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 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門を巡り、福岡高裁(一志泰滋〈いっし・やすじ〉裁判長)は6日、開門しない場合に強制金の支払いを国に命じた佐賀地裁の間接強制決定を支持し、国の抗告を棄却した。開門期限が11日に迫る中、国が開門を求める漁業者らに1日あたり49万円を支払う可能性が高まった。

 間接強制は、判決や決定を守らせるため、「罰金」にあたる強制金の支払いを命じて圧力をかける手続き。法務省によると、国が判決を守らずに強制金を支払った事例はない。

 国が義務違反をしているのは2010年に確定した福岡高裁判決。昨年12月までの開門を命令したが、国は、長崎地裁の開門差し止めの仮処分決定などを理由に開門しなかった。

 これに対し、佐賀、長崎両県の漁業者ら49人が昨年12月に佐賀地裁に間接強制を申し立てた。佐賀地裁は4月、漁業者らの訴えを認め、2カ月後の6月11日までに開門しなければ強制金を支払うよう国に命じた。国はこれを不服として福岡高裁に抗告していた。

 この問題では、長崎地裁が4日、長崎県の農業者らの申し立てを受け、開門した場合、国に1日49万円の強制金を支払わせるとの決定を出し、国は開門してもしなくても強制金を支払わなければならない状態になっていた。