楽天−広島 9回裏1死一、二塁、左翼にサヨナラ3ランを放ったジョーンズは嶋(左)に迎えられハイタッチ=コボスタ宮城で
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◇楽天3−0広島
楽天がサヨナラ勝ち。0−0の9回1死一、二塁でジョーンズが14号3ランを放ち決着をつけた。美馬は7イニング無失点と好投し斎藤、福山とつなぎ零封した。広島は大瀬良が6イニング無失点と踏ん張ったが、最後は3番手の永川勝がつかまった。
◇
打球の行方を見届け、悠然と歩き出す。両軍無得点の9回。楽天・ジョーンズの劇弾がファンの待つ左翼席に飛び込んだ。主砲が今季2度目のサヨナラ弾だ。次の瞬間、星野監督の回復を祈る「闘将応援ボード」が観客席を埋め尽くした。
メジャー通算434本塁打の意地と誇りがバットに乗り移った。直前の1死二塁で岡島が敬遠された。「自分は併殺打が多い。相手はゴロを打たせることを狙った賭けに出たんだろう。そして、それが正解ではなかったと思い知らせることができた」
黄金期のブレーブスでの経験が生きた。3番にチッパー、4番にAJの“ダブル・ジョーンズ”が打線の看板だった。メジャー史に名を刻む両打ちの強打者を避け、若いAJで勝負をかけられる場面は「数え切れないほどあった」。熱くなりすぎず、冷静に失投を待つ。そのスタイルは体に染み付いていた。
この日は、今季4度目の満員札止めとなる2万3123人がコボスタ宮城に詰め掛けた。試合前には来場者全員に配布された「77」のボードが掲げられ、難病と闘う指揮官の現場復帰を願うセレモニーが行われた。
「星野監督が今、われわれに求めているのは、安定した良い戦いを続けることだと思う」。ジョーンズが神妙な表情で言葉を絞り出す。昨年の来日以来「ボス」と慕ってきた闘将の危機。白星を贈り続けることが、最高の良薬になる。 (井上学)
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