第漆界【兼愛期】@
ウニ型宇宙人……ドクター・エロの研究所で突如、爆発が起こった。
爆煙が漂う瓦礫の山の中から、全裸の若い男性型人造人間17・7号が立ち上がってくる。
「これ以上……ウニのマッド・サイエンティストに体を、オモチャにされてたまるか!!」
人造人間17・7号は三本のぺニスを別々にピクッピクッと動かしながら手に持った、銀色に輝く金属製のタブレットケースを握り締めた。
ドクター・エロの研究施設、爆発事件から数週間後……六角形が構造物基本のレプリカ地球『ヘキサゴン』〔別称・惑星ヌード・MKーU〕
そのヘキサゴンのライブハウスで、裸でエレキギターを掻き鳴らす……裸族人類、奈美の姿があった。
奈美の独奏が終了すると、ライブハウス内にいる裸の男女たちから、奈美の演奏を賛美する、盛大な拍手が沸き起こる。
ステージの裏では、奈美と同じ裸族人類でタマが六個ある飛鳥が裸で出迎えてくれた。
「いい演奏だったぞ……また、腕を上げたな」
「ありがとう……ヴァンド・レッドは解散しちゃったけれど……ファンが継続してついてきてくれるのは、嬉しいよね」
奈美と飛鳥がメインのヴァンド・レッド〔註・このレプリカ地球では、音楽バンドは“ヴァンド”と表現している。ちなみに乗り物はすべて“ヘビーメタル”と呼ばれている〕は、奈美と飛鳥が裸族人類として、メンバーの前に全裸で現れた即日、奈美と飛鳥を除く、メンバー全員から脱退を言い渡された。
「ふざけるな!! 裸でライブハウスのステージに立てるか!! オレたちは変態バンドじゃない!!」
しかたなく、二人だけで音楽活動を続けていた奈美と飛鳥に、助力してくれたのは同じ裸族人類の美鳥と聖樹だった。
美鳥と聖樹は、街中で奈美と飛鳥のライブ開催の告知ビラを堂々と、全裸で通行人に配って宣伝してくれた。
もっとも、美鳥と聖樹は紫音やミリータから特別に教えてもらった“三次元着衣投射能力”で、裸体でありながら着衣をしているように擬態して……通行人にビラを手渡していたので、通行人の潜在意識には裸の男女のビジョンが刻み込まれ。
奈美と飛鳥のライブを訪れた客は、自然と脱衣して、全裸になってしまうのが定番になりつつあった。
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