塩崎恭久元官房長官インタビューVOL.2 「まずは『15年後に原発停止』の工程を決める。国民全体でタブーなしの議論をする時だ」

2011年04月25日(月)
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風力発電〔PHOTO〕gettyimages

 今回、被災地に行って分かるのは建物の屋根にブルーシートがかけられている光景が少ないことです。阪神淡路大震災の後はブルーシートばかりが目立ちましたが、まったく違います。今回は地震より津波の被害が圧倒的に大きかったということです。ですから、原発についても、大津波が来たらどうなるか、という点ばかりに焦点が当てられています。しかし、リスクを考えれば、今回と同様の巨大地震が原発の直下で起きるという可能性だってあるわけです。

---脱原発を促進せよ、という主張ですか?

塩崎: 私は単純な脱原発論者ではありません。自民党政権時代には、低炭素社会の実現に向けた取り組みを責任者となって取りまとめました。その中でも、万全な安全策を確保したうえで原発を推進するという方向性を示しました。温暖化の防止には二酸化炭素を出さない原発を抜きにエネルギー政策は考えられなかったのです。

 ただ、今回の大震災で、安全の前提が大きく揺らぎました。まず、すべての原発について、デューデリとストレステストをやらない限り、国民はもう原子力政策の推進を支持しないでしょう。しかし、電力供給量が絶対的に不足する中で、原発の即時廃止といった感情論だけでは問題が解決しないことも厳然たる事実です。

100ボルトの配電を200ボルトに

---ストレステストの結果を受けてどう対処べきでしょう。

塩崎: まずは、10年後に原子力の比率を1割にまで低下させ、15年後には全原発を停止させることを視野に、エネルギー政策の全面的な見直しを行ってみてはどうでしょう。ストレステストの結果をベースにして、15年後の原発停止に向けたタイムスケジュールをまず決める。安全性に疑問のあるものや、老朽化が進んだものから順次止めていくのです。

 そのスケジュールを決めたうえで、エネルギーをどう確保するのか、新たなエネルギー政策について国民全体で議論をすべきではないでしょうか。原発を巡る議論をタブーにしないことが何よりも大切だと思います。

 そのうえで、太陽光や風力、地熱といった再生可能エネルギーの拡充に加えて、企業のコジェネレーションの積極的な拡大などを通じて、電力事業で民間活力を最大限に生かす方法を考えるべきです。

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