姉さんの純潔はオレが守る!!@
こうして少年は、自分の意思に関係なく人造人間17・7号としての人生を歩きはじめた。
それからしばらく……人造人間17・7号にとっては、屈辱的な毎日が続いた。
そんなある日……17・7号は、いつもとは違う研究所内の雰囲気を感じた。
ドクター・エロの不在……それも、いつもの月一の買い出しではなく、長期間不在だった。三日前……ドクター・エロが隣の研究室で、誰かと会話をしているのを17・7号は聞いていた。
その時を境にドクター・エロの姿は、研究所から消えた。
コレクターケースのような場所に命じられて、直立姿勢で入っていた裸の人造人間17・7号は「今が脱出するチャン〜ス!! ウニの居ぬ間に!!」と、ケースから抜け出すと、弄ばれていた日頃の恨みから、研究所をメチャクチャに破壊して脱出した……その時、17・7号はドクター・エロが採取したり、知人のタコ軍医から譲ってもらい保管してあった。裸族人類や裸女の遺伝子サンプルケースを脱出のついでに持ち出して。
研究所を出て裸で砂漠まで出てきた17・7号は、岩の上に座っている裸の女性に会った。
その女性の顔を見た17・7号は、驚きの声を発する。
「姉さん? キャスバル姉さんじゃないか!? どうして、こんな場所に? しかも裸で?」
それは、家族の中で唯一、17・7号がモトクロスレーサーになる夢を、応援してくれていた実の姉だった。
17・7号の姉が言った。
「久しぶり……元気そうね、人造人間の体にはもう慣れた? 17・7号」
「どうして姉さんが、人造人間のコトを、17・7号って……まさか、姉さんまで人造人間に」
「そうなのよ……あたしは人造人間、18・5号……ちょっとした手違いから、ドクター・エロさまから、生体改造していただき。ビッチな人造人間に変えられたの……通路を隔てた、向かい側の部屋で改造されていたんだけれど17・7号は気づいていなかったみたいね……だけど困ったわ、こんな人造人間のあたしでも結婚できるかしら。生殖能力は残っているみたいだけれど」
「姉さん、ビッチって意味知って使っている? 弟なんだから17・7号じゃなくて名前で呼んでよ……18・5号も、あれっ? 名前の記憶が?」
必死に思い出そうとしている17・7号の頭の中から、姉の名前に関する部分だけが消去していた。
岩の上から飛び下りてきた、18・5号が微笑む。
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