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腎臓障害ようやく支援 イタイイタイ病全面解決…富山
戦前から患者が報告されていたイタイイタイ病(イ病)は、公害病認定から45年を経て、ようやく全面解決に至った。
最終合意の最大の意義は、これまで行政からも企業からも、補償の対象外とされてきたカドミウムによる腎臓障害に対する支援を原因企業の三井金属鉱業が受け入れたことだ。長年の悲願を達成した関係者からは歓迎の声が上がっている。
「カドミウムによる腎機能影響が確認された人を救済するかたちとして、支援制度が創設されることになり、住民の健康管理にとって意義がある」。神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会の高木勲寛代表は、記者会見で強調した。「腎症患者の救済」は、被害者側にとって、残された最後の悲願だった。
三井金属鉱業が同協議会との合意でまとめた「神通川流域住民健康管理支援制度」は、かつてのカドミウム汚染地域に一定期間居住し、カドミウムによる一定以上の腎機能障害が確認された人に対し、1人60万円の健康管理支援一時金を同社が支払う内容。1975年以前に20年以上汚染地域に住み、尿検査の結果で腎機能低下の指標となるたんぱく質が一定の濃度以上であることなどが要件だ。支払いは2015年4月から始まる。
カドミウムによる腎臓障害である「カドミウム腎症」は、腎臓に蓄積したカドミウムにより、骨の材料になる成分などを尿のもとから血液中に再吸収する尿細管の働きが悪くなる状態。悪化すると骨軟化症を起こし、イタイイタイ病に至る。
自覚症状はなく、検査を受けなければ発症はわからないが、カドミウムによる健康への影響に詳しい能川浩二・千葉大名誉教授(環境労働衛生学)(72)は「自覚症状がなくても、知らない間に寿命が短くなるのがカドミウム腎症の最大の健康被害」と語る。能川教授らが神通川流域の住民を対象に行った研究で、1967、68年に検診を受けた住民約7000人を15年後に追跡調査したところ、腎症患者はそうでない人に比べ死亡率が1・5倍高かったという。「一番の問題は、国が骨に症状が出たほんの一部だけを公害病と認定して法的に救済し、カドミウム腎症を認めないできたこと」と指摘する。
一方、合意書調印式に立ち会った石井知事は17日、県が神通川流域のカドミウム汚染地域の住民を対象に実施してきた健康調査について、来年4月から、従来の5年の節目ごとの検診から、希望者全員が受診できるようにする方針を明らかにした。県は受診対象者を約8000人と見込んでいる。
(2013年12月18日 読売新聞)
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