朝鮮総連:中央本部から退去へ 東京高裁、売却を支持
毎日新聞 2014年05月12日 20時42分(最終更新 05月12日 23時33分)
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)中央本部の土地・建物を巡る競売で、東京高裁(坂井満裁判長)は12日付で、高松市の不動産会社「マルナカホールディングス」への売却を許可した東京地裁決定を支持し、総連の執行抗告を棄却する決定を出した。売却が確定的になり、総連は「事実上の北朝鮮大使館」とされる同本部から退去する見通しとなった。
総連には最高裁への不服申し立て手続きが残されているが、申し立てに関わらず売却手続きは開始される。納付期限は通常1カ月以内で、マルナカが落札価格の22億1000万円を納付すれば所有権は移転する。総連が明け渡しに応じなければ、地裁の「引き渡し命令」を経て、強制的に立ち退きを求められる。
坂井裁判長は「改めて入札を実施すると3回目となり、さらに相当の期間を要する」としたうえで「今回の入札額を超える有効な入札が実現するかも定かではない」と指摘した。
昨年3月の1度目の入札で約45億円で落札した鹿児島市の宗教法人最福寺は、代金を期限までに納付できなかった。同年10月の再入札でモンゴル企業の「アバール・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー」が約50億円で落札したが、地裁は書類不備を理由に売却不許可とした。地裁は今年3月、開札をやり直して次点のマルナカへ売却許可を決定。総連側が決定を不服として高裁に執行抗告を申し立てた。
マルナカの代理人弁護士は「高裁の決定は把握していないが、総連に退去してもらう方針に変わりはない」と話した。総連は「不当極まりない決定で、決して受け入れることはできない。日本当局は、決定により生じる事態のすべての責任を負うべきだ」とのコメントを発表した。【山本将克、伊藤遥】
北朝鮮側は3月末に北京で行われた日朝外務省局長級協議で「総連の建物が売却されると日朝関係に大きな影響を与える」と懸念を表明。その後も非公式に建物を転売しないよう日本政府に求めたが、日本側は「司法の決定に行政が立ち入ることはできない」と説明している。