宮崎夏次系をナメているすべての人たちへ
posted by Book News 編集:ナガタ / Category: 新刊情報 / Tags: マンガ,
今回は、『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない
』をご紹介します。
本作の著者は『変身のニュース
』、『僕は問題ありません
』で多くの読者に衝撃を与えた宮崎夏次系。すっとぼけた筆致と素っ頓狂な設定で、主に誰かの死や不在、それを取り巻く人々の日常がこうむるささやかな衝撃を描いています。。設定が非現実的ではあるものの、死や不在は揺るがぬ現実であり、読者はそのギャップを楽しみつつ、その開きを埋める作者の力量に舌を巻くことになるでしょう。ここ最近もっともオススメしたいお気に入りの作家さんです。


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本作の著者は『変身のニュース
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私事ですが、僕は先日、とても仲の良かった友人を喪いました。ずっと死にたいと言っていた彼が亡くなったことは、彼にとっては幸せなことだったのかも知れませんが、遺された身としてはとにかく寂しく、何を見ても彼のことを思い出し、ああ彼が生きていたらどう思うだろう、とか、もっと色んなことを教えて欲しかったな、と考えてしまうんです。
ところで今回ご紹介しているこの『夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない』という短篇集は、様々なタイプの「身近な人」の死や不在を描き、遺された人の生活がどのような変化を蒙るのかを描いた作品が多く収録されています。そこには、人の死に直面する衝撃、その衝撃の後に訪れる避けがたい「寂しさ」、遺された人独特の「やましさ」が、どうしてここまで色んなパターンを…?と思えるほど多彩に描かれています。
しかし無論、大事なのは多彩さではありません。たいていの場合、衝撃や寂しさややましさのあとに、何かしらの救済がもたらされるのです。救済というと大袈裟かも知れません。読者を重苦しさから解き放つというか、あっけなく軽やかな許しのような仕掛けがあって、それが読んでいてとても気持ちがいいんです。
ちょっと(どころではなく)何かが壊れてしまっているような世界や人物の描き方が採用されているのですが、重力や空間がゆがんでいるからこそ、どこかむちゃくちゃな救済や解放がリアリティを持って感じられるのでしょう。この歪み方とリアリティのバランスが非常に絶妙なので、未読の方にはぜひ一度手にとってみてほしいと思います。
※関連動画
上掲の動画を再生しながら、こちらで試し読みを是非。
(あの、ウケ狙いとかじゃないです)
夢から覚めたあの子とはきっと上手く喋れない / 宮崎 夏次系 - モーニング公式サイト - モアイ
http://morning.moae.jp/lineup/317
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