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レビュー対象商品: フランスの子どもは夜泣きをしない パリ発「子育て」の秘密 (単行本(ソフトカバー))
11歳の娘の父親です。この本自体は未読なのですが、あるブログで紹介されていたのでこの本を知りました。赤ちゃんの夜泣きへの対処が放っておくというのは間違っていると思うので、その点について書きます。
以下は「子どもへのまなざし/佐々木正美(1998年)」p114〜からの引用です。 ----- 赤ちゃんが望んだことは満たしてあげる 30年も前のことですが、ヨーロッパの学者や研究者や臨床家の間で、赤ちゃんが望んでいることは、どんなことでも無条件で満たしてあげたほうがいいか、そうしないほうがいいかで、意見がわかれていました。 (略) 赤ちゃんを二つのグループにわけて、一方は、泣いてもなにしても深夜には授乳しない、昼間も規則正しく乳児院のやり方で定時授乳を守る。もう一方は、子どもが望むたびに授乳をするというふうに、実験的な育児をしました。子どもが望むたびというのは、授乳の要求だけを聞いてあげるというのではないのです。子どもの要求にしたがってあやしてあげるとか、だっこをしてあげるとか、遊び相手をしてあげるとか、そういうことも全部含めて、子どもの希望は可能なかぎり、すべてかなえてあげるという育児をするわけです。最初のグループで深夜の授乳はけっしてしないと決めますと、一部ですが、早い赤ちゃんは3日も泣けば、翌日までなかないで待てるようになるそうです。(略) 「そら、ごらんなさい。もう三日で子どもによっては、翌日の朝までおっぱいを待てる忍耐づよい、現実認識がしっかりした、かしこい赤ちゃんになるではないか」といった考え方をした研究者もいました。規則正しい授乳をふくめた一定の方針にもとづいて育児をすることがたいせつだと主張した人たちには、たとえばピューリタンといわれるような、禁欲的な宗教をもつ臨床家に多かったともいわれています。 (略) 結論的にわかったことは、三日ぐらい泣いて翌日まで待てるようになった子どもは、一部の専門家が予測したような、いち早く忍耐づよい子になったのではなく、むしろ困難にたいして早くギブアップする子だということがわかったのです。忍耐づよくないのです、反対なのです。いつまでも泣き続ける赤ちゃんのほうが、本当は忍耐づよい、簡単にはギブアップしない子どもだったのです。 (略) 何年にもおよぶ追跡観察の結果では、赤ちゃんのときに、おっぱいはもらえないということがわかって、すぐ泣かない子になった赤ちゃんは、早く現実の意味を理解して、かしこく忍耐づよい子どもになったなんて想像したら、とんだまちがいでして、ちょっとした困難をすぐ回避しようとする、困難を克服するための努力を、すぐ放棄する子どもに成長していったのです。そして、いつまでも、二週間以上も泣き続けた赤ちゃんのほうが、努力をし続ける子どもに成長していったのです。だめなものはだめとすぐあきらめる子と、なにごともすぐにはあきらめない子、というふうに表現してもいいかもしれません。 ところが、それ以上にたいせつなことが観察され、知られることになりました。三日にしろ、二週間をこえてにしろ、結局だめなものはだめだということで、泣き止むしかなかったということは、子どものこころに周囲の人や世界にたいする漠然とした、しかし、根深い不信感と自分にたいする無力感のような感情を、もたらしてしまうということです。 それにたいして、深夜であろうとそうでなかろうと、泣くことで自分の要求を表現すれば、その要求が周囲の人によって、満たされるということを体験し続けた赤ちゃんは、これから報告しますように、自分をとりまく周囲の人や世界にたいする信頼と、自分に対する基本的な自信の感情が育まれてくるのです。 ------ 育児はいろいろな考え方や文化があるので、これが絶対正しい、あれは間違ってるとは言えません。ただ、私は、夜泣きしている子を意図して放っておく行為は、かるいネグレクトではないかと思います。(「夜泣き ネグレクト」でググってみてください) できる限り、相手をしてあげるべきだと思います。 なお、私は、この「フランスの子どもは夜泣きをしない」は読んでいないので、もしかしたら違う文脈で、夜泣きへの対処について著されているのかもしれません。私のかんちがいでしたら、すみません。また、夜泣きに対しては放っておいても、それ以外の日々の生活の場面で親が子どもに対して十分な愛情を示していれば、環境に対する信頼感は育まれると思っています。ですので、この著者さんの子育て論全体を否定しているわけではないこともご理解ください。 ちなみに、先にあげた「子どもへのまなざし」はオススメです。私100冊近く育児書を読みましたが、ダントツに良い内容でした。友人に子どもがうまれるたびに贈っています。アマゾンの幼児教育・家庭教育カテゴリでは、ずっとベストセラー1位です。もし、この「フランスの子どもは夜泣きをしない」を読まれるのであれば、ぜひ「子どもへのまなざし」にも目を通してみてください。 |
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