EU司法裁判所:事実も忘れられる権利…グーグルへの判断
毎日新聞 2014年05月14日 19時32分(最終更新 05月14日 20時56分)
【ブリュッセル斎藤義彦】欧州連合(EU)の司法裁判所(ルクセンブルク)は13日、米検索大手グーグルに検索結果として表示された情報が、「プライバシー侵害にあたる」として削除を求めたスペイン人男性の要求を認める判断を下した。近くスペインの裁判所でEU司法裁の判断に従った判決が出される。
グーグルを巡っては関連語句を自動的に予測表示する「サジェスト機能」の内容が虚偽だとして削除を求めた裁判はあったが、今回、事実を示す検索結果の削除が認められた。検索サイト企業にとっては深刻な問題となりそうだ。
EUでは、ネット上に蓄積された個人情報を利用者が削減する「忘れられる権利」を認める取り決めを協議中。欧州メディアは「忘れられる権利を認める判決」と報じた。
同裁判所の発表によると、スペイン人男性がグーグルで自分の名前を検索すると、社会保険料滞納のため不動産が競売にかけられたことを伝える1998年1月と3月の新聞記事のリンクが表示された。男性は2010年にスペインのデータ保護当局に、グーグルに検索結果を削除させるよう申告。当局はグーグルに削除を命令したが、グーグル側が命令を不服として提訴。スペインの裁判所がEU司法裁に判断を仰いだ。
EU司法裁は、検索エンジンが基本的にプライバシー保護に責任があるとしたうえで、たとえ検索表示が真実を表示していても、責任はあると述べた。
この男性の場合、滞納金を払って事件は解決しており新聞記事の内容が古くなった点を考慮。その人の現況に無関係な情報が検索結果として出る場合、関連ウェブサイトに移るリンクを削除すべきだとした。
ただ、利用者の知る権利とプライバシー保護は「公正なバランスを取るべきだ」とし、公人の場合は利用者の知る権利が優先されると判断した。