[PR]

 中国の民主化を訴えた学生らに軍が銃口を向けた天安門事件から25年の節目を迎えた4日、習近平(シーチンピン)指導部はこれまでにない強い姿勢で共産党への批判を押さえ込んだ。政権は国力の高まりに自信を深め、保守色を強めているが、政治改革の行方はまだ見えていない。

 4日、天安門広場はすべての入り口に安全検査所が設けられた。警察は訪れた全員に身分証を提示させ、特殊な端末で登録。水筒の中身までチェックした。

 「なんだこれはっ。お前、ちょっと来いっ」

 安全検査所に突然、警察官の鋭い声が響いた。

 警察官は長い列の中にいた女性に「その服を脱げ」と命令。戸惑う女性が身につけていた白いヨットパーカを引っ張った。

 パーカには「SPORT」の文字と「89」の数字が背番号のようにプリントされている。警察官は、天安門事件の起きた1989年との関連を疑っていた。

 「お父さんに天安門を見せてあげようと思って来ただけ……」。女性は、警察官にはぎ取られるようにして、パーカを脱いだ。

 女性は河北省唐山市から来た36歳。病気の父親(67)らを北京の病院に連れてきた帰りに広場に観光に来たという。家族と広場に入ることは認められたが、パーカは没収された。

 警察は外国人の旅券も念入りに調べ、出入国管理部門に照会。記者と分かると、「許可がないと取材は認めない」と追い返した。

 自動小銃をむき出しにして巡回する武装警察の姿も含め、これまでになかった徹底した警戒ぶりだ。