2014/06/05
シニアマーケティング的サバイバル術!!―25%が高齢者という「日本市場」で生き残るには―
こんにちは、はじめまして!
私はフィードフォースで内定者インターンをしている吉岡(ぴょんきち)です。来春から実際に働くので、代々続くこの由緒正しきブログ(!)の更新をしながら自分自身のレベルアップにつなげて生きたいと思います!!
これからよろしくお願いいたします。
さて、今回の記事ですが、今後の日本の消費の中心になるであろうシニア層に焦点を当てて、「シニアマーケティング」をテーマにいたしました。
昨今の日本の社会問題のひとつとして少子高齢化社会があります。総務省は、2013年9月15日時点の推計人口で、65歳以上の人口は3186万人に達したと発表しました。なんと、この数値は日本の人口の25%という非常に高い割合なんです。
パーセントで言うとあまり実感がわかないですね。つまり、4人に1人が高齢者ということです。
これまでも少子高齢化は、年金や社会保障費などの問題を引き起こしてきました。そして団塊の世代の人々が次々に定年を迎えている今、日本の経済市場は大きく変化していくことが予想されます。
今までは、シニア層に焦点をあててこなかった方も、今後の消費の中心となるシニア層に焦点を当てざるを得ない状況になります。
どうすれば、消費者が高齢化した日本市場を生き延びることができるのか、そのキーワードをこれまでの失敗例と成功例を交えて紹介していきます。
時間に余裕のあるシニア層のタンス預金を呼び起こせ
総務省の調査によると、65歳以上のシニア層は基本的にほかの年代の人よりも余暇時間が多いことがわかります。
さらに、年金や定年までに稼いだお金があるので、ほかの年代の人よりも貯蓄が多い傾向にあります。
しかし、彼らはその多くを銀行に預けるわけではなく、いつでも使えるように家にストックしています。そのタンス預金は、2008年に発表した「日銀レビュー」で、推計で30兆円まで増加しているといいます。では、そういったお金と時間に余裕のあるシニア層の眠れるタンス預金をどのようにすれば使ってもらえるのでしょうか。
「コト消費」から「モノ消費」を作り出せ
「コト消費」、「モノ消費」という言葉をご存知でしょうか。「コト消費」は時間を買うことで、「モノ消費」は形のある商品を買うことです。少し詳しく言うと、「コト消費」とは、消費活動において、サービスや自らが体験する時間、価値に重きを置く消費概念であり、「モノ消費」とは、消費活動の目的として、商品を所有する消費概念です。
時代は「モノ消費」から「コト消費」へ
今までは「モノ消費」に重点を置きがちな世の中でした。戦後の大量生産・大量消費時代が物語っています。一方で、少し古いですが2009年の高齢者の日常生活に関する意識調査によると、彼らは買い物のような「モノ消費」の活動よりも旅行や家族団らん、孫と遊ぶといった「コト消費」の活動を好む傾向にあります。
シニア層にこれからのビジネスの焦点を当てるならば間違いなく「コト消費」のことを考えなければなりません。そして、「コト消費」を「モノ消費」につなげていくことが大切です。そんな「コト消費」には二つの型があります。
回遊型と定住型
回遊型
時間消費をする際にさまざまな場を回遊することによって、「モノ消費」を誘発させます。ウィンドウショッピングを想像していただければわかりやすいかと思います。まったく商品を買うつもりがなかったのにぶらぶらとしているうちにいつの間にか商品を買ってしまったという経験は誰しもがあることと思います。
定住型
読んで字のごとく、ある特定の場所に居座ってその場所だけで時間を使うことです。時間を使うだけでそれ以上は何も生み出しません。
それぞれの事例については後述しますが、回遊型の「コト消費」の方が、「モノ消費」を誘発させるので良いとされています。
定住型の「コト消費」はただの時間の浪費だ
まずは、定住型の「コト消費」についての失敗例を用いて紹介します。
これまで、日本においてさまざまな企業が老後の交流の場として、カフェを設置してきました。
それはカフェというスペースがほかの人たちを結びつけるというイメージがあるためです。しかし、それは広いスペースや、多くのスタッフが必要になってくるうえ、1杯のコーヒーで長い時間居座ることができてしまうので、収益効率が非常に悪いものでした。たしかに利用者としては、いつもとは違う空間で、気の会う仲間たちと好きな話ができるとあって非常に刺激的なことでしょう。しかし、企業もボランティアでビジネスをしているわけではありません。収益を上げることができなければそれはビジネスとしては失敗なのです。
シニア層が求めている「コト消費」を収益性の高い「モノ消費」につなげることができていない典型的な失敗例です。
なぜ青春18きっぷはシニア層に人気なのか
では次に、回遊型の「コト消費」の事例を紹介します。
回遊型の「コト消費」をうまく「モノ消費」につなげた成功事例が青春18きっぷです。
青春18きっぷとは、学生の長期休みに合わせて発売されるJRの普通電車乗り放題の切符のことです。学生の長期休みに合わせて発売されるのに加え、18きっぷという名称から、学生でないと購入できないとではと思っている方もいるかもしれませんが、実は年齢制限はありません。
さらに言うと現在シニア層の中で非常に人気が出ています。『60歳からの青春18きっぷ』(新潮社)なるものも発売されていたり、金券ショップで高値で取引されているほどです。さらに、JR東日本が展開している50歳以上のシニア層を会員とする「大人の休日倶楽部」では、会員数が2013年末頃に160万人を超える見込みを発表していました。多くのシニア層が旅行を好んでいることがわかります。
レジャー白書2012によると、余暇活動の目的がより多様なものになっていることが指摘されています。
しかし、旅行というレジャー活動はその多くの余暇活動の目的を果たせるものとして非常に注目されています。
シニア層は時間とお金に比較的余裕があるため、一気に目的を果たせる旅行を好み、旅行先でも多くの「モノ消費」を生み出してくれます。このように回遊型の「コト消費」には多くのほかの「モノ消費」を誘発させる効果があるのです。青春18きっぷはまさにその回遊型の「コト消費」を生み出しているのです。
最近増えているスマートシニアとは
シニアマーケティングを考えるにあたって「コト消費」「モノ消費」以外のキーワードをあげるとしたら、「スマートシニア」でしょう。スマートシニア達はインターネットを自由に使いこなし、自分のほしい情報を手に入れることができたり、中には自らの情報発信を楽しむ人もいます。図で見てもわかるように、シニア層のインターネット普及率は拡大傾向にあります。
そんなスマートシニア達を夢中にさせるサービスがあります。それが「みんなのデジブック広場」です。
「みんなのデジブック広場」とは、株式会社ルクレが運営するデジカメ作品交歓サイトです。自分で撮影した写真をサイトにアップロードすることによってデジタルアルバムを作成し、全世界に簡単に公開することができます。実際に製本したり、DVDを作成したりすることもでき、記念品や贈り物としても重宝されています。
そんな「みんなのデジブック広場」の会員の年代分布を見るとシニア層に人気があることがわかります。
なぜ、こんなにもシニアユーザーに愛されるのでしょうか。写真を撮るという行為そのものは、「モノ消費」ではなく「コト消費」であるといえます。しかもそこにはほとんど費用が発生しません。
しかし、インターネットを介することによって今までよりも気軽に製本やDVD作成が可能になりました。
スマートシニアはいち早くそれに注目し、夢中になったのです。今まで写真を撮るというだけだった行為に価値が与えられました。
このように収益性のないように思える「コト消費」も「モノ消費」に落とし込むだけでビジネスチャンスが広がるのです。しかもインターネットを介せばそれが簡単に実現できてしまいます。
社会問題はビジネスチャンスだ!
繰り返しになりますが、伝えたかったことは、
- 「コト消費」から「モノ消費」へとつなげる仕組みづくりが大切
- それはインターネットを用いることで意外と簡単にできる
- インターネットを使えるナウい(!)シニア層も多い
ということです。
特に、スマートシニアなんかは見落としがちになってしまうのではないでしょうか。
これからの高齢化市場は健康産業だ!福祉産業だ!ということをよく聞きます。もちろんそれも間違いではありませんが、今のシニア層は僕たちが思うよりずっとスマートだと思います。僕たちがシニア層になるときはもっとスマートでしょう(ユビキタス的にという意味です)。生き残るためには普通とは違った視点からのアプローチが効果的です。
ともかく、今後の消費の中心はシニア層となることはまず間違いないでしょう。
どのようにしてそのシニア層の心をつかむかということを考えることが欠かせなくなります。
私たちは嫌でも年をとっていきます。
自分たちがシニア層の一員となったときに、どのような世の中だと住みやすいか、便利になるか、ということを妄想することも新たなビジネスチャンスにつながりそうですよね。
参考サイト
- シニア市場マーケティング
http://lecre.jp/business/digibook/
- 村田裕之の団塊・シニアビジネス・高齢社会の未来が学べるブログ
「シニアのコト消費は「カフェ・ラウンジ」という幻想を捨てよ」
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