裁判員裁判:死刑 市民感覚か判例か 2審で無期相次ぐ

毎日新聞 2014年05月15日 01時46分(最終更新 05月15日 01時46分)

 裁判員の死刑判断が減刑された例は他にもある。殺人罪で服役し出所半年後に東京・南青山で男性を殺害した罪に問われた伊能和夫被告(63)、長野市で一家3人が殺害された事件で起訴された池田薫被告(38)=弁護側が上告=のケースだ。竪山被告と伊能被告のケースで上告した検察は、「裁判員の健全な社会常識が反映された意見が尊重されるべきだ」と強調する。最高裁も12年2月に「高裁は裁判員の判断を尊重すべきだ」との判断を示しているが、ベテラン刑事裁判官の中には「被告の生死を左右する判断は、判例とのバランスも重視せざるを得ない」との声もある。

 美奈子さんは講演で「裁判員は友花里の無念と私たちの心情を分かってくれた。しかし2審はたった1回で結審し、判例との均衡を理由に減刑した。被害者が1人で計画性がなければ死刑にならないという判例自体がおかしい」と問いかけた。

 重視すべきは市民感覚か、判例か。被害者遺族や裁判員経験者らが、最高裁の判断を注視している。【伊藤一郎】

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