これはあまりにも乱暴ではないか。 集団的自衛権の行使を認める閣議決定…[続きを読む]
経団連の会長に就いた榊原定征氏(東レ会長)は、企業が出す政治献金に経団…
経団連の会長に就いた榊原定征氏(東レ会長)は、企業が出す政治献金に経団連が再び関与するか、検討中だという。
やめた方がいい。「政策をカネで買うのか」という批判を招くだけだ。
「政治献金では物事は動かない。国民に訴えかけないと、政策を実現できない」「丁寧に国民に説明しなければ、経団連への支持は得られない」
これは一昨年末、経団連の事務総長(当時)が、朝日新聞に語った「決意表明」だ。安倍政権の発足が確実視されていたころのことである。
安倍政権は成長戦略として企業を支援する改革案を次々に打ち出している。それを後押ししつつ、ぎくしゃくした政権との関係も改善したい。そんな思いからの「変心」だろう。
ただ、政権が掲げ、経団連も求める改革案には強い反対がある。なぜか。国民の声に耳をすませ、自らを省みてほしい。
まずは、法人税の減税だ。
消費増税が実施され、所得税も控除見直しなどで課税強化が進む。「企業は減税、個人は増税」に、割り切れない国民は少なくない。
今年の春闘ではベアを実施する大企業が目立ったが、政府から半ば「強制」されたからだった。企業全体では巨額の利益をため込んでいるのに、なぜ自主的に賃上げできないのか。
働いた時間と報酬とを切り離し、成果主義の徹底を目指す労働規制の緩和策もある。
経済界は、同時に長時間労働を防げば生産性が高まる、とプラス面を強調する。
しかし、非正規労働者を都合よく使い、正社員にサービス残業を強いてきた企業が少なくないのが実態だ。改革案が体のよい人件費抑制策と受け止められても仕方あるまい。
日本経済が成長を取り戻すには、企業が元気に活動することが不可欠だ。雇用を増やす主役もまた企業である。
働く人にもメリットがあるなら、企業活動を支援する改革に理解が広がる。企業が「国民に訴える」とは、それを実際の行動で示すことにほかならない。
経団連は非自民連立政権が誕生した93年、会員企業に献金額を割り振る「あっせん方式」の廃止を決めた。04年に「口も出すがカネも出す」として、自民・民主両党への政策評価とともに会員企業に再び献金を促し始めたが、民主党政権が誕生した翌年の10年、中止した。
政権交代のたびに右往左往してきた過去を見ても、政党にすり寄る発想は捨てた方がよい。
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