若田宇宙飛行士:ISS滞在188日…大役終え地球に帰還

毎日新聞 2014年05月14日 11時40分(最終更新 05月14日 18時00分)

国際宇宙ステーションから地球に帰還し、カプセルから出て笑顔で手を振る若田光一宇宙飛行士=カザフスタン・ジェズカズガン近郊で2014年5月14日午前8時半ごろ、大場あい撮影
国際宇宙ステーションから地球に帰還し、カプセルから出て笑顔で手を振る若田光一宇宙飛行士=カザフスタン・ジェズカズガン近郊で2014年5月14日午前8時半ごろ、大場あい撮影

 【ジェズカズガン近郊(カザフスタン)大場あい】国際宇宙ステーション(ISS)に約半年滞在し、日本人初の船長を務めた若田光一宇宙飛行士(50)は14日午前7時58分(日本時間午前10時58分)、米露の宇宙飛行士2人とともに、ロシアのソユーズ宇宙船「TMA−11M」でカザフスタン中央部の草原に無事着陸した。若田さんは昨年11月7日からISSに滞在し、今年3月9日に日本人としては初めての第39代ISS船長に就任し、任務を全うした。

 ◇「和」でまとめた船長

 若田さんは着陸の30分後、宇宙船の「帰還カプセル」から姿を見せると、笑顔で日本の報道陣に手を振りながら「ありがとうございました」としっかりした声で言った。テント内で医学チェックを受けた後、報道陣に「半年間で地球を3000周くらいしたが、かけがえのない古里だと思いながら過ごした」と語った。

 今回の宇宙滞在日数188日は、古川聡飛行士(50)の2011年飛行時(167日)を超え、日本人の記録を更新。過去3回の飛行も含めた合計348日も野口聡一飛行士(49)の177日を抜いて日本人最長となった。

 若田さんは14日未明、ISSに残る米露の3飛行士と「お別れの儀式」を行った後、ロシアのミハイル・チューリン飛行士(54)、米国のリチャード・マストラキオ飛行士(54)と一緒にISSに接続されていたソユーズ宇宙船の帰還カプセルに乗り込んだ。

 ソユーズは日本時間の午前7時半過ぎ、地上から約400キロ上空を周回するISSから離脱。三つに切り離されて、そのうちの一つである帰還カプセルは同10時半ごろ、黒海上空で大気圏に突入した。帰還カプセルは、パラシュートを開いて降下速度を秒速約7メートルまで減速。地上1メートル程度の高さでロケットを逆噴射させて衝撃を和らげ、草原に着陸した。

 若田さんは昨年11月7日にカザフスタンのバイコヌール宇宙基地からソユーズで打ち上げられ、同日ISSに到着。ISS船長に就任した時は「和の心を大切にして船長業務を全うできるように尽力したい」と表明した。地上ではウクライナ情勢で米露関係の緊迫した状況が続く中で、米国人2人とロシア人3人を66日間率いた。

 ◇若田光一(わかた・こういち)さん◇

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