サンパウロ=岩田誠司、中野寛
2014年6月6日05時29分
サッカー・ワールドカップ(W杯)は、開幕まで1週間に迫った。だが、開催国ブラジルではデモやストライキが続き、交通の乱れや治安への不安もぬぐい切れない。サッカー王国での64年ぶりの祭典なのに盛り上がりを欠くのは、なぜなのか。街を歩いた。
開幕戦の舞台、サンパウロのスタジアムを望むイタケラ地区。4年前の南アフリカ大会の際は開幕1カ月以上前から壁や路上にイラストが描かれ、国旗が路地ごとに飾られた。だが今はほとんどない。近くの修理工ファビオ・アルメイダさん(34)は「地元開催なのに皮肉だね」と話す。
サンパウロのスタジアム北側の仮設観客席では溶接作業が続く。日本戦のあるナタルやクイアバを含む4会場では、座席設置などが終わっていない。開催12都市のうち11都市で空港が改修工事中だ。
W杯への巨額投資を批判する市民や、住宅を求めるホームレスらのデモは絶えない。賃上げを求めるストでバスや地下鉄がしばしば止まる。ある労組幹部は「国も会社も世界の注目が集まるW杯で恥をかくわけにいかない。待遇改善を引き出すチャンスだ」。
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!