[PR]

 北海道函館市の産婦人科医院で2011年に実施した羊水検査で、胎児がダウン症との判定が出たのに院長が逆の説明をしたために「中絶を選ぶ機会を奪われた」などとして、両親が院長らに損害賠償を求めた訴訟の判決が5日、函館地裁であった。鈴木尚久裁判長は請求通り計約1千万円の支払いを命じた。

 母親は検査の5カ月後に男児を出産。男児は生後3カ月でダウン症の合併症で死亡した。鈴木裁判長は「正確に告げていれば中絶を選択するか、中絶しない場合は心の準備ができた」とした上で、男児が苦しんで亡くなる姿を目の当たりにしたなどとし、精神的苦痛は大きかったと認めた。

 一方、誤った告知と、男児の出生や死亡との因果関係は認めなかった。

 両親は「患者や家族に『心より添う医療』へつながることを願っている」とのコメントを出した。医院側は「まだ判決を受け取っていない」と話した。