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欧州中央銀行 一段の金融緩和を決定
6月6日 0時34分

欧州中央銀行 一段の金融緩和を決定
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ヨーロッパ中央銀行は、単一通貨ユーロの金融政策を決める定例の理事会を開き、景気を下支えするため政策金利を0.15%に引き下げるとともに主要な中央銀行として初めて、金融機関から資金を預かる際の金利をマイナスにする一段の金融緩和に踏み切ることを決めました。

ヨーロッパ中央銀行は、5日、単一通貨ユーロの金融政策を決める定例の理事会をドイツのフランクフルトの本部で開きました。
その結果、主要な政策金利を過去最低の水準になっている今の年0.25%から、0.1%引き下げて0.15%とすることを決めました。
ヨーロッパ中央銀行が金利を引き下げるのは、去年11月以来、7か月ぶりです。
また主要な中央銀行として初めて、金融機関から資金を預かる際の金利を0.1%のマイナスにすることを決めました。
この「マイナス金利」と呼ばれる政策は金融機関が中央銀行に資金を預けると実質的に手数料を取られるもので企業への貸し出しを促すねらいがあります。
さらに、ヨーロッパ中央銀行は、融資期間が4年という長期の資金供給を実施することや、国債を購入して市場に放出した資金をそのまま残すことなど、幅広い金融緩和策に踏み切ることを決めました。
ユーロ圏では、景気の低迷が続き、デフレへの懸念が一段と強まっているほか、ウクライナ情勢を巡る欧米とロシアの対立が金融市場の波乱要因になっています。
ヨーロッパ中央銀行としては、金融緩和策を強化することで景気を下支えしてユーロ圏がデフレに陥るのを未然に防ぐとともに金融市場の安定を図るねらいがあります。

効果限定的との指摘も

マイナス金利は、中央銀行が金融機関から資金を預かる際の金利をマイナスにし、実質的に手数料を取るもので金融機関が余剰資金を貸し出しに振り向けることが期待されています。
ヨーロッパ中央銀行としては、企業への貸し出しを増やすとともにユーロ高を抑制することで景気を下支えし、デフレに陥るのを未然に防ぐ狙いがあります。
しかしマイナス金利の効果は限定的だという指摘もあります。
ヨーロッパ中央銀行に資金を預けている金融機関は、ドイツなど景気が堅調な国の銀行が多く、企業への貸し出しが低迷しているイタリアやスペインなどの金融機関は中央銀行から借り入れているため貸し出しを促す効果は大きくないという見方が出ているのです。
さらに、金融機関にとっては収益が圧迫されることになるため貸出金利が引き上げられ、その結果、企業が融資を受けにくくなって貸し出しが減るおそれも指摘されています。
マイナス金利はデンマークの中央銀行がおととし7月からことし4月まで実施したほか、スウェーデンも導入していましたが、主要な中央銀行では今回のヨーロッパ中央銀行が初めてです。

ドラギ総裁「さらなる金融緩和も」

ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁は単一通貨ユーロの金融政策を決める理事会のあとの記者会見で、ユーロ圏の物価の現状について、「予想よりも低迷している」と述べました。
そのうえで「物価の現状を踏まえれば、当分の間、今の低金利を続けることになる。今回の決定は、それを裏付けるものだ。理事会は、物価の低迷が長期化するリスクに対応するため、あらゆる政策をとることで一致している」と述べ、必要であれば、量的緩和などを含むさらなる金融緩和に踏み切る用意があることを明らかにしました。

追加の緩和策にユーロ安株高

ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁が、単一通貨ユーロの金融政策を決める理事会のあとの記者会見で、追加の金融緩和策を明らかにしたことで、ロンドン外国為替市場ではユーロ安が進み、ヨーロッパの主な株式市場では、株価が値上がりしています。
5日のロンドン外国為替市場は、ヨーロッパ中央銀行が一段の金融緩和に踏み切ることを発表した後は小幅な値動きでしたが、その後、ドラギ総裁が記者会見で新たな金融緩和策を追加で発表したことを受けてユーロは円に対して一時、およそ80銭値下がりしました。
また、ヨーロッパの主な株式市場でも会見後に株価は値上がりし、日本時間の5日午後10時時点で、フランクフルト市場では0.7%前後、パリ市場では1.6%前後、ロンドン市場では0.3%前後、いずれも前日の終値を上回っています。
市場関係者は、「ヨーロッパ中央銀行の理事会のあと発表した決定内容は想定の範囲内と受け止められていたが、その後、ドラギ総裁が追加の緩和策を打ち出したことに市場は反応した」と話しています。

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