2012年5月12日土曜日

マタタビ栽培について まとめ

用土について:

基本的に土質をあまり選ばず、
よほど条件の悪い土でない限りよく根を張り確実に育ちます。
ただ、空気の通りの良くない土では生育が悪くなるので注意してください。

個人的には
鹿沼土:ピートモス:腐葉土:市販の用土を5:3:1:1ぐらいが良いかなと思っております。
市販の用土を入れておく理由は用土の酸性度を強くし過ぎないようにすることと、
ピートモスと腐葉土だけだと腐食が進んだ時に鉢の中の空気の通りが悪くなりやすいので、
腐食が進んだ場合でも空気の通りを確保するという事を考えてのことです。
重要なのは土自体に少し湿り気があり、
かつ水はけが良いことと土の内部に空気が通るかどうかです。

後、鉢底に石や網を敷いておくのは水はけの面から見て効果的です。
植え替えの際に少し面倒になりますが、底に敷いておくことをお勧めします。

日照:
日当たりは良いほうがよく育ちますし、成長も早いです。
夏の強い日差しにもよく耐えて繁茂するので日差しの強いところに置いても十分育ちます。
ただ鉢の場合、鉢自体が日に晒されて水分が急速に失われると
株自体がダメージを受ける可能性が高いので、
鉢自体は余り夏の強い日差しに晒されないようにしておいたほうが良いと思います。
鉢(つまり根)は湿り気を失わないように明るい日陰に置いておき、
蔓は日差しの強いところに誘導するというのが理想です。
なお、日照が極端に悪くなると葉が矮小化してしまうので、
そういう状況を見つけた時はなるべく日の当たるところに置いてあげてください。

風通し:
なるべく風通しは良くして下さい。
蔓植物で非常に繁茂しやすく、それを囲いなどで覆うことになるため
必然的に風通しは悪くなりやすいので蒸れなどを防ぐため、
剪定や誘引を行なって風が通りやすいようにすることが重要です。

水やり・肥料・マルチング

水やり:
春から夏にかけてはそれほど必要有りません。
春から梅雨の時期は割と雨が多いですし
気温もそれほど高くならないので2~3日に一度ぐらいで十分です。
水やりの目安は土の表面が乾いてきてるかどうかです。
なお、晴れが続きそうで土が乾いているときは水をやっておいてください。

夏になれば水やりは最低、一日一回確実にやっておいたほうがいいですが、
大雨が降るなどの状況が予想される場合は止めても構わないと思います。
ただ、暑さが酷い時は鉢で育てているのなら、
ひたすら水をやるより明るい日陰に避難させておくほうが効果的でしょう。
その際、水を株全体にかけてあげると株の立ち直りが早いです。

秋から冬にかけては2~3日に一度ぐらいが妥当だと思います。
雨が続く場合はもっと少なくても構いません。
夏本番と同じペースで水をやっていると根腐れする場合があるので
夏の終わり頃ぐらいから株の様子を見ながらあげる水を徐々に減らしていくのが良いです。

冬場は根腐れと凍害を避けるために水やりはなるべく控えめにしてください。
3~4日に一度あるいは株の表面の土が乾いた時に水をやるぐらいで十分だと思います。

肥料:
いろんな資料を散見していると窒素(N)分が多めの肥料が効果があるとのことです。
冬から春にかけて窒素分が多い遅効性の元肥をやっておき、
春から夏にかけて窒素分が多い即効性の液肥を育ち方を見ながら
月に一回ぐらい施肥しておく。
あまりやり過ぎないように肥料の量は控えめにしておくこと。

マルチング:
腐葉土によるマルチングを行なっておくと
乾燥の抑制と腐葉土の分解による肥料としての効果があります。
ただ、マルチングのためとはいえあまり腐葉土を大量にかけておくと、
腐葉土の腐食が進んだ場合に株が窒息する原因になるので
やり過ぎないように注意してください。
その為、あまり分厚くは敷かずに根元を中心とした表面を
くまなく覆って水分の蒸発を防ぐようにするのが良いです。

夏場は特に乾燥の抑制に効果があるのでやっておくと
水やりなどを過度にやらずに済むのが有り難いです。
冬場においても寒さからの根の保護と春の時期に必要な肥料として
マルチングしておくと良いでしょう。
春に備えて肥料を腐葉土を混ぜてマルチングしておくなどというのもひとつの手です。

マルチングの資材としては
腐葉土、藁、バーグなどが使えます。

備考:
腐葉土は腐りやすくなくなりやすいです。
藁は割と長持ちしますが、嵩張ってちょっと扱いにくいです。
バーグは非常に長持ちするので重宝しますがちょっとお高めです。

手入れ:

蔓の仕立て:
基本的にあまり手入れの必要がないというのがマタタビの特徴といえるのですが、
蔓の伸び具合だけには注意が必要です。
芽が出て蔓が伸び始めると成長が非常に早いのと蔓が若干硬く自立性が強いので
アサガオなどに用いる行灯仕立てのような誘引方法というのは少々難しいと思います。
むしろ、誘引して棚を作ったりするほうが効果的に育てられるのではないかと考えられます。

植え替え:
根の伸びが非常に早いので1~2年に一回は植え替えをする必要があります。
鉢はなるべく大きめのものを用意しておくと無難です。

剪定:
秋になり葉が落ちてから剪定するのが良いように思われます。
葉が落ちると蔓の枯れない部分は赤くなるが、枯れてしまう部分は茶色くなります。
まず、茶色くなった部分のみを剪定して、
次に翌年の生育に邪魔になりそうな枝を落としていくのが良いでしょう。

春先に剪定をする場合は切った所が塞がるのに時間が掛かりますから、
(塞がるまで切った所から水が垂れ続ける)ので癒合剤で塞いでおいた方が良いです。
また、梅雨の時期の前に蔓が込み入った部分を整理しておくと蒸れの防止になります。

なお猫に齧られることも考慮して強い剪定はなるべく避け、
伸びすぎたと思える部分や込み入ってしまった部分、
猫に齧られて折れてしまった枝を取り除くことぐらいで済ませることで
剪定による生育へのダメージは最小限に避けられるのではないかと思います。

また剪定に関しての参考として:
蔓は先端の芽が切られると
切られた部分の下の葉の付け根部分から新しい芽が出てきます。
出てくる数は通常、付け根部分ごとに一つで
上から3~4つ目ぐらいまでの付け根部分から新たに芽が出てきます。
芽が新たに出てくるまでの期間は一週間ぐらい(早いと5日ぐらい)になります。

猫対策:
猫による食害は一年を通して常にあると思ってください。
その為、カゴや網による囲いは必須です
(日照や風通しに影響が出にくいものがベターです)。

また、カゴや網で囲っていても隙間ができていると
そこを通って内部に侵入されることがあるので、
隙ができないように厳重に囲いを作っておかないと駄目です。

囲いからはみ出てしまった枝や葉は齧られることが多いので、
害を避けるのであればなるべく内部に押し込んでおいた方が無難です。
あと、猫は夜間(深夜が多い)にマタタビを齧りにくることが多いので、
夕方に猫の接近を防ぐ何らかの対策をしておくと効果的に防げることが多いです。

挿し木

挿し木の方法:
時期は3月後半から6月の前半まで可能ですが、
3月頃、葉が開く前に採取し挿し木するの良いです。

若い枝(少し太めの成長の良い物)を採取し、
3~4個の芽が付いた状態(15cmぐらい)にします。
挿し木用の土は鹿沼土9、砂1から3ぐらいを混合した物が良いとのこと。
なお、挿し木用の土は空気の通りが良くて根が張れるものなら
他のものでも代用可能との事です。

3週間前後で発根します。
なお、高温と乾燥は避けて、土の乾燥が進んだ場合のみ灌水してください。

また水差しも可能で枝を採取して発根したものを用土に植えつけると
かなり高い確率で生育します。
更に発根率はかなり落ちるようですが
8月後半から9月後半までの時期に猫に食害されて残った枝などを
用土に挿しておくと根が付く場合があります。
冬越しに関しては割と低温にも耐えるので
日の当たる場所に置いてあげれば結構高い確率で生き残ります。

どうやらマタタビの挿し木のコツは高温と乾燥は避け、
ある程度の湿度を保ちつつ若干暗めのところに用土に刺した苗を置いておき、
発根を確認したら水やりをしつつ明るい日陰に置いてやるのが良いようです
(くれぐれもネコ対策はしっかりやっておいて下さい)。

虫について

マタタビを育てていると解ることですが、色んな虫が寄り付いてきます。
その多くはマタタビには害が無いもののようなので基本的に気にすることはないです。
また、マタタビミタマバエのような虫も居ますので、
農薬などはなるべく使わないようにするのが良いと思います。

特にマタタビタマバエ等のタマバエ科の昆虫が株に寄り付くようになると、
木天蓼が収穫できる可能性が出てきます。
苗について

マタタビの苗は育てているものか
野山に生えている枝を切り取って挿し木するというのでない限り、
基本的に何処かで買うことになるはずです(因みに林業関係では害木扱いだそうな)。
市街や郊外で自然に生えているものから入手しようと試みても、
市街地で生えてるマタタビというのはまず見かけることは無いと思います。
おそらくは猫による食害から逃れて自然状態で育つのが非常に難しい為と思われます。

そしてマタタビの苗について注意すべき点はマタタビ属の近縁種の存在です。
近縁種で購入に際し比較的よく見かけるのは
ミヤママタタビサルナシキウイフルーツ(亜種含む)です。
特にマタタビとミヤママタタビ、サルナシは外見が若干似ているため
ホームセンター等で見かけた際には購入に際しては注意して品種を確認して下さい。
また品種の見分け方に関しては参考資料のリンクを参照してもらえると有難いです。
特にコレコレは参考になるはずです。

ミヤママタタビはマタタビ科マタタビ属の雌雄異株の近縁種で
花期には枝の先につく葉の表面の上半分以上、時に表面のほとんどが白化し、
花が終わる頃には紫紅色を帯びるのが特徴です。
またミヤママタタビはマタタビとは違い、猫類が反応することはないです。

サルナシもまたマタタビと似ているのですが、マタタビ程は繁茂する力は強くなく
また実が美味しいことから昔から食用にされてきたものです。
実はマタタビと比べて若干小さめのものができます。
マタタビと同じく猫の食害を受けるので注意して下さい。

キウイフルーツはホームセンターでも頻繁に見かけるシロモノで
比較的入手しやすいものです。
猫害を受けることもあることからネコ対策は必要なのかもしれません。
実はマタタビ科の他の種と比べても比較にならないくらい大きく、
甘く熟せば非常に美味しくいただくことができます(甘くなってきたら鳥害に注意)。
早めに収穫して追熟させると良いのかもしれない・・・
栽培は比較的簡単なので植え付けする地域の気候が温暖で土地が比較的広くあり、
肥料と手入れをしっかりやれるなら問題なく植え付けして育てられると思います。
ただ、実が欲しい場合には雌雄異株であることを考慮して雌株
(出来れば雌雄両株)を入手して植えてみたいものです。

苗の植え付けはそれほど手間はかかりません。
適期は3月中旬から8月下旬ぐらいまでで土さえ合えば
後は明るい場所(真夏の場合は明るい日陰)で
根が張るのをゆっくり見守ってやるだけです。
一週間(遅くとも10日)ぐらいで根がきっちり張っているのはずなので
そのまま日当たりがよくちょっと湿気のある場所で育ててやって下さい。

備考:
冬場の管理は「マタタビの育て方2 冬場の管理」のページを参照してもらえると
分かりやすいかと思います。

参考資料:(リンク切れ御免)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%BF%E3%82%BF%E3%83%93
(マタタビに関するwiki)
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070109/seika/h19/1931.pdf
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/070109/bulletin/10/10_kenhou_10.pdf
http://www.ag.kagawa-u.ac.jp/kataoka%20labo/ik.actinidia_research.html
http://www.fri.hro.or.jp/kanko/kiho/pdf/kiho93-5.pdf

後書き:
マタタビ栽培もようやく三年目。
僅かながら育て方のコツもわかってきたようなのでここに備忘録として記録しておきます。
ただ、ここの記述はあくまで個人的な観察と情報収集の結果を元にしたものです。
ですから、記述を無闇に鵜呑みにせずに育てている場所の様々な状況を十分に考慮し
育てている株を丁寧に観察して植物の状況に合わせた施策を行なうことが重要です。

後書き2:
今年で五年目になりますが中々花が咲いてくれません。
木が成熟しないと咲かないのは分かっているのですが、
今までの所は花が咲く気配が全くと言っていいほどなかったので。
木が成熟して花実をつけるようになるまでには普通の果樹と違い、
結構な時間が掛かるのだと感じています。

閑話休題

栽培方法に関して書いてみたがなかなか書きれない。
一応、必要なことはひと通り書いてみたがもう少し内容を増やしたほうがいいかもしれない。
にしても野良猫が囲いから出たとこ全部齧っていくのには参った・・・