大鹿靖明
2014年6月8日00時11分
ファミリーレストランのすかいらーくがビッグデータをフル活用している。
展開するガストの過去の購買履歴を分析すると、「若者はハンバーグ、シニア層は和食」とは言い切れず、シニア層もハンバーグを注文していることが浮かび上がった。人気メニューの「チーズINハンバーグ」は他の商品より数割もリピート率が高く、幅広い層が支持する看板商品であることもはっきりした。
消費増税前の駆け込み消費の反動で、顧客の懐具合は厳しいに違いない。そこで増税後の4月、ガストはこの看板メニューを100円引きの399円にする11日間限定のキャンペーンを実施した。
効果はてきめんだった。1年以上足を運ばなかった「休眠顧客」が3割以上やってきた。「お客様を引っ張り出すことに成功しました」。社長の谷真は言う。
最大公約数的な商品を低価格にして顧客をひきつけ、次はステーキで客単価を上げる。4月下旬から約1カ月続けたステーキのキャンペーンでは、中年男性には鉄板に乗ったステーキ、中年女性には白い皿に盛ったピラフとステーキのメニューが受けると見込んだ。女性客がピラフを好むとデータが示していた。客層ごとに最も食べてもらえそうなメニューを作ったところ狙い通りになった。
12の店で店長をしてきた現場上がりの谷は「勘と経験だけでは通用しない。これからはデータとサイエンスの時代」と言う。若い頃、任された店の不振究明にまごついた。レジを閉めた深夜、一枚一枚伝票をめくったがわからない。「それが今は一瞬でわかる。対策が打てる」
谷の懐刀としてデータ戦略を担うのは昨年秋、ゲームのグリーから転職してきた神谷勇樹だ。グリーではビッグデータ分析を担当。ゲーム画面のどこでユーザーがあきらめたか調査し、日々「カイゼンに次ぐカイゼン」(神谷)で売り上げ増に貢献した。
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