えば、良い人たちには銃でもなんでも自由を与え、癌的人種は隔離
するか監視下におく、ということ。世の中には善人が多い。善人による自由な社会を
構築する可能性はあるはずだ。
 ワシの言う善人とは羊の群ではない。逞しくて強くて正義を守ることに命をかけられ
る人々のことだ。もっとも、そうなったら政治屋たちが国民の血を吸えなくなるので
必死に実現を阻むことだろう。とにかく国民のリーダーとして相応しい政治家が上に
立てないという、この、悪で硬直した政治組織をなんとかしたいものだ。
 ともあれ、
 人間が格闘術の訓練を受けると、その流派にもよるが、大なり小なり強くなる。
素手での殺人テクを身につけた人は数秒間で敵を殺せる。そして、その人そのもの
が「危険な武器であり凶器」となる。
 ようするに、しかるべき知識のある人なら素手で殺せ、ワリバシやエンピツを使って
でも殺す能力を持っているのだ。ただ、ワリバシよりも竹箸、エンピツよりもボールペン
のほうがより強い武器になるということ。
 では、本題にもどろうか。
 そこらで売っている100円ペン、または安い景品やサーヴィス品としてのボール
ペンには、ナイフに匹敵する殺傷能力が秘められている。そして、これらは包丁と
一緒で取り締まることができない。いや、それより困ることは、包丁と違ってどこへ
でも持っていけることだ。24時間身につけていても、誰もモンクを言えないことだ。
セキュリティーのうるさい場所は多くなったが、ボールペンをイケナイというところは
まだない。
そんな理由から、ペンは格好な防衛のための道具だと米国では考えられている。

★護身は訓練から★
 ただし、ペンは包丁とは違い、知識と訓練なしでは武器として使うことは難しい。
 差し障りのない範囲で、初歩の護身方法を書こうか。
 君は非力な男で妹と一緒に夜道を歩いているとしよう。前方から3人の男が来た。
予想どうりにからんでくる。酔っていてしつこい。妹に抱きついてキスをする、クルマ
の中に引きずり込もうとする。君は胸をド突かれてヨロヨロと壁にもたれる。
そのとき、15才の可愛い妹に抱きついていた男がオオオ〜ッと叫んだ。見ると妹が
ペンを握って男の顔を乱打しているではないか! その一瞬に妹はスルリと男の下を
抜けて走り出す。
 “逃げようっ!”
 妹の声にハッとした君も走る、が他の男に肩をつかまれてしまった。君は振り向く、
同時にカマキリのように握ったペンで男を乱打する。腕、額、顔、肩、ところかまわず
ペンを振り下ろす。男はたまらず頭を抱え込んで下を向く。そこで君は走って逃げ去る。
 この場合、あまり考えられないことだが、過剰防衛で起訴されて裁判を受けるかも
しれない。しかし、君と妹は、自力で危機から脱したのだ。ペンがなかったら妹は拉致
されて強姦されていただろう。そのあげくどこかに投げ捨てられ、犯人達は逮捕され
ないままになったかもしれない。どう裁かれようと自分に恥じることはないから堂々と
裁判を受けるのだ。
 夜道で弱い人を襲う男がいたら、一生忘れないような深手を負わせるか、目撃者が
いなかったら殺してしまいたいとワシは考えている。ヤツがもう決して他の人をエジキ
にできないようにするためだ。
 君たちにはそんなことをしてほしくない、が、悪を憎む心だけは持ってほしい。
大勢の国民が悪を追放すべきだという強い価値観をもつと国が良くなるのだ。

★ヒット&ラン★
 ただペンを握って相手を乱打する。
 これは、教わるまでもなく、誰でも本能的にできることだ。ただし、これは不意打ちで
ないと効果がない。酔っぱらいになら通用しても相手がいっぱしの暴力男だとブロック
されるだろう。なので、ブロックに備えてのさらなる技などを研究する必要がある。
いきなりペン先で顔面アタックすると傷が深くなるので、できたらペンを逆に握って
頭の部分で叩くということも考える必要がある。それだけでも素手とは比較にならない
打撃力を発揮するものだ。
 なるべくなら大きな外傷を残さずに痛い思いをさせるのが護身の基本だろう。
ヒット&ラン、つまりバンと攻撃して相手がひるんだところでサッと逃げることも大切。
しかしそのためには訓練をする必要があることを忘れないでほしい。
 闘う相手の強度によって戦術を変えることも大切だ。弱い相手だったらペンの頭で
グイと痛いところを押す程度でよく、自分と同等な相手にはガツンと食らわす。相手が
複数のときは最後の手段としてペン先での攻撃となる。
 ペンの先端を使えば少ない動きと小さな力で格闘でき、文字通りの「痛打」を与え
ることができる。しかし当然ながら、これも訓練が必要だ。
 よく鍛錬した者だと、100円ペンひとつあればナイフと同格に闘うことができるよう
になれるし、民間人には特別な場合を除いては教えられないが、敵を瞬時にて殺す
という技もある。
 できたら、どのような訓練をすればいいのかをモデルを使って次号のSATマガで
紹介してみようかと考えている。楽しみにしてくれ。
 そこで、だ、
 “ほんなら100円ペンでええでっしゃろ? わざわざタクチカル買う必要なんかオマヘン
なぁ? そーでっしゃろ? ちゃいまっか? ”
 ヤマシタ刃物店のヨシは、射撃訓練で毎年ワシの所にやってくる。けっこー思慮深い
ところのある男で妥協を嫌う性格だ。クナイを見せると、きっとこういった質問をぶつ
けてくるにちがいない。だから、
 “はい、じゃっどん、少しは違ごうとでごわす・・・” という説明に入ろうか。
ヨシにも理解しやすいように自称完璧な関西弁をアヤシク使ってみよう。ワシはジャパ
リンガルなのだ。つまり複数の日本語を使えるちゅうことやねん。
ホナいくでぇ・・・

★クナイのスペック★
 まんず、素材についてですねん。
 クナイのボディー素材には「A7075」ちゅう最上級のエアクラフトアルミナムを使う
とるんねん。工場の皆さんは「超々ジュラルミン」と呼んでるほどの優れた素材なん
やでぇ。こんな、ゼータクで頑丈なペンなんか他にありまへんのや。
 先端部は 「SUS303B」ちゅうステンレスですねん。あんまり大声では言えまへん
けど、ここはペネトレイションパワーを高める大事な部分でケッコウ凝った素材の
鋭い選択と言えますねん。
 そんでもってクナイのアタマにはグラスブレイカーが埋め込んでありますねん。
事故ったクルマから人を救出するときは、これでウインドウを割ることできまんのや。
クルマの窓はなかなか割れへんらしいけんど、クナイがあれば市コロですねん。
そやけど悪用すると捕まりますさかいあきまへんでぇ。これ使うのは事故ったクルマ
のドアが開かんようなったとき救出のために車窓を破るちゅうよーな状況にある
ときだけですねん。ドロボーに入るため窓破るんやったら専用のガラス切りを使った
ほうが静かにやれますよってゼヒともそっち使ってほしいですねん。
 そうそう、言い忘れたんやがグラスブレイカーの素材は「SKS21」ちゅう鋼鉄です
ねん。ロックウエル硬度が65もありますよって固いグラスでも楽々と粉砕できるわけ
ですねん。
 それと、ぜんたいのカタチを見てほしいねん。ここがまた苦心のとこなんやでぇ。
 上の方が竹のフシのようになっとるやろが。これはフィンガーチャンネルちゅうわけ
ですねん。これで強いグリップできますねん。頭部は親指との接面を大きく、強いドラ
イヴィングパワーが出るようになっとりますねん。インパクトのストレスが手に負担を
かけんようにちゅう理由からこうなっとりますねん。ほんで、フシの部分はアクニンの
急所を押したり、指をクイとひねって逮捕するために綿密に計算された形状でもあり
ますねん。
 どぉーですねん? 100円ペンとはエライ違いまっしゃろ?
 人間の顔は外から見ても能力が解らんように、本格的なタクティカル ペンちゅう
もんも見かけは同じながら作りがウントコサ頑丈でコッてますねん。
 だいたい、ペンを護身の道具にするちゅう人がヤワな100円ペンなんか持ちます
かいな。クナイなら忍者のようにドアに穴を開けて脱出できるし、地面に穴も掘れ
るんやで。どや、掘れるのに惚れるやろ? これがホントのホレボレやで。とはゆうて
もホンマにドアに穴なんか開けるちゅうたらえらいコンジョがいりますやろなぁ。
ペンより手のほーがコワレますやろな。そのへんのとこはクナイが完成したとこで
破壊力テストやってリポートしますがな。
 そうそう「クナイ」はエゲツない日本人が絡んでアジアでコピーされて出回ると
予想されますやけんど、それは「ヨクナイ」という名前で呼んでほしいですねん。
ディザイン盗用で米国の弁護士が動くことになりますよってヨクナイでっせ。
 ほな皆さん、長いこと読んでもろて嬉しいですねん。おおきになぁ・・・。
イチロー永田    



クナイ・タクティカルペン TP-09についての
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