日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


  1. 野球
  2. ニュース

野球ニュースのRSS

渡辺会長、法廷で清武氏赤っ恥メール公開

証人尋問を終え車内でパイプをくわえながら地裁を出る巨人渡辺球団会長
証人尋問を終え車内でパイプをくわえながら地裁を出る巨人渡辺球団会長

 元巨人球団代表兼GMの清武英利氏(63)の解任を巡る訴訟で、同氏と、渡辺恒雄球団会長(88)の証人尋問が5日、東京地裁で行われた。2011年11月11日、清武氏は会見を開き、コーチ人事に関する渡辺会長の発言などを公表。巨人側は、清武氏が会見でOBの江川卓氏(59)の入閣案などを暴露し、損害を与えたと主張。同氏もその後に、解任されたことは不当と争っている。かつての上司と部下だった双方は、6時間に及ぶ法廷内で、コーチ人事の解釈などで激しく持論を展開した。

 東京地裁706号法廷の証言台に、渡辺会長、清武氏、桃井社長が並んで立った。午前10時12分。3人が同時に大きな声で宣誓した。真ん中は、5月30日に88歳となったボスだった。

 黒いスーツで凜(りん)としていた。ほとんど動かず桃井社長の尋問を聞いた。11時25分、渡辺会長の主尋問が始まった。お茶をグッと飲んだ。愛用のつえは使用の勧めを手で制した。堂々と証言台に腰掛けた。

 2011年11月11日。清武氏があの会見を行った朝だった。両氏は電話で話し合い、解決の道を探した。40分間の会話内容を、清武氏は録音していた。本件とは別の、動産引渡請求事件に関する調べの中で、音声ファイルの存在が明らかになった。出元はシンガポール。現在は結婚している女性のパソコンからだった。

 渡辺会長 彼が、意図的に、電話の内容を録音していた。“隠しどり”していた。猫なで声で「ありがとうございます」と、2回、言っている。引っ掛け、二重人格でないか、という疑いを持たざるを得ない。

 ファイルには「どうせオレはクビになるんだから。はい、どうぞ、いきましょう」「とれたでしょう、どうだ!」と軽口をたたく清武氏の声も残っていた。

 休廷を挟んだ反対尋問は熱を帯びた。清武氏側の吉峯弁護士が「コーチ人事について、事前の承認は必要なのか」と粘り強く問うた。指をさし論じる渡辺会長。吉峯弁護士が「指をさすな!」と制し、裁判官は「冷静に」となだめた。人事については「その時、その時の戦況など、総合的に勘案し決める」とし、チームの根幹に関わる「重要事項」として取り扱うことがあると、冷静に着地した。

 清武氏は上着を脱ぎ、半そでで尋問に臨んだ。

 巨人側は次々とカードを切った。11年11月7日。桃井社長と清武氏が球団の社長室で行った会話も、清武氏は録音していたと明かした。「CSは短期決戦。用兵などで、僕の責任が問われるのは」「僕自身も、人生の岐路なんで」。矢継ぎ早に並べられ「言いましたか」と問われた。「一部だけ切り取られても」と怒るも、冷徹に質問が続いた。

 女性に宛てたメールや音声データもあらわになった。「これが声明文。まあ、オレのけんかを見ていてくれ」「会見見た? ファンの皆さん、のところで泣いた。うまいだろ?」…。この日一番の声で清武氏は言った。「断片的な話。全体の趣旨は違うでしょ! フィアンセですから。ざっくばらんに」。渡辺会長は深々と座り、メモを取りながらやりとりを見ていた。

 閉廷は午後5時13分。9月18日に結審の予定で、年内に判決が出る見通し。司法の判断は。【宮下敬至】

 ◆清武解任訴訟 11年11月11日に清武氏は会見で「渡辺会長が確定していたコーチ人事を鶴の一声で覆した」などと声明を出し、江川氏のヘッドコーチ招聘(しょうへい)案など内幕を明かした。巨人はコンプライアンスを順守していないかのような虚偽の事実を公表して名誉を毀損(きそん)され、重要機密情報を暴露して損害を与えられたとして、同氏に総額約1億円の損害賠償を求めて提訴した。解任された清武氏も不当な解任だとして約6000万円の損害賠償などを求めて巨人側を反訴した。

 [2014年6月6日7時13分 紙面から]

PR情報






日刊スポーツ購読申し込み