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<ストーカー>2割がネット出会い 千葉県警分析

毎日新聞 6月7日(土)7時45分配信

 千葉県警が2013年に摘発したストーカーとDV(ドメスティックバイオレンス)事件471件のうち、出会いのきっかけが判明した227件を調べたところ、被害者と加害者がインターネットを通じて知り合ったケースは全体の約2割を占め、DVでは約3割に上った。ストーカーとDV事件で出会いの形態を巡る分析は初めてとみられ、ストーカー治療の専門家は「ネットは現実世界と違い自分を幾らでも良く見せられるが、自己愛が強いだけに振られたりすると全否定されたと感じ、執拗(しつよう)なストーカーとなりやすい」と特有の危険性を指摘した。

【加害者の多く「自分こそ被害者」】精神科医、「病」向き合い治療を

 それによると、LINE(ライン)やツイッターなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、ネット掲示板などを通じて知り合ったケースはストーカー事案の80件中13件▽DV事案33件中10件▽デートDV(同居していない恋人間の暴力)事案83件中13件−−だった。

 「復縁しないなら家庭を崩壊させて俺も死ぬ」

 県内に住む会社員の男(38)が別れ話を切り出した交際相手の女性(41)に、復縁を迫るメッセージをラインで連日十数件送りつけたとして強要未遂容疑で逮捕されたのは昨年8月のことだ。

 2人は2カ月前の6月に出会い系サイトで知り合った。メールや電話で連絡を取るうちに親しくなり、3回デートを重ねた。しかし「束縛が強い」と感じた女性が8月上旬に別れ話を持ち出すと、男は逆上し、ラインの連続送信に及んだ。

 県警によれば、女性は「(ネットでの出会いなどを)家族に知られたくない」と被害届の提出を当初ためらった。そのため家族にも危険が及ぶ可能性を粘り強く伝え、立件にこぎ着けたが、同様の懸念から被害届をちゅうちょしているケースは多いとみられる。

 ストーカー加害者の治療を行っている精神科医の福井裕輝さんは「ネットは知らない人でも短時間で関係性を縮められるが、メールなどで簡単に相手を拒絶できることでトラブルにもなりやすい」と指摘する。

 千葉県警が今回の分析などストーカー対策を巡る先駆的な取り組みに乗り出している背景には、2011年12月、習志野(ならしの)署がストーカー相談に来た女性の被害届の受理を先送りし、長崎県西海(さいかい)市に住んでいた家族2人が殺害されたという苦い記憶がある。

 同事件でも、容疑者の元交際相手の男と女性が知り合ったきっかけは会員制交流サイトだった。これ以降、県警では相談があった場合、家族や勤務先など周囲にも打ち明けるよう被害者対策を強化している。県警幹部は「SNSなどをきっかけにした交際は否定しないが、リスクがあることも説明し、被害の未然防止につなげたい」と話す。【林奈緒美】

 ◇ネットで知り合った相手による主なストーカー事件

<2001年4月>北海道の私立高3年の少年(18)が出会い系サイトで茨城県の主婦(28)と知り合い、卒業後に殺害。少年は「冷たくされたので殺害した」と供述

<  11年12月>千葉県の女性(23)が会員制交流サイトで知り合った元交際相手の男(27)からストーカー被害を受けた末、長崎県西海市に住む女性の母と祖母が男に殺害された

<  13年10月>東京都三鷹市で私立高校3年の女子生徒(18)が元交際相手の無職の男(21)に殺害された。2人はフェイスブックで知り合い、男は大学生とうそをついていた

<  14年2月>埼玉県の男(46)がネットで知り合った元交際相手の名古屋市の女性(37)につきまとったうえ、女性の半裸画像をネットに投稿。男は愛知県警に名誉毀損(きそん)容疑で逮捕された

 ※年齢はいずれも当時

最終更新:6月7日(土)7時45分

毎日新聞

 

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