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 市民団体「広島文学資料保全の会」が5日に広島市で記者会見し、原爆詩人・峠三吉(1917~53)と作家・原民喜(1905~51)、詩人・栗原貞子(1913~2005)の文学資料について国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産への登録をめざすと発表した。

 保全の会によると、文学資料は峠の「にんげんをかえせ」の序文で知られている「原爆詩集」の直筆最終草稿▽原が被爆した当日の様子を記したメモが残る手帳▽栗原の詩「生ましめんかな」などを書き記したノート――の計3点。

 峠の資料は保全の会、原の手帳は親族、栗原のノートは広島市内の大学に保管されているが、保全の会の池田正彦事務局長(67)は「来年で被爆70年。民間で維持・保管を続けるのは難しくなっている」としている。

 世界記憶遺産はユネスコが1992年に始めた。ゲーテの直筆作品や、炭鉱記録画家・山本作兵衛(1892~1984)の炭鉱記録画など計301件が登録されている。2年に1度のペースで審査があり、国のほかに自治体や団体も申請できる。今年の審査分は締め切られており、保全の会は「2016年の審査の申請をめざす」としている。(中崎太郎)