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白鵬が「一夜明け会見」拒否
その理由を口にできないワケ

大横綱でも心乱れるときもある!? Photo:Kyodo

 やはり語らなかった。

 大相撲夏場所で29回目の優勝を果たして約1週間後の5月30日、名誉観光大使を務める北海道滝川市を訪れた横綱・白鵬(29)。千秋楽翌日の一夜明け会見を拒否した件に関して「前の日に(やらないと)言ったじゃん」とだけ語り、理由を問われても「それは」と言葉を濁した。

 相撲記者が振り返る。

「千秋楽で日馬富士を破って優勝が決まったあと、一夜明け会見のお願いをすると、関係者は『やります』と言っていた。しかし深夜12時頃、関係者が『どうしても嫌なようです。申し訳ありません』と断ってきたのです」

 一夜明け会見は相撲協会の決め事ではないが、白鵬はこれまでの28回の優勝では全て応じてきた。なぜ今回だけ拒否したのだろうか。

 スポーツ紙デスクは「千秋楽の朝、まだ本人が明かしていなかった夫人の第4子懐妊を一部で報道されたことで機嫌を損ねたとか、放駒前理事長の通夜を欠席したことで色々言われたから、という話もある」と解説する。

 一方、「理由を『言わない』のではなく、『言えない』のではないでしょうか」と語るのはベテラン相撲記者だ。

「昨年の九州場所で稀勢の里が白鵬に勝ったとき、万歳コールが起きました。また、今回の夏場所の千秋楽では白鵬が日馬富士と対戦する直前、手拍子と共に日馬富士コールが起きた。日馬富士が勝つと白鵬と稀勢の里が2敗で並んで優勝決定戦になるからです。どちらも、日本人に勝って欲しいというファンの気持ちの表れですが、白鵬に対して、あまりに失礼。だけど、それを横綱として白鵬が口にすることはできない」

 元NHKアナウンサーで相撲ジャーナリストの杉山邦博さんもこう語る。

「九州場所のシーンは大相撲を現場で61年間見続けてきた私でも見たことのない、失礼千万な光景でした。日本人以上の日本人と言われる白鵬からすれば心穏やかではなかったでしょう。今回の日馬富士コールも、日本人横綱が10年以上いない現状でのファン心理を思えば分からないではないのですが、大合唱のようになって常軌を逸していた。私は白鵬に同情しましたよ。相撲ファン全体が反省しないといけません」

 横綱も人の子ということか。

「週刊文春」編集部

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2014年6月12日号
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2014年6月5日 発売 / 定価400円(税込)
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